(社福)東京都社会福祉協議会(東京都高齢者福祉施設協議会・児童部会・保育部会)
「確保」「育成」「定着」の好循環をつくる―東社協業種別部会の取組みから
掲載日:2017年12月21日
2016年11月号連載

若手介護職員25名による「東京ケアリーダーズ」

 

■あらまし

  • 「人材確保難」は業種を超えて福祉業界全体の課題となっています。福祉人材の「確保」だけでなく、「育成」や「定着」を強化することにより福祉業界として「働き続けられる」職場環境をつくっていく必要性が強調されています。「質と量の好循環をめざした福祉人材の確保・育成・定着」をテーマに、東社協業種別部会の取組みをご紹介します。

 

「確保」と「育成」「定着」が「好循環」していく職場づくり

東社協の施設部会連絡会においても、「確保」だけでなく「育成」や「定着」を強化することにより福祉業界として「働き続けられる」職場環境をつくっていく必要性が強調されています。こうした環境づくりは、「人材対策」とともに、福祉施設・事業所に対する「経営支援」の強化の視点においても取組んでいくことが求められます。「質の高い」サービスの提供や、複雑化、多様化するニーズに日々向き合う中での実践を通じて、福祉人材が成長とやりがい、そして自己実現を実感できる環境づくりの中では、「確保」と、「育成」「定着」の結びつきが深く、その「好循環」をつくっていくことが必要となっています。

 

また、「福祉のしごと」の啓発と次世代等の新たな層への理解と参加の促進として、日々向き合っている福祉の実践や、それを解決しようとする新たな実践を正しく伝えていくことや、それを担う人材の姿を可視化することと併せて、「働き続けられる」魅力ある職業として情報発信していくことも必要となります。

 

東社協業種別部会においても、こうした人材対策に関わる新たな取組みや、魅力あるしごと・職場としての情報発信の取組みが行われています。

 

若手介護職員25名による「東京ケアリーダーズ」を結成。介護のしごとの魅力をPR―東京都高齢者福祉施設協議会

東京都高齢者福祉施設協議会では、平成26年10月に、最前線で働く介護職員がどのような思いや考え、やり甲斐を感じて日々の仕事に取組んでいるのかについて「生の声」を聞き、人材の確保・育成・定着に向けたこれからの活動に対するヒントとするために、会員施設(特養・養護・軽費)525施設向けに「職員のやりがいアンケート」を実施しました。その中で、「この仕事をしていてよかったか」との設問には96%の職員が「よかった」と回答しました。また、「介護の仕事は今後どうなるといいか」の質問には、「大変さばかり注目されているが、介護の素晴らしさを伝えたい」等の回答がありました。

 

平成27年度には、協議会内に特別委員会として「介護人材対策委員会」を設置しました。本委員会で27年9月に実施した「特養における利用率及び介護職員充足状況に関する実態調査」では、必要な施策として、「給与などの処遇改善」(80・1%)、「介護報酬地域加算の人件費率」(77・2%)等と併せて、「介護の仕事のイメージアップのための取組み」(43・8%)が挙げられています。

 

また、施設職員の取組みの活性化と学生等に魅力をPRすることを目的に毎年開催している、高齢者福祉実践・研究大会「アクティブ福祉in東京’16」(第11回)では、約500人の学生を含む1千400人が来場しました。その中で、介護の仕事のやりがいを若手介護職自身が伝えるため、30歳以下の介護職25名で構成する「東京ケアリーダーズ」を結成し、介護の魅力をPRしました。

 

人材供給見通しの厳しさへの認識を一致させ、実習生対応や養成校との連携を強化―児童部会

児童部会では、平成27年度に特別委員会として「人材対策委員会」を設置しました。人材供給見通しの厳しさへの認識を一致させて、部会全体で危機感を共有し人材の確保、育成、定着策に取組むこととしています。(1)人材のすそ野を拡大する、(2)働き続けられる職場にする、(3)旧態依然とした施設イメージを払しょくしイメージアップする、(4)少子化による人材供給が先細る中でも事業継続できるようにする、の4つを基本指針としています。

 

すそ野の拡大としては、実習生へやりがいを感じてもらえるプログラムを用意することや、養成校との連携の強化などに取組んでいます。具体的には、「施設実習養成校との懇談会」、学生を対象とした「施設見学会・学習会」を開くなどです。「児童部会 実習担当者会」により実習生がやりがいを感じられるプログラムを提供していくためのマニュアルの整備もすすめました。また、東京の児童養護施設の新しい取組みを知らせるパンフレットを作成したり、各施設の見学会・就職説明会の日程等を一覧表にまとめ、養成校との懇談会や福祉の仕事就職フォーラム」(主催:東京都福祉人材センター)時に配布するなど、児童養護施設および自立援助ホームについての情報発信にも取組んでいます。

 

 

 

保育士をめざす学生のニーズを探り、めざしたい人物像を養成校と共有―保育部会

保育部会では、27年度、広報委員会で発行する『保育部会通信』において、人材育成をテーマにしました。特集「就職活動の変化について~養成校の先生に聞いてみよう」を企画し、養成校と委員による座談会を開催し、保育士不足といわれている中で、保育士をめざす学生のニーズを探るとともに、保育士としてめざしたい人物像の共有を図りました。

平成28年11月13日に開催される「TOKYOSOCIAL FES2016」(主催:東京都)に出展し、保育士の仕事を伝える「相談コーナー」や、子どもの元気が出る「保育食の実演」など、保育の仕事の魅力を発信しています。

 

 

 

団塊の世代がすべて後期高齢者に到達する2025年(平成37年)に向けた東京都における介護人材の需要見込みが24万4千人であるのに対して、供給見込みは20万8千人とされ、そこには3万6千人の需給ギャップがあります(*図)。そのため、国においても介護人材についてそのすそ野を広げるとともに、安定したキャリアアップを可能とする構造転換の必要性が強調されています。

 

 

保育分野でも『東京都長期ビジョン』(平成26年12月)において平成29年度末までの待機児解消がめざされている中、保育人材の確保を急務としています。また、障害者福祉分野においても、将来を見据えて安定的に障害福祉サービスの提供体制を確保していくための人材確保施策を具体的に打ち出していくことが必要となってきています。このように、福祉人材の「確保」「育成」「定着」に関わる取組みは、業種を超えて福祉業界全体として関係者が一丸となり取組んでいくことが必要な課題です。

 

東社協では、今後の福祉人材対策の強化にむけて、施設部会連絡会協力のもと、「質と量の好循環をめざした 福祉人材の確保・育成・定着に関する調査」(締切:11月25日)を実施しています。現況を具体的に把握するとともに、東京の福祉業界として望ましい福祉人材像を明確にし、魅力あるしごと・職場としての情報発信の取組みをすすめていきます。

取材先
名称
(社福)東京都社会福祉協議会(東京都高齢者福祉施設協議会・児童部会・保育部会)
概要
(社福)東京都社会福祉協議会
https://www.tcsw.tvac.or.jp/
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