荒川区介護サービス事業者連絡協議会
災害時の専門職連携を考える~福祉避難所を知る~
掲載日:2018年3月29日
2018年2月号 TOPICS

グループディスカッションの様子

 

平成30年1月18日、荒川区介護サービス事業者連絡協議会(以下、荒川連協)主催の研修会「災害時の専門職連携を考えるVol.1~福祉避難所を知る~」がサンパール荒川にて開催されました。荒川連協は区内の介護サービス事業者約150団体・300施設が法人種別を問わず集まり、介護や福祉の質の向上を目的としたさまざまな活動を行っているネットワーク組織です。今回の研修は夜間の開催にもかかわらず約50人の従事者が参加し、平成28年熊本地震における実践報告やグループディスカッションを通して福祉避難所について理解を深めました。

 

荒川区の福祉避難所のしくみ

冒頭、荒川ボランティアセンターの浅野芳明さんから荒川区の福祉避難所の概況について説明がありました。荒川区地域防災計画では、福祉避難所は一次避難所(一般の避難所)と同じく発災当初の段階で区の決定により設置されます。現在、高齢者施設15か所、障害者施設13か所が指定されており、避難想定数は支援者を含め3千200人となっています。

 

特別養護老人ホームなど通常業務を休止できない指定施設もあるため、発災当初の開設とその後の運営は大きな課題です。浅野さんは「福祉避難所を運営するためには、外部支援者やボランティアを受入れる体制を整えておく必要がある」と話します。

 

南阿蘇の福祉避難所

次に、熊本地震の際に南阿蘇村の福祉施設で外部支援者として臨時ボランティアコーディネーターを務めていた(社福)大阪ボランティア協会の小林政夫さんから、福祉避難所を運営する施設の状況や課題について報告がありました。

 

グループホームや有料老人ホーム等を運営する(株)南阿蘇ケアサービスでは、東日本大震災での支援の経験から専門職支援者やボランティアコーディネーターが必要と判断し、発災翌日には関係者等に派遣要請の情報発信を行いました。小林さんは副ホーム長の出身大学関係者が集まる場で偶然その話を聞き、熊本入りすることになりました。

 

同施設は福祉避難所の指定を受けていませんでしたが、デイサービス利用者の家族から施設への避難を希望する声があったことから、役場に申請して福祉避難所として要配慮者を受入れることにしました。そして、体育館での生活が困難な方や避難所閉鎖に伴う再避難を強いられた方など、合計18人を受入れました。18人中10人は初対面で普段の様子がわからず対応が難しい部分もありましたが、職員や専門職ボランティアが協力して避難生活を支えました。

 

次々に発生する課題に対応

施設と福祉避難所の運営においては、時期によりさまざまな課題がありました。感染症対策、非常時の高ストレス状態からくる職員間の関係悪化、通勤困難による離職、定員超過に伴うケアの質の保持、要配慮者の次の行き先確保の難航、ボランティアの受入れ疲れ……。それらの一つひとつは法人が対応しながら、ボランティア関係のトラブルは小林さんが調整しました。

 

同施設では、平成28年4月16日から8月4日までに延べ1千515人のボランティアが活動しました。ボランティアの中には長期滞在者やリピーターの他、その後同施設の職員やアルバイトになった人もいます。専門職ボランティアのうち団体経由で入っていた方は、施設や経営者同士がもともとつながっていた場合が多く、小林さんは「災害時には平時からのつながりやネットワークが生きてくることを実感した」と話します。

 

継続開催で学びと関係性を深める

実践報告に続いて福祉避難所の指定を受けている施設からも現状報告があり、その後に福祉避難所の課題についてグループディスカッションを行いました。今回の研修で初めて福祉避難所の存在を知ったという参加者もいましたが、区内の状況や実践報告をふまえ、活発に意見交換をしていました。

 

研修を企画した荒川連協研修講習委員会委員長の石渡康子さんは「南阿蘇でボランティア活動を行い、福祉避難所や専門職連携について考える必要性を痛感した。今回がスタートなので、今後も続けていきたい」と継続的な学びの場をつくるとしています。こうした取組みが平時からのネットワークづくりにつながっていきます。

取材先
名称
荒川区介護サービス事業者連絡協議会
概要
荒川区介護サービス事業者連絡協議会
http://arakawa-renkyo.com/
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