(社福)村山苑 救護施設「さつき壮」援助員 北澤美奈さん
あらまし
- 異業種から転職し、救護施設で働く北澤美奈さんのおしごとの魅力をお伝えします。
デパートの受付から救護施設へ
さつき荘は、障害や疾患で生活に困難がある方、ひどい家庭内暴力を受けて逃げてきた方、路上生活をしていた方等、さまざまな背景をもった方たちを受入れ、社会復帰や自立に向けた支援を行っています。
リハビリや作業のほか、季節の行事やクラブ活動、旅行の機会もあり、体力も、強い精神力も必要になる仕事です。
利用者については年齢、性別、障害の種別等を問わないため、本当にいろいろな方がいて、マニュアル的な対応では満足していただけません。
同じ利用者に対しても、昨日有効だったはたらきかけが今日も通じるとは限らないので、日々自分の支援者としての力が試されていると感じます。
私がこの仕事に就いたのは、前職のデパートでの受付の仕事がきっかけです。日々の受付業務の中で、車いすの貸し出しや視覚障害のある方と接する機会があり、その人たちを支える福祉の仕事に興味を持ちました。
ですが、当時は救護施設どころか福祉のことは何も知らなくて、資格も持っていませんでした。
それでも「やってみたい」という気持ちが強くなり、資格がなくても「援助員」として働けるさつき荘に就職したのです。
先輩が全力で支えてくれたから、頑張れた
最初の頃は、利用者との意思疎通がまったくできないことに苦しみました。
複数の障害や病気を抱えていたり、複雑な成育背景を持った方が多く、話しかけても無視されてしまう等、なかなか心を開いてもらえなかったのです。
それまで車いすを押したこともなかったので、利用者に怪我をさせてしまったらどうしようと不安でいっぱいだったり、専門知識がない私を利用者は信頼してくれないのではないかと悩んだり、自分にこの仕事は合わないのではないかと考えたこともありました。
そんな時、周りの職員が丁寧に介助の仕方を教えてくれたり、相談に乗ってくれたことが支えになりました。
わからないことがあったら何でも質問して良いよと言ってくれて、「一人じゃない」と思えたからこそ、つらい時期を乗り越えることが出来たのだと思います。
先輩に励まされつつ、返事をしてくれない利用者にも毎日挨拶をしたり、笑顔で話しかけるようにしていると、だんだん「あっ、今、通じた!」と感じる瞬間が増えてきました。
まるでパズルのピースがはまるみたいに、利用者と気持ちが通いあった瞬間のよろこびが、この仕事の一番の魅力です。
救護施設のことをもっと知ってほしい
家族や友人に救護施設で働いていることを話しても、施設のことを知っている人は皆無で、あまりぴんとこないようです。一般の人にとって福祉のイメージは「老人ホーム」や「保育園」なんですよね。
もっといろいろな福祉の施設や仕事があることを、多くの人に知ってほしいと思います。
私自身、実際に働く前は福祉施設に暗いイメージを持っていました。しかし、さつき荘では、職員も利用者も明るい方が多くて、そのギャップに驚きました。
たとえばアルコール依存症の方、服役歴がある方に対して、最初は「怖い」と一歩引いてしまっていたのですが、話をしてみると拍子抜けするくらいに穏やかで、おもしろい人だったりします。
ケース記録等の情報だけでイメージをつくり上げて対応するのではなく、本人と直に接して感じたことも大切に、適切な支援につなげていきたいです。
自分らしい支援のあり方を模索しつつ、介護福祉士の資格取得に向けて勉強も頑張ります!
プロフィール
- 北澤 美奈さん
平成24年、さつき荘に援助員として入職。現在、介護福祉士の資格取得をめざして勉強中。
https://www.murayamaen.or.jp/satsuki/