(社福)福栄会
町会・自治会と連携し地域に出向く地域貢献活動
掲載日:2017年11月29日
2015年8月号 連載

(社福)福栄会 常務理事 宮地 恵美子さん

 

あらまし

  • 品川区は、町会・自治会活動が活発に行われている地域です。本号では、町会・自治会と連携し、出張ミニサロンの開催等、地域に出向く地域貢献活動を行う社会福祉法人福栄会の取組みをご紹介します。

 

 「ブタが ブタを ぶったので、 ぶたれた ブタが ぶった ブタを ぶった!」と住民の揃った声が、東品川都営第2アパート内、自治八潮会集会所に響き渡ります。「口を動かして、唾液をよく出してからご飯を食べてくださいね。おいしく楽しく、安全に食事をしましょう」と、社会福祉法人福栄会(以下、福栄会)、東品川在宅サービスセンター職員の野間口範子さんが住民に声をかけます。口を動かした後は、職員が運んできたお弁当と、まだ湯気の出ている暖かいお味噌汁をいただきます。食後は、「トンチ文字」「難読漢字」「転倒予防クイズ」などの脳トレが始まります。

 

福栄会では、町会・自治会活動が活発という地域特性を活かし、地域に出向く地域貢献活動を行っています。活動の1つである出張ミニサロンは、町会・自治会の活動拠点である集会所等を活用しています。現在2か所で行っており、3か所目の準備をすすめているところです。法人本部がある建物は、災害時に福祉避難所として地域の災害弱者への支援拠点となる場所です。また、地域の方が福祉サービスの利用が必要になった際には、総合福祉施設として幅広い福祉サービスを提供できます。地域貢献活動等を通じて、地域に法人や職員の顔を知ってもらいます。そして、施設や事業所の機能についても理解してもらい、困った時には頼ってもらえる法人をめざしています。

 

自治八潮会 ミニサロン

 

町会・自治会のアイディアと法人のノウハウを合わせる

福栄会の理事を除く評議員9名のうち、4名が地域の町会長です。「ミニサロンが始まったきっかけも町会長との何気ない会話からだった」と、福栄会常務理事の宮地恵美子さんは言います。東品川3丁目・4丁目の町会である東親会会長と、「町会会館を会議や打ち合わせ以外にもっと活用できないか」と話していた際に、住民が集まっておしゃべりができる場所というアイディアが生まれました。「一人暮らしの方が多く、寂しい思いをしている方もいる。是非やりたい」と東親会会長に賛同いただきました。こうして、平成269月に、概ね65歳以上の元気な高齢者を対象に1つ目のミニサロンが誕生しました。戸建が多い地域でしたが、町会ボランティア、民生児童委員、ケアマネジャーが声掛けを行いました。他にも、回覧板や掲示板等で住民にミニサロンを周知しました。15名程度で始めたサロンですが、現在の参加者は30名くらいに増えてきています。

 

2つ目のミニサロンは、近隣の自治八潮会の会長が、「ぜひうちでもやりたい」と手を挙げてくれました。都営住宅で、部屋から出ない方がいることが自治会としても気になっていました。福栄会と自治八潮会で考えた結果、集まって勉強しながら娯楽にもなる「脳トレ」がテーマに決まりました。テーマに合せて、デイサービス職員がプログラムを考え、教材を用意しました。自治八潮会「サロンでランチ」はこうして平成276月にスタートしました。自治八潮会副会長の岡山粛さんは、「イベントなど沢山の情報を提供してもらえるのが嬉しい。ミニサロンをはじめてから、みんな元気になった。住民が顔をあわせた時に声を掛け合うようになった」と笑顔で話します。

 

2つのミニサロンづくりに共通するのは、住民のニーズをよく知る町会・自治会からアイデアをもらい、法人がノウハウや資源を活かしてプログラムを組み立てる点です。さらに、そのプログラムを職員自らが携え、地域に出向くという手法です。そして、これらの方法がお互いに無理のない連携により行われています。

 

    

自治会八潮副会長の岡山粛さん(右)

 

サービス利用までは自分で頑張る

福栄会は今年創立25周年を迎え、区内12か所に拠点をもつ総合福祉施設です。しかし、まだ福栄会のことを知らない住民の方は多くいます。ミニサロンを始める際も、法人について知ってもらうことも意識しました。

 

自治会から希望者を募って見学会を開き、8階建て建物すべてのフロアを案内しました。デイケアや入所施設の見学後、会議室でお弁当の試食をしてもらいながら法人についての説明をしました。宮地さんは、「私たち法人についてだけでなく、どのような人がここにいるのか、利用者の様子も知ってもらう。その上で、福祉サービスが必要になるまでは自分たちで頑張ろうと予防に力を入れてもらっている。実際に見てもらうのが一番いい」と話します。また、「ミニサロンには法人の厨房でつくったお弁当も届けている。入所者のお昼のメニューと同じ高齢者向けの食事なので、味付けや食材の固さの目安などを参考にしてもらいたい。自分でつくれなくなった際には配食サービスも紹介できる」と話します。1600円のお弁当ですが、ミニサロンで食べる場合は、法人が半額を負担しています。自治八潮会では100円を補助しているので、なんと参加者は実費200円でおいしくて栄養満点の食事ができます。

 

高齢期の生活や食事をミニサロンやお弁当で伝えながら、地域の方が福祉サービスが必要になるまでは自分たちで頑張る姿勢を支えています。

 

豆腐入りの柔らかいハンバーグ弁当

 

気軽に話しかけてもらえる情報源になりたい

福栄会で行っている地域貢献活動について宮地さんは、「法人の基本方針を具体化しているだけ。以前はイベント等に招く地域貢献活動が多かったが、ここ3年程で、特に地域に出向くことを意識している」と話します。地域と顔がつながってくると、困った時に相談に来てくれるようになります。「相談できることを知らない方がまだまだ多いのを実感する。顔を知ってもらうことで、気軽に話しかけてもらい、さまざまな情報を発信できる発信源になれたら」と宮地さんは話します。

 

法人本部のある建物は、地域の方が気軽に出入りするだけでなく、品川区の観光案内所に登録し、近隣を訪れる観光客へもトイレや休憩場所として施設を利用してもらっています。

 

利用者だけでなく、普段からさまざまな人が出入りする場所であることを、法人としても働く職員も意識しています。そして、日常の困りごとから災害時の福祉避難所まで、困った時には安心して駆け込んでもらえる法人でありたいと考えています。福栄会では、25周年を迎えるにあたって改めて、地域と密接に連携した貢献を意識して運営を行っています。

 

法人概要

  • (社福)福栄会
    平成元年3月に創立。平成2年に東品川で高齢者施設と障害者施設を開設し、今年25周年を迎える。現在は12か所の拠点において高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉を担う総合福祉施設として、さまざまな福祉サービスを提供している。
取材先
名称
(社福)福栄会
概要
(社福)福栄会http://www.fukueikai.or.jp/
タグ
関連特設ページ