(社福)かいゆう「たまりば宙(そら)」
誰もが集えるみんなの居場所
掲載日:2017年11月29日
2016年1月号 みーつけた

たまりば宙のスタッフ

左から、松永一子さん、家村窓香さん、阿部馨子さん

 

 南武線の谷保駅を降りると、線路沿いの道に「たまりば宙」はあります。朝10時半に開店すると、すぐに人が集い始めます。自転車で通りがかって入口から挨拶する人、外に並んだ古本を見る人、リサイクル品を見る人の姿が見られます。駅のすぐそばなので、待合せや福祉サービスの合間の待ち時間の場所として使ったり、お弁当を食べたリ、仕事帰りにふらっと寄ってお茶を飲んだり、思い思いに楽しんでいます。

 

当事者と家族が活動の中心

「たまりば宙」は当事者と家族の会が設立した「国立5日制の会」に由来します。学校週5日制施行に伴い、休みになった土曜日に音楽の広場やスポーツ活動、プールなどの活動を、長期休業中は海水浴やキャンプなどの活動を始めました。その後、重度知的障害者グループホームを起ち上げ、ショートステイ、居宅支援事業所、訪問・通所事業所等を運営しています。現在は社会福祉法人かいゆうとして活動をしています。

最初に立ち上げたグループホームに併設した喫茶店「南風」は、木の香りと緑が感じられる居心地が良い居場所です。手作りの小物を販売したり、バザーも開いています。訪れる人同士でつながりをつくったり、周りには言えない愚痴も話せる居場所になっています。

 

しょうがいがある人もない人も

「たまりば宙」のオープン時から中心となって「宙」を運営してきたスタッフは、「南風」「くじら工房」(国立市地域活動支援センター)でも働いていましたが、「福祉関係者やしょうがいのある方だけの居場所でなく、いろんな人が集う場所にしたい」と思っていました。谷保駅近くのくじら工房の隣の店舗が空いたので、ちょうど良いタイミングで、21年に「たまりば宙」をオープンしました。

開店すると、すぐにいろんな人が訪れます

 

日常の会話を受け止める

フリースペースをただ用意しても誰も訪れてはくれません。素敵な手作り品を作る方は沢山いるので発表の場を兼ね、手芸品を販売しています。売上げは8割が作成した本人、2割が「宙」の収入です。その他にもリサイクル品の古着や古本、食器類、CD等を展示して販売しています。本は1冊20円から、CD100円からです。その他にも、来て下さる方の特技を生かして書展、写真展等の発表の場所としても提供しています。

「宙」では、利用される方のニーズに添って日々活動しています。ズボンが長いので短くして欲しい、ボタンを付けて欲しい、ミシンを貸して欲しい。利用者さんがどう「宙」を利用するかによって「宙」は変化し、利用される方によって作られている空間です。

「宙」で話される会話は、日常のたわいない世間話や芸能人の話、地域で話題になっていること、福祉サービスの使い方やお医者さんの話など、さまざまです。そのような何気ない会話の中から、福祉サービスの使い方をアドバイスしたり、通院を勧めることもあります。

 

課題になる前にそっと支える

社会福祉法人かいゆう理事長の遠藤良子さんは、「何気ない日常の会話の中から困りごとを見つけ出し、課題になる前にそっと支えることが大切」と話します。あえて相談場所の看板を掲げずに、地域をそっと支える「宙」の取組みは、地域に必要とされながらこれからも続いていきます。

取材先
名称
(社福)かいゆう「たまりば宙(そら)」
概要
(社福)かいゆう「たまりば宙(そら)」
http://www.kaiyu.or.jp/

社会福祉法人かいゆうが、平成21年にフリースペース「たまりば宙」をオープン。捨てるのはもったいない品物をご寄附いただきリサイクルとして販売しています。手作り品や書展、写真展の場としても使われています。
10時半~18時半(月~土)、日曜・祝日休み
国立市富士見台1-17-17信和第二ビル1階
TEL/FAX 042-843-0443
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