東京都/平成30年3月現在
個別計画書づくりの課題
個別計画書の作成は、町会・自治会を母体とした防災区民組織の方々にとっても避難行動要支援者自身にとっても、「契約書を取り交わす」ことのように重い行為に受け取られてしまう側面がありました。また、実際に災害が発生した場合、支援者自身も被災者になり状況の予測も難しい中、個別計画書に支援者として名前を掲載して「もしできなかったら・・・」という不安や心理的な負担を指摘する声もあり、個別計画書の作成はなかなかすすみませんでした。
そのような状況の中、品川区防災まちづくり部防災課啓発・支援係の前田道昂さんは、「現在、品川区避難支援個別計画作成名簿には、登録対象者の3割程度の方が登録しており、個別計画書の作成に、区も積極的に関わっていくために『避難行動要支援者支援体制構築補助事業』を開始した」と話します。区内には、防災区民組織が201団体あります。そこで、区内5つの地区から1団体ずつ選定し、防災計画に携わるコンサルタントを交えながら、区も重点的にかかわって個別計画書づくりをすすめていくこととしました。平成28年度から5カ年計画で毎年度5地区で重点的に取組むことで、翌年には累計10地区、その翌年には累計15地区と実施する地区を増やしていく考えです。また、既に実施した地区の取組みをモデルとし、平成29年度には、個別計画書の作成方法や避難誘導ワークショップの実施方法などに関する事例をまとめた「避難行動要支援者の支援体制づくりの手引き」も作成しました。
「避難行動要支援者の支援体制づくりの手引き」
個別計画書づくりの年間スケジュール
個別計画書づくりを具体的にすすめていくための作成ステップとして、「避難行動要支援者の支援体制づくりの手引き」の中で、具体的な年間スケジュールとして例示しています。
1 準備期間(6月~8月)
まず「事前準備」として、「確認会議」で名簿をもとに避難行動要支援者の支援体制の現状を把握し、具体的な支援者や役割を決めます。
2 実践期間(9月~12月)
その後、「個別計画書」の作成と「訓練」という実践期間に入ります。
区では、個別計画書の作成にあたって、座学と演習で作成方法を学ぶ研修会を開きました。座学では、個別計画書作成の目的や用語の説明、作成手順を区の職員などが説明します。演習では避難行動要支援者にも一緒に参加してもらい、交流をしながら実際に個別計画を作成します。訓練については、「避難誘導ワークショップ」を開催し、課題などを確認していきます。
3 継続強化期間(1月~3月)
そして、区に個別計画の写しを提出し、組織表や支援活動マニュアルの整理・取りまとめ、次年度の予定作成などをすすめる、「本部会議」を開きながら、支援体制に必要な「組織づくり」について講座を開き、1年間の活動をふまえた支援体制づくりの見直しと翌年度以降の目標を設定します。
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