真鍋 圭彰さん
あらまし
- 介護福祉士・株式会社アイビー代表取締役の真鍋圭彰さんは、高齢者や障害者の「好きなところに出かけたい」を手伝う活動をしています。
高齢者や障害者のあたり前の希望をかなえる
体が不自由だからと夢や希望をあきらめないで欲しい。そんな思いから、高齢者や障害者の「旅行に行きたい」「レストランで食事をしたい」「好きなところに出かけたい」という「あたり前の希望」をかなえるためのお手伝いをしています。具体的には、高齢者や障害者の外出支援や移動支援を中心に、高齢者のヘルパーの派遣やケアプランの作成などを行っています。
私は、IT関係の専門学校を卒業後、SEとして朝から夜中まで働いていました。たしかに、お給料はよかったのですが、人と触れ合う機会が全くない状況でした。そんななか、祖母が倒れ、見舞いに行きました。そこで、お年寄りと職員がとても楽しそうに話をしているのを目の当たりにし、「こんな仕事もあるのか」と介護福祉士の仕事を知りました。そして、「お金より人と接する時間を大切にしたい」と、会社を辞めて介護福祉士を養成する専門学校に行くことを決心しました。
一緒に生きがいをみつける
ところが、高齢者の施設に実習に行くと、お年寄りが「ちょっとでかけたい」というような素朴な希望をあきらめてしまっていることに気が付きました。そこで、「自分がお年寄りの希望をかなえたい」と、在学中に事業を立ち上げることにしました。
事業を立ち上げてからも、「人に迷惑をかけるから」と希望を言わない方や、我慢をしているうちに希望を持つことすら忘れてしまっている方とたくさんお会いしました。そんな方は、普段の支援のなかで、写真やテレビ番組などから興味がありそうなことを探して、声をかけます。信頼関係ができてくるとポロッと話してくれることがあるんです。たとえば、使われていない古いピアノを見たヘルパーが「ピアノがお好きだったんですか」と尋ねることで、本当はもう一度ピアノを弾きたいけれど、リウマチで手が動かせなくなってしまい、教室に通うことも難しいからあきらめているという気持ちを話してくれた方がいました。その方は、音大を卒業したヘルパーが定期的に自宅を訪問することで、ピアノをもう一度始め、今度ミニコンサートを開く予定です。このように、楽しみや生きがいを一緒に見つけて達成できた時、何とも言えない喜びがあります。
希望がかなった時の笑顔が大きな宝物
先日、脳こうそくで倒れたお母さんに、自分の結婚式に参列してほしいという娘さんからの依頼を受けました。「周りの迷惑になるから」と参列を反対する家族もいましたが、お母さんの「結婚式に参列したい」という気持ちを大切にし、私たちがつきそうことで、一生に一度しかない娘さんの結婚式に参列していただくことができました。その時の、家族全員の幸せそうな笑顔は私の大きな宝物です。
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