みたかボランティアセンター ボランティア推進係
左）土屋 大祐さん、右）髙橋 圭一さん
あらまし
- 学校で行われてきた福祉教育は、コロナ禍で教科書の内容の履修のみになったりオンライン上での当事者との交流に制限されたりなどの影響がありました。
- 子どもたちの学びの環境が大きな変化を迎えるなか、福祉を身近に感じてもらうには何ができるのでしょうか。今回は、小中学生が気軽に・楽しく福祉にアクセスできる工夫をさまざま展開している三鷹市社協にお話を伺いました。
楽しみながらボランティアに取り組んでもらうために
みたかボランティアセンターでは、三鷹市内の公立中学の全生徒に『みたかボランティア手帳（通称「みたボラ」）』を学校経由で配布する取組みを令和３年度から開始しています。
これは、三鷹市内の中学生のボランティア活動を推進するために作成されたもので、活動内容と受け入れ先団体からのコメントを記録することができます。希望があれば小学生にも「みたボラ」を渡しており、兄・姉が「みたボラ」を活用しながらボランティアをする姿を見て「自分もやりたい！」と言う子もいるそうです。
「みたボラ」の運用開始にあたり、ボランティアの受け入れ団体となる福祉施設のほか、公立の小中学校、教育委員会や校長会、青少年対策地区委員会などに出向き、説明を行いました。こうした普及・理解促進に力を借りたのが「スクール・コミュニティ推進員（以下SC推進員という。）」です。三鷹市ではコミュニティ・スクールを基盤とした小・中一貫教育を推進しており、学校と地域をつなぐSC推進員が配置されています。直接相談することはなかなかハードルが高いときも、SC推進員にかかわっていただくことで学校にも受け入れてもらいやすいそうです。
「みたボラ」は５マス埋まると認定証がもらえる仕組みで、運用して３年目に入り１冊目を終了した「みたボラ エキスパート」が約40名、５冊目を終了した「みたボラ レジェンド」が２名いるとのことです。認定証を発行する際は、欄が埋まった「みたボラ」のコピーを学校から交換便で社協に送っていただいており、学校の協力が子どもたちのボランティア活動を後押しします。朝礼で表彰している学校や通知表にボランティア活動の取組みを記載している学校もあるそうで、土屋さんは「問合せも増えており、少しずつ浸透していることを実感しています。ゆくゆくは小学生にも広げていきたいですね。」と話します。課題としては「私立中学に進学する子に配布できていないこと、ボランティアの受け入れ団体への周知がまだ足りないことです。」とのことでした。
「みたボラ」は生徒手帳サイズ！
表紙のキャラクター“ミーボ”は中学生のアイデアです♪
「ボランティア出前講座」と「夏！体験ボランティア」の連携
みたかボランティアセンターでは、新たなテーマに関するボランティア講座を立ち上げました（テーマ：防災・SDGsとフードロス・多文化共生・SDGsと地球温暖化）。例えば小学校での防災講座を企画する際の打合せにはSC推進員にも同席していただき、地域特性に応じた内容で開催したそうです。「夏！体験ボランティア」ではボランティア講座の受講もメニューに加え、小中学生からも多数の参加がありました。
学校で開催した「ボランティア出前講座」の感想は、全小中学生に配布されたタブレットで感想を入力してもらっています。ボランティアへの関心など率直な意見を聞くことができ、髙橋主査は「子どもたちからの意見も参考に今後の企画を考えていきたい。」と言います。
参考：「夏！体験ボランティア2023 報告書」
小中学生のボランティア推進のために
今後取り組みたいこととして、子どもたちの中から「ボランティアライター」を募集しボランティア活動を取材したり、「夏！体験ボランティア」の参加者の交流会をしたりできないか検討しているそうです。「ボランティアは社会とつながる経験のひとつです。子どもたちの意見を聞き、自分たちで取り組みたい活動がでてきたらサポートしていきたいですね。」とお２人の展望をお聞きしました。
学習指導要領では小中学校を通して「主体的・対話的で深い学びの実現」が目指されています。様々な方法でボランティアを経験し、多様な価値観・考え方を持つ子どもたちが福祉につながり続けてくれることを願っています。
参考：三鷹の教育政策の概要
https://www.mitakashakyo.or.jp/vc
