府中市民生委員児童委員協議会
子どもたちの未来それを支える地域社会「民生委員制度100周年児童委員制度70周年記念講演会」
掲載日:2018年7月3日
2018年6月号

 

 

あらまし

  • 民生委員制度創設100周年・児童委員制度創設70周年を記念し、平成30年5月18日(金)に府中市市民活動センタープラッツバルトホールで、府中市民生委員児童委員協議会主催の記念講演会が開催されました。

 

はじめに、府中市民生委員児童委員協議会会長である芝辻義治さんより、「民生委員・児童委員は地域の一員として地域社会を見守り、住民に寄り添いながら、さまざまな困りごとに向き合い、解決に取組んできた。この講演会が、地域のみなさまの活動のヒントになれば幸いである」と挨拶がありました。

 

子どもが育ちあう場所

NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長の奥山千鶴子さんより「子どもたちの未来それを支える地域社会」をテーマに講演がありました。

 

奥山さんは、横浜市港北区において平成12年に「NPO法人びーのびーの」を設立し、子育て中の親たちとともに「おやこの広場びーのびーの」を開設。平成18年には港北区地域子育て支援拠点「どろっぷ」を、横浜市港北区より受託、開設されています。

 

講演では、日本における子育ての現状について、また、「地域で共に育ち合う子育て環境づくり」を目指した「おやこの広場びーのびーの(以下『ひろば』)」の活動紹介がありました。

 

「『ひろば』は、親子が密室育児にならないよう、地域のシニアやボランティアの力を借りながら子どもの遊びや育ちを見守り、人と人、人と地域をつなげる機会の提供をする場所。子どもたちが、親以外の色々な世代の人と関わるという経験を通して基本的信頼感を育むことができるというのが『ひろば』の良さ」と奥山さんは話します。

 

また「遊びを通して得られる〝意欲〟や〝折り合いをつける力〟は子ども同士で育まれる。昔は、子ども達は皆、地域の中で遊んでいて自然とその力がついていたが、今は意図的に機会をつくらなくてはいけない。『ひろば』は、大人たちの見守りの中で子ども同士が育ち合う場にもなっている」と言います。

 

また、「『ひろば』を卒業した子育ての当事者である親が、ボランティアとして『ひろば』の活動に関わっている。親も参加の機会が与えられればサービスの受け手だけにならず、活躍できる」と話し、子どもだけではなく、その親も主体的に参画し、一緒に子どもを育む環境をつくっていくことが大切であると指摘します。

 

地域に迎え入れる温かい眼差しを

少子高齢化がすすみ、生涯未婚率が高まる中、「子育ての制度は整備されてきているが、家族の問題は多様化・複雑化している。乳幼児と接した経験が無いまま子育てをスタートする若い世代が増えている」と奥山さんは話します。

 

また、全国の子育てひろばを利用している親に対して調査を行ったところ、約7割が出身地ではない地域で子育てをしているとの結果が出たと奥山さんは説明し、出身地以外の地域での育児でも、地域子育て支援拠点を利用した後には「子育てが辛いのは自分だけではないと思えるようになった」「子育ての悩みや不安を話せる人ができた」など前向きな声が多く聞かれたと言います。

 

そして民生委員をはじめとした周りの支援者は、「温かく迎え入れる」「身近な相談相手となる」「利用者同士をつなぐ」「利用者と地域をつなぐ」「支援者が積極的に地域に出向く」ことが大切であると話されました。また、共働き世帯が増加していることから地域子育て支援拠点が土日に開設する重要性も示されました。

 

最後に奥山さんは、色々な人が関わっていくことで、地域の中で支えられて子育てをしていると感じられるように支援をしていくことが求められているとした上で、「民生委員の皆さんには、子育て家庭を温かく迎え、理解者であっていただきたい。

 

優しくされた方は、次の方に優しくできる。世代を超えた『支援の循環』を地域の中で作っていけたらと思っている」と講演を締めくくりました。

 

みんなで食べるご飯、そこから広がる支援の輪

続いて、府中市で子ども食堂の運営等を行う団体「こどもの居場所作り@府中」代表の南澤かおりさんが活動についての事例発表をされました。

 

地域のお店や企業から食材の提供、民生委員やボランティアの方々の協力のもと、平成28年4月の開始から平成30年3月までの子ども食堂の開催回数は23回、参加人数はのべ558人、市内全域から子どもが参加しています。

 

南澤さんは、「子ども食堂は貧困がクローズアップされるが、誰でも来ることができ、ご飯を食べ、おしゃべりをして一緒にいられる場所。そこから支援の輪が広がっていくと考えている」と話されました。

 

現在、市内に3か所ある子ども食堂のネットワークづくりもすすめており、「困っているということを声に出しやすく、支援が必要な子どもや親に寄り添える地域であってほしいと願い、活動を続けている」と結びました。

 

◆◆◆

子どもや、その親を取り巻く環境が変化していく中で、子育てひろばや子ども食堂などの活動が全国的に広がりを見せています。民生委員をはじめとした地域のさまざまな組織や個人が連携し、活動を支えていくことが求められています。

 

取材先
名称
府中市民生委員児童委員協議会
概要
府中市民生委員児童委員協議会
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