(社福)渋谷区社会福祉協議会
13名の地域福祉コーディネーターを配置し、「福祉なんでも相談」「分室相談」「巡回相談」「LINE相談」と包括的相談支援の間口を広げるとともに、既存の相談機関の垣根を越えた連携、多世代にわたる地域づくりをめざす―渋谷区社協における重層的支援体制整備事業の取組み
掲載日:2024年3月28日

 

Ⅱ 『渋谷区地域福祉計画』と渋谷区社協

1 地域共生社会の実現をめざした区の地域福祉計画

渋谷区では、「渋谷区基本構想」における『長期基本計画』をふまえ、制度・分野ごとの縦割りや「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民をはじめ、地域で活躍するさまざまな団体が地域の担い手としての役割をもって地域とつながっていくことをめざし、令和4年度から令和8年度までを計画期間とする『渋谷区地域福祉計画』が策定されました。計画では社協が策定する『渋谷区地域福祉活動計画』と連携を図りながら、一体的に施策を推進していきます」と明記されています。前述の社協の『第2期地域福祉活動計画』と策定委員会も同じ委員長です。また、社協が策定中の第3期の地域福祉活動計画はこの計画と合わせた令和8年度までの計画とする予定です。

 

 

区の地域福祉計画では、以下の4つの「基本施策」と11の取組を位置づけています。

 

 

2 社協に「地域福祉コーディネーター」を配置

地域福祉計画では、従来の福祉サービスや制度の狭間で潜在化・複雑化している課題を把握するとともに、地域における関係機関のネットワーク化を進めるため、新たに地域福祉コーディネーターを配置することが盛り込まれました。

 

計画に基づき、渋谷区社協に次の表のように、令和3年度以降、順次増配置され、地域のアセスメント、社会資源の把握に取り組み、令和5年度からは全体を統括する係長1名と担当エリアをもつ12名の計13名の地域福祉コーディネーターが配置されました。13名全員が生活支援コーディネーターを兼務しています。

 

 

令和5年度から配置されている、担当エリアをもつ 12 名の地域福祉コーディネーター兼生活支援コーディネーター(以下、生活支援コーディネーターを兼務する場合も「地域福祉コーディネーター」と称す)は、区内を地域包括支援ケアの日常生活圏域に合わせた「北部」「西部」「東部」「南部」の4つのエリアに分けて、各エリアに3名ずつを配置しています。区内の地域特性として、「北部」「西部」は庶民的な町並みが広がる比較的つながりの強い地域で、「東部」「南部」は大学もあり、若者も多くおしゃれな町並みが広がる地域となっています。なお、区内の圏域は民生児童委員協議会が7地区、地域包括支援センターが 11か所となっています。

 

12名の地域福祉コーディネーターは、区役所2階の渋谷区社協地域福祉課地域総合相談支援係に席をもっていますが、日中は地域の会合などに出向いたり、家庭訪問やアウトリーチなどの個別支援をしています。また、区役所2階での「福祉なんでも相談窓口」の対応のほか、後述する渋谷区文化総合センター大和田9階に令和5年11月に開設された「分室」での相談にも対応しています。毎日、夕方に全員で「夕礼」を行い情報の共有をしています。大和田の「分室」に出向いている地域福祉コーディネーターはZoomで参加しています。月2回は係のミーティングを実施しています。

 

「地域福祉コーディネーター」の業務は区の「地域福祉課」が所管し、「生活支援コーディネーター」の業務は「介護保険課」が所管しています。区の所管は異なりますが、『渋谷区地域福祉計画』では、「地域住民の場づくりを支援する『生活支援コーディネーター』、地域課題の把握や包括的な支援を行う『地域福祉コーディネーター』」と、2つのコーディネーターの役割を整理しています。その両方を地域福祉コーディネーター全員が兼務しており、一見すると、「地域福祉コーディネーター」は個別支援に寄っているように見えますが、実際には、各エリアで地域福祉コーディネーター兼生活支援コーディネーターが両方を兼務して業務に当たることで、個別支援と地域づくりの双方の視点を持つことができています。2つの所管が異なることから、今後、区において地域福祉課と介護保険課と連携した地域づくりも重要になると考えられます。

 

渋谷区社会福祉協議会 地域相談支援係 地域福祉コーディネーター(南部)

左から、横關昌弘さん、林紀子さん、塙梨咲子さん

 

 

渋谷区社会福祉協議会 地域相談支援係 地域福祉コーディネーター(北部)
左から、宇都宮愛子さん、福地里奈さん、三宅真弓さん

 

 

取材先
名称
(社福)渋谷区社会福祉協議会
概要
(社福)渋谷区社会福祉協議会
https://www.shibuyashakyo.or.jp/
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