(社福)八晃会 宝光保育園 岡村 浩充さん
中堅職員としての自覚をもち、現場を引っ張っていきたい
掲載日:2018年3月30日
2018年3月号 福祉のおしごと通信

宝光保育園 保育士 岡村 浩充さん

 

あらまし

  • 自分の強みを活かしながら保育士としてキャリアを重ねている岡村浩充さんのおしごとの魅力をお伝えします。

 

園で初の男性保育士として

高校時代は硬式野球に打ち込んでいました。進路を決める際、進学するなら仕事につながるものがいいと考えてはいたものの、就きたい仕事の具体的なイメージはありませんでした。そんな時、友達が保育士をめざすと聞いて「そういう道もあるのか」と思い、保育系短大に進学。新卒で入職して16年目になります。

 

園では初めての男性保育士だったので受け入れる側も戸惑いがあったのではないかと思いますが、肩肘張らず自然に接してくれたおかげで、すぐに職場に慣れることができました。2~3年目までにはルーティンの業務をしっかりこなすことができるようになりましたが、一方で「このままでいいのだろうか? 女性保育士との違いは? 自分の存在意義はなんだろう?」と考え始めていました。

 

悩んだあげく、自分の得意な分野を伸ばして業務に活かそうと考えました。私は体を動かすことが大好きだったので、幼児体育指導者検定を受検して1級を取得しました。身につけたスキルは普段の保育に活かせるようになっただけでなく、他の職員にも伝えることができたり、親子のスキンシップを目的とした運動遊びクラブ「げんきっこ」の開催などにつながるなど、自分らしさを発揮できたように思います。

 

先日、当時一緒に講義を受けていた別の施設の男性保育士と偶然再会して、いろいろな話をしました。自分自身のことよりもみんなが働きやすい職場環境をどうつくるかといったことが話題の中心で、私も同じようなことを考えていたので心強く感じるとともに、キャリアを重ねてお互いそういった立場になったのだと実感しました。

 

成長を見守ることが楽しい

入職して10年目のある時、卒園児から「先生は昔怖かった」と言われてドキッとしたことがあります。今から考えるとおこがましいことですが、以前は子どもたちに対して「自分が何とかしてやろう」と考えていた部分がありました。今なら、子どものありのままを受入れ、成長を見守ることが大切なのだとわかります。自分の保育のスタイルを見直すきっかけになる一言として、印象に残っています。

 

子どもたちは遊びの中でトラブルになることもありますが、子どもなりに解決策を考えて一つひとつ乗り越えていくことができます。人とのつながりの中で子どもが成長していく様子を近くで見られることが、保育のしごとの楽しさのひとつだと思います。

 

「マウンテンズ」が地域を元気に

平成21年から園の男性職員4人で結成した「マウンテンズ」というグループの活動を続けています。日の出町では年長児の就学前交流会を実施しているのですが、そこで子どもたちみんなが一緒に歌って踊れる曲があったらいいねと集まったのが始まりです。音楽が得意な事務職員が曲を作り、保育士3人で振り付けを考えました。

 

少しずつ活動が広がり、福祉施設や産業まつりなど、子どもに限らずいろいろなイベント等から声がかかるようになりました。結果的に、社会福祉法人として地域に溶け込んでいくきっかけとなる活動のひとつになりました。

 

また、東日本大震災の時には、被災した石巻の保育園を支援するため、自作CDを販売して売上を義援金として届ける活動も行っていました。今は牡鹿半島で学習支援をしている方のグループを立ち上げるプロジェクトを支援しています。

 

「マウンテンズ」の活動には近隣保育園、幼稚園の先生や放課後デイサービス職員、体育指導者などが興味を持ってくださり、今ではメンバーが13人に増えました。保育園や幼稚園という枠を超えた仲間の存在がいい刺激になっていますし、賛同してくれる方や保護者の方々との地域ネットワークができてよかったと思います。

 

現場を引っ張っていける存在に

園では27年度から、OJTやヒヤリ・ハット等の5つの係活動に取組んでいます(現在は活動を縮小)。保育や調理、用務、事務等の担当の枠を超えて編成された各係がひとつのチームとして物事にあたる環境があることは、私たち職員のやりがいにもつながっています。専門性の違いに関係なくみんなで園のことを考えて、同じ方向を向いていけたらいいと思います。

 

私自身は、29年度から副主任保育士として年中クラスを担当しています。前年までは3~5歳児のフロアリーダーをしており、役割が大きく変わったわけではないと感じていますが、処遇改善加算による役職手当もつき(※)、より責任感が増してきました。

 

特に意識しているのは、後輩の指導です。これまでは楽しく仕事をすることを重視して、現場がうまく回るように配慮しつつ、できていないところは自分がフォローすればよいと考え、指導することを苦手にしていました。しかしこれからは、子どもとの関わり方、言動、立ち居振る舞い等、伝えるべきことをしっかり伝えていかなければいけません。そのうえで、職員が前を向いていけるような関わりができたらと考えています。これまでと同じく職員と積極的にコミュニケーションを取り、楽しく仕事をすることを大切にして、現場を引っ張っていける存在になりたいと思います。

 

※【技能・経験に応じた保育士等の処遇改善】

新たに副主任保育士など中堅の役職を創設し、その職務・職責に応じた処遇改善を行うことにより、保育園等におけるキャリアアップのしくみの構築を支援する国の施策。平成29年度から実施。

 

福祉職をめざす人へ

福祉は人と人とのつながりが大切だと感じます。自分がどうしたいかという思いは大事ですが、私自身がそうだったように、それがわからない時もあります。いろいろな人に話を聞いて、時には流されることがあってもいいと思います。福祉だからと難しく考えず、まずは目の前の人と話をしてみる、聞いてみる、楽しく過ごしてみる。そういった関わりから見えてくるものがきっとあります。

 

目の前の人に寄り添う気持ちがあれば、心が自然と福祉に向いていくと思います。

 

プロフィール

  • 岡村浩充 Hiromitsu Okamura
  • 社会福祉法人八晃会 宝光保育園 副主任保育士
    平成13年に日の出町の宝光保育園に入職し、29年度から現職。
    男性保育士による子どものための歌とダンスのグループ「マウンテンズ」としても活動中。
取材先
名称
(社福)八晃会 宝光保育園 岡村 浩充さん
概要
(社福)八晃会 宝光保育園
https://sites.google.com/site/hachikokaihoko/
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