(社福)東久留米市社会福祉協議会
社協とサポーターでつくるひきこもり支援の輪
掲載日:2024年3月21日

左から 東久留米市社会福祉協議会 大澤康規さん、地域福祉コーディネーター 天野博美さん

ひきこもり家族会運営メンバーの皆さん

 

あらまし

  • コロナ禍において、これまで把握されていなかった地域課題が顕在化され、生きづらさを抱えた人の孤立が深まり、課題が複雑化しています。そうした生きづらさを抱えた人へのアプローチとして、ひきこもり家族会を関係団体と連携して運営している東久留米市社協の取組みを紹介します。

 

地域課題からひきこもり家族会立ち上げまで

東久留米市には、不登校を考える会や生きづらさを抱える方への学びの場、フリースクール、障害者就労支援団体など、不登校やひきこもり、また、生きづらさを抱える方々に向けた活動団体が複数ありました。

 

しかし、市内にひきこもり家族会はなく、社協と行政との定期的な打ち合わせでは、自立相談支援事業や地域福祉コーディネーターの個別支援の状況から、ひきこもり当事者と家族が孤立しているという課題が共有されていました。そのため、年齢や障害の有無に関係なくひきこもりについて悩みを話し合える場、そして、当事者家族同士が知り合い、情報を得られる場が必要とされました。

 

そこで、支援者とのつながりが要になると考え、地域福祉コーディネーターが、不登校やひきこもり、生きづらさを抱える方々に向けて市内で活動されている団体に話を聞いて回ったといいます。すると、みなさん家族会のような場が必要だと考えており、社協と市内の関係団体がともに支援する場として「ひがしくるめ ひきこもり家族会」を立ち上げることとなりました。

 

立ち上げに向けて、最初から決めごとをするのではなく、どのような家族会にしたいのか、関係者の思いを汲み取り、話し合いながら準備をしてきたといいます。関係団体の活動は様々で、対象者も異なりましたが、全員が地域の福祉課題を考え同じ目的をもって進めてこられました。そして、参加者が安心して話せる分かちあいの場にすること、また、そこから情報を得て次につながる場にすることを目標に、令和2年12月からひきこもり家族会準備会をスタートしました。その後、令和5年度より準備会を取り、主催は地域福祉コーディネーター事業として継続しながら、運営メンバー(家族の有志、サポーター、地域福祉コーディネーター)による開催となりました。

 

ひきこもり家族会が暮らしの支えに

家族会には、毎回10~20名程度の方が参加されています。年齢層は幅広く、20代から80代まで、小学生から60代のひきこもり状態の方のご家族や当事者が来られています。毎回来られる方や生活に変化があった時に報告に来られる方など、自分のペースで参加できる居場所になっています。そして、家族会では親戚や友人には話しにくいことも打ち明けやすく、喜びや苦しみを共有することで、家族自身が元気を取り戻し、ご家族とご本人の暮らしを支えています。定期的に家族会を開催し、活動を継続していることで、いつでも話に行ける場所があるという安心感につながっているのではないかと話されます。

 

サポーターの存在

「ひがしくるめ ひきこもり家族会」は、立ち上げから関わっている、NPO法人オニバスの種 どじょっこの会(登校拒否・不登校を考える東久留米の会)、一般社団法人Polyphony リカバリーカレッジ・ポリフォニー、小さなフリースクール・ひらけごま!&だがしやかなん、社会福祉法人椎の木会 東久留米市障害者就労支援室あおぞら、一般社団法人 ひきこもりUX会議の5団体が、サポーターとして参加しています。

 

そして、今年度から偶数月は家族とサポーターで運営し、奇数月は地域福祉コーディネーターも一緒に運営をしています。東久留米市社協は地域福祉コーディネーターが1名であるため、サポーターの存在は家族会の運営に欠かせません。

 

サポーターは、参加者の年代やひきこもり状態の家族との関係性を考慮して、当日のグループ分けをし、家族会が終わった後には気になった方に声をかけ、地域資源の情報を伝えたりと様々な働きかけをされています。さらに、家族会参加者がサポーター所属団体の活動につながるケースも多いといいます。

 

ひきこもり家族会が入り口となり、参加者の関心にあわせて、その後つながれる活動があること、また、行政と関わりのある社協が運営に携わることで、公的機関につながっている安心感が参加者を孤独にさせず、大きな後押しとなっているのではないかと話されます。

 

また、参加者の多くが「自分だけだと思っていた」「こんなことを話していいのか」「ひきこもりというけれど、まったく外に出ていないわけではなく対象外になるのではないか」と不安を抱えながら来られるといいます。今回取材させていただいた運営メンバーの方々は、「主人公は来てくださったご家族であり、この活動はご家族の最初の一歩。参加者の期待を裏切らないように、帰りには話せてよかったと思ってもらえること、また何かあった時に話そうかなと思ってもらうことが大事。」と話し、ご家族の思いに寄り添い活動をされていることがわかりました。

 

そして、ひきこもり家族会とは別日に、運営メンバーで振り返りや情報共有、運営の方針などを話し合う時間を設けています。家族会ミーティングではそれぞれが大事にしていることを持ち寄りつつ、すり合わせながら進め方を検討することで、新たな気付きがあり、回を重ねるごとにネットワークが強化され、「ひがしくるめ ひきこもり家族会」の強みとなっています。

取材先
名称
(社福)東久留米市社会福祉協議会
概要
(社福)東久留米市社会福祉協議会
https://www.higashikurume-shakyo.or.jp/
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