(一社)山形県老人福祉施設協議会
県内ブロック単位の相互応援協定と 広域の防災ネットワーク
掲載日:2017年12月12日
ブックレット番号:3 事例番号:31
山形県山形市/平成26年3月現在

 

行政からの理解と支援のもと協定の実効性を高める

協定はあくまでも基盤であり、その締結がゴールではありません。村山地区では、以降、この協定を機能させるため、マニュアルづくりをはじめとする具体的なしくみづくりに着手しました。このしくみづくりにあたっては、行政として山形県村山総合支庁が「高齢者福祉施設防災体制構築事業」を同地区の防災ネットワーク本部である特別養護老人ホーム「ながまち荘」(山形県山形市)に3年間にわたって業務委託を行っています。同事業では、「高齢者福祉施設防災体制構築支援員」をながまち荘に1名配置し、施設間の有機的な連携を強化して協定の実効性を高めることで施設利用者等の安心と安全を確保することをめざしました。

 

 

協定を機能させるため、各施設が役割を理解した組織体制を

マニュアルづくりにあたっては、先行した取組みを行っていた神奈川県高齢者福祉施設協議会のマニュアルを参考にしました。「村山地区特別養護老人ホーム 災害時施設相互応援協定施設 災害時相互支援活動マニュアル」(平成24 年6月)では、マニュアルに基づく支援のしくみを具体的にまとめるとともに、その実施を担保するため、各施設が防災体制を確立することを位置づけています。そのため、マニュアルの構成は大きく分けて、(1)「組織体制」、(2)「連絡体制」、(3)「災害時の対応」、(4)「書式」と(5)各施設が講じておく対策を自主点検できる「66のチェック項目」(柱立て:①立地条件を知る、②施設の安全性を確認する、③職員体制を確保する、④マニュアルを作る、⑤ライフライン停止時の対応を考える、⑥施設を孤立させない、⑦施設に備蓄する、⑧行政・同種施設・地元自治会・関係機関と協定を締結する)から成ります。

 

山形県老人福祉施設協議会会長の峯田幸悦さん(特別養護老人ホーム「ながまち荘」施設長/村山地区特別養護老人ホーム災害時施設相互応援協定本部長/山形県高齢者福祉施設災害時施設相互応援協定本部長)は、マニュアルに位置づけたブロック内の組織体制・連絡体制の特徴を次のように話します。「本部・副本部となる施設は少なくとも10 年は変えない。どの施設が担うかを決めて、たとえ老施協などの会員組織における役職が変わったり、施設長が交代してもその施設が担う。施設として誰でも役割を担えるようにしておくことで、災害時に『自動的にしくみが動く』ようにしておくことが非常に重要だ」と指摘します。協定はあったけれども機能しなかったということがないよう、人ではなく施設として果たすべき役割を共有しておくための一つの工夫といえます。

 

こうしたしくみがあったため、最近では平成25 年7月に県内を襲った豪雨災害では、一斉メールで状況確認をすすめて県にも報告し、施設が必要な物資をいち早く把握しました。そして、企業を通じて支援を得た物資を各施設にすぐに配布しました。「依頼に基づいて配布するのではなく、ネットワークの中で自動的に情報が集まり、ニーズがあるとわかれば自動的に配布する。こうした迅速な対応が災害時には必要となる」と、峯田さんは指摘します。

 

 

 

相互応援協定があることで、福祉避難所の指定を積極的に

一方、平成24 年9月時点で山形県では福祉避難所を指定済の市町村は17.1%に止まっていました。これはその時点で全国最下位の割合でした。峯田さんは山形県老施協会長として「社会福祉法人が地域の拠点になるのはあたり前のこと。行政から福祉避難所になってほしいといわれてするのではなく、自ら積極的に担うべき。そのために、老施協としても各施設が頑張れるように支援する」と話します。

 

山形市では施設側が調整役を担い、「福祉避難所指定推進会議」を設置して市役所との調整を重ねて、平成24 年8月には山形市に対して「市内24 全ての特別養護老人ホーム・養護老人ホームを福祉避難所に指定してほしい」という要望書を提出しました。

 

その結果、同月には市内の全施設が市と福祉避難所協定を締結しました。5月に市の担当者との打ち合わせを始めてからわずか3か月で協定の締結にまで至っています。これを皮切りに県内では競い合うように、同様の動きが広がり、平成25 年2月の上山市に始まり、朝日町、河北町、酒田市、白鷹町、大江町、平成26年1月の山辺町と続々と特別養護老人ホーム等と市町村の間で福祉避難所の指定がすすみました。

 

施設相互の応援協定があることにより、他の施設からの人的な支援体制が期待できます。各施設が自信をもって積極的に地域における役割を果たすことをすすめることができたことは、協定の大きな成果の一つといえます。

 

災害時における福祉避難所の指定等に関する協定書(PDF)

 

山形市とながまち荘の協定でも、その第13 条において「平素から情報交換を行い、市と施設が連携して円滑な運用に努める」と定めています。峯田さんは「細かいことは協定を結んでから走りながら決めていけばよい。まずは、施設が頑張ろうという姿勢を見せることが大切」と話します。

 

 

取材先
名称
(一社)山形県老人福祉施設協議会
概要
(一社)山形県老人福祉施設協議会
http://scws.yamagata.jp/
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