(社福)東京都社会福祉協議会
会員施設、区市町村社協からの情報把握訓練を実施
掲載日:2017年12月13日
(社福)東京都社会福祉協議会
ブックレット番号:3 事例番号:34
東京都新宿区/平成26年3月現在

 

訓練をふまえた課題

そして、訓練実施後、改めて青梅市、瑞穂町で協力社協・施設に集まってもらい、訓練のふり返りを行いました。

 

最も大きな課題は、電話による把握で今回の訓練では想定以上に時間がかかったということです。協力施設からは「最低限として確認しておくべき項目は掲載されている」という感想があったものの、「発災当日に電話等で情報収集の連絡を受けたときの心情を改めて想像すると、積極的に回答できるゆとりがあるかは難しい部分もある。確認する情報量は臨機応変にしておく必要がある」、「把握シートの最初に『大丈夫か/大丈夫じゃないか/助けがいるか/助けがいらないか』を聞き、それ以降の項目は余裕があれば聞くというようにしてはどうか」、「電話よりも携帯電話で入力できるようなフォームがあらかじめ用意されているとよいのではないか」という声もありました。また、「現在可能な通信手段を把握することで、今後、どのように連絡を取るかを確認できるので、重要な項目だ」という指摘もありました。

 

一方、この訓練を実施してよかった点として、施設として被害情報を外部に発信する想定であらかじめ具体的な被害状況の検討を内部でできたことが挙げられます。「施設内で災害時の対応について検討するよい機会となった」、「現実的に起こりそうな被害想定を具体的に検討できた」、「想定時刻がデイサービス利用者の集まりだす10時という時刻だったため、それに伴って出てくる課題を具体的に検討できた」、「立川断層を震源とする震度5強という想定をふまえて、地理的な状況を考えながら実際に使用が困難となる交通ルート、実際に起きたときに必要となる物資の品目や量、職員の出勤体制など現実的な内容を施設内で検討できた」、「他の施設と防災の取組みを情報交換できた」ということが挙げられました。

 

こうした訓練のための検討は、支援を求めるために情報を伝える必要があるという意識づくりにもつながりました。さらに、被害状況をまとめることで利用者の家族に対する情報提供のあり方を考えるきっかけにもなりました。「データをホームページで公開することで、利用者の安否を心配する家族に情報が届きやすくなる」という声があった一方で、「高齢の家族の場合になかなかホームページだけでは情報提供できない」という意見もありました。東社協では、この訓練の結果をふまえ、シートや実施方法について必要な見直しを検討し、その活用を定着させる取組みをすすめていく予定です。また、把握した情報をどのように誰と共有すべきかをあらかじめ決めておくことが今後の検討課題となります。

 

そして、訓練から3 か月が経った平成26 年2月14〜15 日。大雪に伴い、東京都内でも青梅市、奥多摩町、檜原村で孤立世帯が発生する状況が生じました。東社協では、積雪が多かった地域の社協、施設、民生児童委員に電話で連絡を取り、状況を把握した上で、大島の土石流災害と同様に東社協ホームページにその情報を掲載しました。さらに、知的発達障害部会では2月17 日に会員施設319 か所に対するアンケート調査を実施し、その結果を部会内で共有するとともに、東社協ホームページに掲載する取組みへとつながっています。

取材先
名称
(社福)東京都社会福祉協議会
概要
(社福)東京都社会福祉協議会
https://www.tcsw.tvac.or.jp/
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