宮城県東松島市/平成24年3月現在
未修復の自宅で生活を続ける高齢者
5月には、地域包括支援センターとして、宮城県ケアマネジャー協会、宮城県社会福祉士会の協力をいただき、在宅高齢者の実態把握を行いました。津波浸水地域内にある全ての高齢者世帯の訪問調査を行ったところ津波の被害を受けているものの、建物が残っている家で1階の水回りだけを直して、2階に住む高齢者が少なからずいることがわかりました。地域柄、もともと戸建てに住んでいた方が多く、仮設住宅での生活はなにかと不便なことばかりです。特に高齢者は集合住宅での暮らしに馴染めず、未修復の家へと戻っていくことが少なくありませんでした。仮設住宅入居者への支援ばかりに目が向きがちですが、こうした自宅で暮らし続けている方への支援も忘れてはなりません。
困難な仮設住宅でのニーズ把握 虐待事例も
市では、仮設住宅1千753戸、民間借上げ住宅1千291戸が設置されました。
仮設住宅では、社会福祉協議会が運営するサポートセンターの訪問支援員と協働して全戸調査を行いました。仮設住宅での実態把握の難しさは、地域性のためかこちらから『大丈夫ですか』と声をかけても、はじめは『大丈夫、大丈夫』と返ってくることが多く、しかし、よく話してみると、さまざまな手続きが困難となり判断が難しい高齢者もいました。
さらに、仮設住宅の窮屈な暮らしから、家族関係にひびが入るケースも出てきています。「ずっと一緒にいると息が詰まる。1日でいいから、デイサービスかどこかに行って欲しい」との切実な相談が入ってきます。中には、家から閉め出され、行き場がなくなった高齢者もいました。
ひとり暮らしの男性については、年齢に関わらずもともと地域との関わりや人との交流を好まない方もいます。そういった方へのアプローチも必要と思われます。
被災地支援を継続していくために
震災当日からの目まぐるしい業務をふり返り、石森さんは「職員が不足する中、職員自身も被災し、休みのない日々で疲れきり、相談を持ちかけられても、会議をしても、どういう判断をしたらいいかわからないことが多々あった」と当時の苦しい状況をふり返ります。その上で、「支援の方にカンファレンスの内容を紙にまとめてもらったり、記録を残したり、企画提案をしてもらえたのが非常に助かった」と話します。
震災後、支援が必要な高齢者が増えています。地域包括支援センターとして、これまでの支援が必要な高齢者だけでなく、震災によって新たに支援が必要になった高齢者も含め、外部からの応援職員やさまざまな関係機関とともにニーズ把握を行い、適切な機関につないでいく取組みが行われています。
http://www.city.higashimatsushima.miyagi.jp/
※当時は市役所直営で運営していましたが、現在は東松島市社協が運営を行っています。