澤口 有紗さん
私の夢は「Everyone Happy」
掲載日:2015年9月17日

澤口 有紗さん

 

あらまし

  • 平成27年9月12日に「『人間って、障害者って、』その暮らしを考えよう」をテーマに第10回東京大集会が開催されました。澤口有紗さんが「フクシの仕事の魅力」について発表しました。

 

苦しさを乗り越えたときにやりがいが感じられる

私は保育士の資格を取得するために短大に通い、その後、社会福祉士の資格を取得するために大学に編入しました。はじめは「子どもにかかわる仕事がしたい」と思っていましたが、就職活動をする中で、知的障害の分野に興味を持ちました。現在の仕事に就いて3年目です。

 

福祉職を目指している人の中には、夢や目標を持っている人がいると思います。私も「人の役に立ちたい」「誰かを幸せにしたい」と思っていました。そこで、どんな時に楽しいと感じられるかを職員に聞いてみました。すると、「心が通ったとき」「利用者さんの笑顔がみられたとき」「利用者さんが何か達成できたとき」「感動の時間を共有できたとき」などの声がありました。

 

しかし、楽しさややりがいは、楽しい経験ばかりから得られるものではありません。苦しさを乗り越えたときにやりがいを感じる時もあります。

私が1年目のときの話です。ある利用者さんは食堂には入るのですが、なかなか食事をとることができませんでした。落ち着かずすぐに離席してしまい、部屋に戻ってしまいました。また、お手洗いや活動のときも場面の切換が難しく、なかなか動き出せずにいました。親御さんから「あなたが信用できない」とも言われたこともありました。

 

3年経った今、この方に相応しいかかわり方を考え、配席等を工夫しました。今は食事を完食できるようになりました。また、食事前、食事後、移動時、活動のはじまりや終わりに手をトントンするとスムースに動けるようになりました。今ではご本人から合図を出してくれるようになりました。親御さんからは「毎日楽しそうに帰ってくるようになった」と話してくれました。もちろん、毎日の支援を職員全体で行った成果だと思います。私が1年目に本気で悩んでいたことが、3年目にはやりがいになり、財産になっています。

 

 

この子も楽しいことが待っている

仕事のやりがいについて、事例を紹介します。

私の施設では、お楽しみデイという外出機会があります。ある時、ダウン症の利用者2名と職員2名で遊園地に行きました。メリーゴーランドを楽しんで降りると、赤ちゃんを抱いたお母さんが近づいてきました。「私の子もダウン症なんです。この子の将来、楽しいことがあるか不安だったけど、みなさんの楽しそうな姿を見て、この子も楽しいことが待っているのだと希望が持てました。ありがとうございました」と話されました。そのような心温まる場面にいられたことはかけがいのない経験でした。

 

障害がある子どものお母さん、お父さんが少しでも安心して子どもを育てられるように、楽しい人生が待っていると希望を持てるように、少しでも力添えができればと思います。

 

私の夢は「Everyone Happy」

私の夢は「Everyone Happy」です。利用者の方はもちろんのこと、ご家族、職員、みんなが幸せになることを目指しています。職員が楽しいと思っていて活動していると、自然と利用者さんも笑顔になり幸せになります。

 

私はこれまでの人生で「嫌だな、辛いな」と思ったことが何度もありました。しかし、そのたびに利用者の方の笑顔に救われてきました。そんな笑顔の素敵な方を育ててくれた親御さんたちに背中を押していただきました。同じ目標、利用者の幸せを願う職員がいて、笑顔を見せてくれる利用者がいて、私はとても幸せです。そんな気持ちで仕事ができることに感謝しています。

取材先
名称
澤口 有紗さん
概要
(社福)東京都知的障害者育成会 中野区立かみさぎこぶし園
http://ns2.ikuseikai-tky.or.jp/~iku-kamisagi/
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