障害者支援施設で働く 丸茂 亜美さん
利用者の笑顔を見ると「やっぱりこの仕事、いいな」と感じる
掲載日:2017年11月29日
2017年9月号 福祉のおしごと通信

(社福)みずき福祉会 障害者支援施設「八王子平和の家」 主任 丸茂亜美さん

 

あらまし

  • 児童福祉を志していた学生時代から、偶然が重なって障害者支援施設へ。明るい笑顔で自分らしさを大切に働く丸茂亜美さんにお仕事の魅力を伺いました。

 

もともと児童福祉に興味があった私が、いろいろな偶然が重なって「八王子平和の家」で働く事になり、12年になります。

学生時代にボランティアをしていた学童の隣に、たまたま知的障害のある方が過ごすスペースがあり、ボランティアとして障害のある方と出かけたり、お話する機会がありました。

そんな折、バイト先がなくなってしまった事をきっかけに、将来の事も考えて福祉系のバイト先を探していたところ、偶然バイトの募集をしていた平和の家が目に留まりました。

今思うと、障害のある方と過ごしたボランティアの経験の中で、「もっとあの時こうしたかった」と心の中でずっと気になっていたのかもしれません。

 

職員の関わりで利用者が変わる

入職後3~4年目の頃、40代の男性利用者Aさんの担当になりました。Aさんは入所前に精神科病院への入退院を繰り返しており、平和の家入所後も、対人トラブルや衝動的な行動などがある方でした。

Aさんから攻撃的な言葉を向けられると、どう返せばいいのかわからず、いつも虚しい言葉のやり取りが空を切るようでした。

私たちは、Aさんに関わりのあるすべての職員を巻き込んで、何度も会議を重ねました。

話し合ううちに、「Aさん」という人を深く知り、その言動の背景にあるものをちゃんと知って支えたいと思えるようになると、私自身の支援の考え方が変わっていきました。

そして、「Aさんについての情報や想いをみんなで共有して、支えていこう!」と職員が一丸となると、職員一人ひとりのAさんに対する関わり方も自然と変化していきました。

例えば、Aさんが廊下にいる時に話を聞いてみるようにしました。これを数か月…数年…と積み重ねていくと、はじめは「ふざけんな!」と返ってきた言葉が「今時間ある?」「話聞いてもらっていい?」という言葉に変わっていったのです。

Aさんは、徐々にご自身でストレスを上手に発散できるようになり、今では地域で生活しています。

私は、職員の気持ちや関わりで、利用者の生活が変わっていく事を実感するとともに、職員みんなで取組む事の大切さを学びました。

 

自信につながる仕事と居場所づくり

私は、平和の家の日中活動支援スタッフの主任を務めています。私は、利用者一人ひとりがやりがいと自信を持って仕事ができるよう支援する事を大切にしています。

どうしたらその方が少しでも働きやすくなるかを日々考え、それぞれに合った方法で教えたり、工夫をして、できた時は一緒に喜ぶ。それが私にとってのこの仕事のやりがいです。

そして「これは自分の仕事」、「ここが自分の居場所」と利用者一人ひとりに感じてもらえたら嬉しいです。

 

やっぱりこの仕事、いいな

6年ほど前、ふと、「私もう無理かもしれない」と思った時、上司が気づいてくれ、話を聞いてくれました。それから間もなく、私は1年の育児休暇に入り、現場に戻った日―。

みんなの笑顔を見たら「やっぱりこの仕事、いいな」って思いました。

長期休暇があった事で見えたものもあったのかもしれません。そんな経験もありつつ、今、私が思う事は、無理せず自分らしく働く事。

この仕事は大変です。でも、がんばった分、返ってくる。関わった分、みんなが返してくれる。

また、楽しい時は楽しい、つらい時はつらいと一緒に感情を共有できる、そんな仕事です。12年間ここで働いてきて、10年前はこうだったな…5年前は…と利用者一人ひとりの変化を感じる事ができたり、

いい関係性ができてくると、じゃあこの5年先、10年先はどういう関係になっているんだろう?と想像するとすごくわくわくします。

こんな素敵な事、もっともっと感じていたいです。

 

プロフィール

  • 丸茂亜美さん
  • (社福) みずき福祉会 障害者支援施設 「八王子平和の家」支援主任
取材先
名称
障害者支援施設で働く 丸茂 亜美さん
概要
(社福)みずき福祉会 障害者支援施設「八王子平和の家」
http://heiwanoie.mizki.or.jp/
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