(社福)東京都社会福祉協議会
福祉施設における社会福祉士配置に係る実態調査 ―福祉施設管理者の5割超が社会福祉士に期待
掲載日:2018年1月29日
2015年8月号 東社協発

本会では、平成13年度から、現任福祉事業従事者が社会福祉士国家資格を取得する際の支援として、「社会福祉士国家試験対策講座」を開催しています。近年、地域包括ケアシステムの構築等、地域の関係機関との調整、多職種の連携等が求められる際に、その役割を担う存在として社会福祉士への期待は高まっています。また、福祉制度改革の中で、ソーシャルワーカーとしての社会福祉士への期待は大きいものの、その期待と資格取得や育成等に関して課題は少なくありません。

 

こうした中、東京都内の福祉施設における社会福祉士配置状況、配置後の評価、その他配置に係る実態を把握することで、その課題などを関係機関等に提起することを目的に本調査を実施し、758か所の福祉施設の管理者の方にご協力をいただきました。

 

 

 

福祉施設管理者の57・9%が「社会福祉士が必要」とし、57・4%が「社会福祉士に期待」しています

●6割近い施設管理者が社会福祉士は必要とし、ほぼ同数が社会福祉士に期待しています。

●一方で、いずれも3割超が「どちらともいえない」と回答しています。期待の度合いが明確になっていない結果となっています。

 

社会福祉士に期待していることの第1位は「利用者への高度な相談援助」、次いで「利用者本位の支援」、「利用者の権利擁護」と続きます

●施設管理者が、社会福祉士に期待する役割として一番多く回答があったのは「利用者への高度な相談援助ができること」です。

●施設種別ごとにみると、高齢分野では全体と同じ「利用者への高度な相談援助ができること」ですが、障害分野では「利用者本位の支援ができること」、児童分野では「利用者の権利擁護ができること」が第1位となっています。

 

福祉施設管理者の53・7%が「未取得者に資格取得をしてほしい」とする一方、「どちらともいえない」が44・3%、資格取得する場合に支援策を設けている施設は47・5%にとどまる

●53・7%の管理者は「未取得者に資格取得してほしい」としていますが、「どちらともいえない」という回答も44・3%あります。

●施設職員が資格取得する場合の支援策は51・3%が設けておらず、有資格職員への給与の反映のない施設も45%あります。

●介護分野では7~8割(本会調査から)の施設で支援策を実施しており、社会福祉士資格が福祉施設の職種(配置)や業務と連動せず、社会福祉士への期待は高いものの、資格への期待と実際の業務にズレがあることがうかがえます。

 

養成機関への期待は「相談援助の技術を高める養成」、社会福祉士会への期待は「専門性を高める育成の充実」

●管理者が養成機関に期待することは「相談援助の技術を高める養成」「実践力を高めるための実習教育の充実」「地域のネットワークを築く力を高める養成」と続きます。

●社会福祉士会に期待することは「専門性を高める養成の充実」「社会的評価が高まる活動」「報酬等の制度の向上につながる活動」となっています。

 

福祉施設の管理者が社会福祉士に何を期待するのか、そして資格制度と福祉施設の職種や業務との関係等、今回の調査結果からさらに分析を行う必要があると考えています。

 

<調査報告書の詳細HP>

http://www.tcsw.tvac.or.jp/chosa/documents/270702shakaihukusisi.pdf

報告書巻末に調査結果を受けて実施した意見交換会概要も掲載しています。

取材先
名称
(社福)東京都社会福祉協議会
概要
(社福)東京都社会福祉協議会
https://www.tcsw.tvac.or.jp/

■「社会福祉施設における社会福祉士配置に係わる実態調査」
 ・調査期間:2015年2月~3月
・調査報告書:http://www.tcsw.tvac.or.jp/chosa/documents/270702shakaihukusisi.pdf
・ニュースリリース:https://www.tcsw.tvac.or.jp/chosa/documents/270701shakaihukusisi.pdf
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