石川県輪島市
能登半島地震で日本初の福祉避難所を設置
掲載日:2017年12月18日
ブックレット番号:3 事例番号:30
石川県輪島市/平成26年3月現在

 

能登半島地震の教訓を生かした取組み

能登半島地震の教訓をもとに、輪島市では、福祉避難所における①『設置・運営協定の締結』、②『マニュアルの作成』、③『設置・運営訓練の実施』の3つに取組んでいます。

平成19 年12 月から福祉避難所設置・運営協定の取組みをすすめ、16 事業者と締結し定員190 名を確保しています。能登半島地震の経験をふまえ、避難者の状態急変に対応するため、看護師が常駐している事業者と締結しています。高齢者だけでなく障害者の施設とも締結し、妊産婦・乳幼児については平成26年度に協定締結を予定しています。また、福祉用具を取り扱っている市内3つの事業者と「福祉用具優先供給協定」を締結しています。これは、災害時に紙おむつや紙パンツ、特殊尿器、入浴補助具等を優先的に購入できたり、車いすや寝具、体位変換器等を優先的にレンタルできるようにしたものです。また、洗濯機や冷蔵庫などの一般家電製品等は、大型ホームセンターと協定を締結し、優先的に

購入できるようにしています。

平成24 年には「福祉避難所設置・運営マニュアル」を策定しました。災害の経験のない職員でもマニュアルどおりに実行すれば福祉避難所を設置できることをイメージして、できるだけ簡潔にまとめました。マニュアルでは、福祉避難所の利用対象者には災害時要援護者がほとんど含まれると考え、緊急時には一般避難所に災害時要援護者のデータを提供することにしています。また、災害時には公用車は物資運搬や罹災調査で使用する可能性が高いため、福祉避難所への移送手段は原則、避難者家族が負担することにしました。さらに、災害時に福祉避難所設置の業務を行う「連絡員」を位置づけています。「連絡員」は、災害対策本部が設置され、福祉避難所設置の要請があった際に担当課長が市職員の中から任命します。業務内容は、協定を締結している法人への福祉避難所設置の依頼や、介助員の派遣要請、地域包括支援センターを通じた対象者の情報整理など、福祉避難所設置・運営にかかわるコーディネート全般です。また、福祉避難所設置に使用する書式類を様式集としてまとめています。

 

 

 

災害発生時における福祉避難所の設置運営に関する協定(PDF)

 

そして、平成24年度からマニュアルをふまえて訓練を定期的に実施しています。訓練の目的は福祉避難所の理解促進とマニュアルの検証です。市の防災訓練に合わせて実施し、2種類の訓練を同時に実施しました。1つは、要援護者が自宅から一次避難所に行き、そこから二次避難所である福祉避難所へ避難する流れを実際に行いました。もう一方では、マニュアル上に位置づけた「連絡員」が行う事務作業を実際にシュミレーションしました。この訓練をもとにマニュアルを2度修正しています。

河崎さんは「福祉避難所の設置は早くても災害が発生してから2、3日後になる。一般の方は避難所に行ってもらい、在宅の要介護者を施設の定員超過で受入れてもらう流れを決めておけば、福祉避難所を利用する方は限られてくる。ルールを作り、行政と事業者間で理解を深めるための訓練を定期的に実施することが大切」と話しました。

 

【訓練の様子】

 

 

 

 

 

 

 

取材先
名称
石川県輪島市
住所
石川県輪島市
http://www.city.wajima.ishikawa.jp/
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