さぽ☆どり実行委員会
福祉の魅力を語り、輝く個性で未来を拓く―ドリームプラン・プレゼンテーション2015
掲載日:2017年12月21日
2015年11月号 TOPICS

ドリームプラン・プレゼンテーション2015

 

■あらまし

  • さぽ☆どりは、「障がいがあってもその人らしく幸せに生きていける世界」を目指して平成25年にはじまったイベントです。

 

「応援」と大きく書かれた幕を背に、7名のプレゼンターが、それぞれの夢への一歩を踏み出しました。

 

今年も知的・発達障害者の福祉に携わる人たちが、自分の実現したい理想の福祉について語る、「知的・発達障がい者福祉サポーターズドリームプラン・プレゼンテーション2015(以下、さぽ☆どり。同名実行委員会主催)」が、9月26日に、文京学院大学仁愛ホールで開催され、7名が登壇しました。さぽ☆どりは、「障がいがあってもその人らしく幸せに生きていける世界」を目指して平成25年にはじまったイベントです。当日は福祉関係の仕事に就く人、福祉を専攻する学生なども含め、約300人が集まりました。

 

さぽ☆どりのプレゼンテーションには4つのルールがあります。①説明は禁止。10分間のストーリーで語ること、②映像も音楽もオリジナルのものを使用すること、③プレゼンターが自分の声で、ひとりで語ること、④プレゼンター一人ひとりに、夢を叶えたい「あきらめない理由」があることです。

 

生まれてきてくれてありがとうと世界中の人に伝えたい

知的障害者のヘルパーをしている渡辺類子さんは、知的障害を持った少年を支援した実体験を語りました。

 

少年は3歳の時に障害があることがわかりました。少年のお父さんは息子の将来を心配し、毎日たくさん勉強を教えました。お母さんは息子との関わり方がわからず悩んでいました。少年は障害を持ったことをきっかけに、笑うことを忘れ、いつの間にか声が出なくなってしまいました。そこで、渡辺さんが少年の支援をすることになりました。渡辺さんは、常に笑顔を絶やさずに少年を受け止めました。たくさん言葉をかけながら、楽しい経験をともにし、勝負するときはもちろん本気で向き合います。

 

産道体験(お母さんのお腹の中を擬似体験する)を行い、お母さんのお腹の中で、はじめは米粒ほどだった命が少しずつ大きくなり、やっと生まれてくることや、少年がどれほど両親に愛されて生まれてきたのかを伝えました。少年が笑顔を取り戻してくれた時のことを思い出し、「笑顔は心を開く鍵。人が笑うことでこんなに感動することはなかった」と話しました。

 

渡辺さんは、何かの理由で傷つき、「生きていていいのかな」と悩んでいるすべての人に対して伝えたい思いがあります。自分の心と体は自分のものであること、自分はお母さんのお腹の中にいる時からずっと愛されているということを、産道体験により、感じてほしいのです。そして、世界中のすべての命に対し「あなたは大切な人です。世界を幸せにできます」というメッセージを伝えること、すべての命を祝福し、すべての命が、生きていく未来が楽しみな社会にすることが夢であると語りました。

 

「体験こそ理解への第一歩」障害への理解が広がる社会へ

田中博巳さんは、自分の子どもが障害を持っていることから、「障がいを持つ子の親として、子どもの未来をよりよくするための活動をあきらめるわけにはいかない」と強い決意を持って、「ちょこボラ」という事業について提案しました。障害者と社会の接点を増やし、地域社会に理解があれば、障害者とその家族が暮らしやすい社会になるという思いがあったからです。

 

「ちょこボラ」とは、企業が毎月1回、社会貢献や社員教育を目的に、社員を平日の午後にボランティアとして地域の障害者施設に派遣し、実際に障害者のサポートを行うことで、支援や理解の輪を広げる取組みです。派遣された人が、体験した事を自分の家族、友人、同僚などに話すことで、理解が広まり、障害者サポーターやボランティア、障害者雇用が増えていきます。ちょこボラで体験した事が、「困っている人を助けたいけれど、あと一歩勇気が出ない」という人の背中を押してくれるきっかけになることを目指します。田中さんの夢は、障害を持つ人も持たない人もお互いに助け合い、成長できる社会が広がっていくことです。

 

壁のない暮らしやすい社会で、その人らしく生きるために

藤波永子さんは、障害を持つ弟と一緒に外出することが恥ずかしかった経験がありました。

 

家族でレストランに行ったとき、テーブルマナーがわからず落ち着きがない弟を見て、一緒に外食はできないと感じました。しかし、藤波さんが福祉施設で働くようになり、障害を持っている人でも、社会で活躍できる可能性を感じました。弟にも、テーブルマナーを教えてみると、覚えてくれました。一緒にレストランに行けることがわかったのです。そこで、障害を持つ人でも自分の夢を持ち、社会で活躍できるように支援をしたいと考えました。藤波さんは、障害者にマナーを教えたり、コミュニケーション能力を磨いたり、職業訓練をする機会を提供するNPO法人を作り社会で活躍できる人に育てていくことが夢です。

 

プレゼンターが、自分の描く夢や実現したい事業について発表を終えると、7名の熱い思いに会場からは共感と応援のあたたかい拍手が送られました。福祉に携わる人の夢を聞き、障害者福祉について前向きな気持ちになる1日になりました。今後もこのようなイベントが広がり、継続されていくことが期待されます。

 

■当日の様子(動画)→ユースのページをご覧ください。

取材先
名称
さぽ☆どり実行委員会
概要
さぽ☆どり実行委員会
https://sapodori-yume.webu.jp/

(さぽ☆どり事務局)
(社福)みずき福祉会「町田福祉園」
http://www.mizuki.machidafukushien.com/
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