(社福)福島県社会福祉協議会 社会福祉施設部会・協議会
支援につなげるためには、情報の集約と発信が大切
掲載日:2017年12月23日
ブックレット番号:3 事例番号:29
福島県福島市/平成26年3月現在

 

施設が支援を求める情報を市民にも発信

全国の応援組織から食料品をはじめとした物資が送り届けられ、それを県社協では必要としている施設に次々と配分していきました。村島さんは「こういうときには、公平に配分しようとストックするのではなく、とにかく必要と思われるところにどんどん出していくことが必要。後から批判されることをおそれて『被害の全体がわかってから』と考えると、せっかくの支援が無駄になってしまう」と話します。この作業を限られた人員体制の中でこなしていきましたが、今関さんは「物資については、それを誰かが専任で調整できる体制があることが望ましいと思う。施設が何を必要としているかを把握して、その手配をどこでできるかを調整できる人がほしかった」と、ふり返ります。

 

3月16 日には、県内の福祉施設が物資の確保に苦慮している状況を少しでも支援するため、ホームページを通じて広く支援を呼びかける取組みを始めました。まずは、県内の福祉施設に対して次のような呼びかけを行いました。

 

 

施設からは、「食料」「介護・衛生用品」「その他」「その他、何かありましたら記入ください」という項目で支援を求める情報をとりまとめ、それをホームページで公開しました。随時、求めに応じて情報を増やし、充足したとの連絡があれば消していきます。関係者で情報を共有して支援に結びつけるだけでなく、広く市民も含めて支援を求めました。支援できる方が直接、施設に連絡をとって届けてもらうという方法です。

災害時には、福祉施設や要援護者の状況は意外なほどマスメディアを通じて知らされない現状があります。市町村の災害対策本部に集まった救援物資を施設が取りに行った際に、施設だからといって多くの物資を必要としても優先してもらえることはなかったことも報告されています。近くの災害ボランティアセンターにお願いして毛布があれば回してもらえないかをお願いしたこともありました。

実際にホームページで公開した情報の一部は次のようなものでした。

 

 

市民に対しては、次のようにホームページで呼びかけています。

 

 

施設が地域の要援護者を受け入れていることや施設がどのようなことに困っているかを身近な地域住民が知ることは難しい現状があります。東日本大震災でも、施設が自らの窮状を訴えるために施設内の状況を動画に映し、YouTube で発信した取組みもありました。そうした手段も有効な情報発信の一つですが、都道府県社協や種別協議会が個々の施設による情報発信とともに、施設や要援護者のおかれている状況を広く伝えていくことは必要な取組みといえます。

 

要援護者固有の物資の確保が困難

要援護者支援では、一般には手に入りにくい物資が不足します。不足したトロミ剤は他の施設から持ち寄るだけでは足りず、片栗粉で即席のトロミ剤を作るために材料を買って集めることもしました。不足した物資の中で手配が特に困難だったのは経管栄養剤でした。

さまざまな種類があり、必要なものを入手することが難しく、3月末にようやく全国老人福祉施設協議会を通じて手配ができました。

村島さんは「特に医療的ケアにかかわる物資は十分に備蓄しておくか、災害時に提供が得られるよう医療機関と提携しておくことが必要。施設所在地に戻れない災害の場合には、非常に深刻な状況に陥る」と指摘します。

 

取材先
名称
(社福)福島県社会福祉協議会 社会福祉施設部会・協議会
概要
(社福)福島県社会福祉協議会 社会福祉施設部会・協議会
http://www.fukushimakenshakyo.or.jp/
タグ
関連特設ページ