ボランティアコーディネーター 布施川香保利さん
そのひとにあったボランティア活動をデザインする
掲載日:2017年11月29日
2016年1月号 くらし今ひと

 

あらまし

  • 特別養護老人ホームアトリエ村でボランティアコーディネーターをしている、布施川香保利さんにお話をうかがいました。

 

年間のべ4千人近くのボランティア

私が豊島区社会福祉事業団の高齢者施設「アトリエ村」の施設長から、「専任のボランティアコーディネーターになってほしい」と声をかけていただいたのは、平成18年のことでした。

当時アトリエ村では年間のべ1千人以上のボランティアが活動しており、職員が兼任でコーディネートをしていたものの、対応しきれなくなっていたのです。 仕事を始めた当初は、ボランティアを受入れることによる職員の負担感や、利用者の不安にどう対応すればいいか悩みました。

私は航空会社や生活相談員の経験があるのですが、ボランティアコーディネーターも「接客業」だと感じ、ボランティア委員と協力して職員、ボランティア、利用者の要望を丁寧に聴くところから始めました。 新しく来て下さるボランティアさんとは、1時間以上オリエンテーションを行い、どんなことをしたいのか、じっくりお話をします。

「できることがあれば何でも」という方から、掃除、演芸、書道等、さまざまな希望があり、それを職員に伝えて、現場の状況に応じてその方のためのプログラムを作ってもらいます。

いわば、オーダーメイドのボランティア活動を作るのです。 このように、それぞれの気持ちを尊重しつつ、無理なく協力できる環境を整えていったことで、次第に現場の理解も得ることができ、専任のコーディネーターがいることで、ボランティアの不安も解消されました。今では、年間のべ4千人近くの方がボランティアに来てくださっています。

 

「ボランティア」は一方的な支援活動ではない

ボランティアに来る方の動機や目的はさまざまですが、「他人のため」という気持ちだけではなく、「自分にかえってくるものがある」ということを感じてほしいと願っています。 私自身、以前はボランティアについて、上から目線のような、優越感を持っての活動という雰囲気に抵抗を感じていました。

しかし、色々な経験を積み、多くの人と関わるなかで、支援というものが一方的ではないことが実感としてわかってきたのです。 アトリエ村では、聴覚障害の方や80歳代の方など、支援される側になるような方も、それぞれの特技や能力を活かして、ボランティアとして活動しています。ボランティアは、優れた能力をもっているとか、経済的に余裕がある人だけのものではありません。

自分のできることを、できる範囲でやることが、他人を助け、自分の人生も充実したものにしてくれるのです。

 

ライフワークとしての福祉

ボランティアコーディネーターとして働くなかで、人と人とをつなぐことで生まれる可能性の広がりに気づかされました。私は東京ボランティア・市民活動センター主催の「中間支援組織スタッフのための支援力アップ塾企画・評価委員会」の委員も務めていますが、そこでも「自分のいる組織の外に出て行くことで、新しい視野とつながりを持つことができ、より良い支援ができる」と伝えています。

地域には色々な人がいて、それぞれ得手、不得手があります。それらの方々の協力を仰ぎ、今後は、行政や企業では埋めることができない、ちょっとした困りごとに対処していけるように、今年立ち上げたボランティアステーションアトリエを軌道に乗せていきたいです。そうすれば、そこからも地域の中の助けあいのしくみができていくのではないかと思っています。

 

 

取材先
名称
ボランティアコーディネーター 布施川香保利さん
概要
(社福)豊島区社会福祉事業団 特別養護老人ホーム「アトリエ村」
(リンク先:http://www.toshimaj.or.jp/s_atorie/)
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