保護司 高埜秀典さん
皆でかかわる「犯罪や非行をさせない地域」づくり
掲載日:2017年11月29日
2016年7月号 くらし今ひと

保護司 高埜秀典さん

 

あらまし

  • 豊島区で保護司をされている高埜秀典さんにお話をうかがいました。

 

保護司の活動は地域の活動

保護司になったのは49歳のときです。既に保護司をされていた先輩に声を掛けていただいたことがきっかけでした。それまでPTAや交通少年団の団長、商店街理事長など、地域でさまざまな活動をしていたものの、その責任の重さからはじめは迷いましたが、保護司の活動も地域のこと。

やらなければと思い、お引き受けしました。

保護司はボランティアで、本業はマンション賃貸の経営と婦人服の販売をしています。できる限り毎朝、販売店の開店に立ち会いつつ、保護司として犯罪や非行をした人との面接をしています。また「更生保護サポートセンター」での相談対応や他の保護司の活動をサポートしています。

 

             豊島区更生保護サポートセンター「青少年相談室」

 

保護司の活動を話せる時代に

保護司とその環境は、ここ10年でかなり変化しているように感じます。以前の保護司は、知名度が今ほどなく、守秘義務もあって、活動をあまり表立って言うことができませんでした。

犯罪や非行のない地域づくりをめざす「社会を明るくする運動(以下、「運動」)」期間に駅前で旗を持っていると選挙活動かと思われたり、自宅で面接をするときも周りに気を遣いました。

家族と面接者を会わせることもはばかられ、コーヒーを準備するところから自分ひとりで対応していました。

今は保護司のことをご存じの方が増えてきました。嬉しかったのは、野球観戦で訪れた東京ドームに、運動の広告看板があったことです。そのときは子どもに「お父さんは、あの活動をやっているんだ」と話せました。昔とは大違いで感激しました。

 

「犯罪をさせない地域」づくりをめざして

変化の背景として、地域の声があります。「保護司とは何をしている人なのか」という疑問に答えるため、保護司の方から地域に出て、活動を伝えるようになりました。

今は運動で掲げる「犯罪のない地域」づくりに留まらず、「犯罪をさせない地域」を保護司の力で生み出していこうとしています。

保護司が活動する環境を整えることも、その一環です。「更生保護サポートセンター」は、地域で更生保護活動を行う拠点として、平成20年から整備が始まりました。保護司に面接場所や情報を提供することを柱の一つとしています。「周りに迷惑をかけるかも」「忙しくて」という理由で保護司になること、続けることが難しいという方が活動しやすくなりました。

研修は定例研修、特別研修の他、保護司会でテーマを決める分区会を年6回実施しています。保護司が広く情報を持つことは、面接をする対象者のためにもなります。

 

地域活動の形は、さまざま

保護司はボランティアですが、ボランティアとは地域貢献活動です。これは個々で行う地域活動が発展したものだと考えています。地域活動の形はさまざまで良いと思います。

保護司も団体の役員も、活動をする上では一員にすぎません。各々が思う活動をしていく中で、毎日ここで何かやっている、あそこでも…となっていけば、街の方のしっかりした目による、犯罪をさせない地域づくりにつながります。

犯罪や非行をさせない地域づくりは、皆でかかわればできるのです。活動をすることには、地域の課題に気づけるという意味もあります。ですので、まずはかかわってほしいと思います。

保護司についても同じで、「保護司は何をするのですか」と聞いてくれるだけでも嬉しいです。

 

なるほどWORD

  • 更生保護【用語説明】
    犯罪や非行をした人が地域社会の一員として立ち直れるように支援する活動。保護観察所などの国の機関が、保護司をはじめとした民間のボランティア・団体と協働で取り組む。保護司は、犯罪や非行をした人の生活環境の調整、面接による助言指導、地域の犯罪予防を担う。「社会を明るくする運動」は毎年7月を強化月間として実施。イベントや広報活動を全国的に展開する。
取材先
名称
保護司 高埜秀典さん
概要
豊島区更生保護サポートセンター「青少年相談室」
http://www.city.toshima.lg.jp/231/kosodate/kosodate/seshonen/014301.html
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