(社福)聖風会 吉田 浩一さん
ゴールがない福祉の楽しさを伝える仕事を担いたい
掲載日:2018年7月18日
2018年6月号 福祉のお仕事通信

吉田 浩一さん

 

 

あらまし

  • 特別養護老人ホームを縁の下から支える、事務職として働く吉田浩一さんにおしごとの魅力を伺いました。

 

まさか福祉業界に就くなんて

高校卒業後は公務員として勤務していましたが、人と関われるサービス業界に興味を持ち、調理専門学校へ入学しました。就職活動中、親から「安定している福祉業界で働いてみたら?」と声をかけられたことがきっかけで、聖風会で調理員として就職しました。そのときは老人ホームがどういったところかも分からないくらい、福祉に関する知識や経験はありませんでした。

 

配属された特別養護老人ホームでは、一緒に働く同僚に可愛がってもらいながら楽しく勤務していました。コックコートを着て、ご利用者がいるフロアに行くと「ごはん美味しかったよ。いつも食事楽しみにしているよ」と声をかけていただいたことが、当時の原動力でした。

 

そして、ちょうどその頃は介護保険が施行され、提供する食事も自前調理から委託制度に変わっていく転換期でした。聖風会でも業務委託することになりました。そんなとき、法人の現会長から「事務職として働かないか」と声をかけられました。職場環境や人間関係に恵まれていたため、他の会社に転職することは考えず事務職に移りました。異動後は経理を担当しました。

 

実は奥が深い事務職

これまでの経験から、平成28年より法人本部の立ち上げに携わり、現在は人事担当として新卒採用や外国人の受入れを担当しています。日本は高齢者ケアの技術が世界トップレベルと言われています。その技術を学びたくて福祉施設に就職を希望している外国人が多くいます。聖風会では外国人を労働者として考えるだけではなく、母国に戻ったときに役立つような技術を習得してほしいという思いから受入れています。聖風会に就職した職員が楽しそうに働く姿や、「入職して良かった」と言ってくれることが何よりも嬉しいです。

 

また法人本部事務局の責任者として、法人運営のほか、経営層が参加する会議に出席することもあります。

 

事務職は誰にでもできる仕事と思われるかもしれませんが、ご利用者や職員のことだけでなく、建物や法人の歴史のことも把握しておかなければなりません。さらに、問い合わせを最初に対応する窓口は、事務職が多いです。相手が何を知りたいかを聴き取るコミュニケーション能力も必要です。私にとって、公務員時代に尊敬する先輩に出会えたことは、とても貴重な経験でした。コミュニケーション以外にも、人材育成の面や仕事への取組み方など、その先輩から学んだことが今活きていると感じています。とくに「上司は指導する職員の面倒を見るのは当然」という職場環境だったことは、私が指導する職員を持ったときに参考になりました。

 

事務職は他職種同士の潤滑油のような立場なので、他部署との連携が大切です。職員に頼られる機会も多く、期待に応えるために上司と試行錯誤しながら、事業所を盛り上げたいと考えています。それは裏方である事務職のやりがいかもしれません。

 

もっと福祉の楽しさを伝えたい

 

福祉の楽しさを伝える聖風会のパンフレット

 

福祉業界の事務職が一般企業の事務職と異なるところは、問い合わせ対応から経理・人事・庶務・給与まで幅広い業務を経験でき、いろんなスキルを使いこなせることです。最近は福祉業界もグローバル化がすすみ、ビジネスチャンスが増えてきています。たとえば、留学経験を活かしながら通訳として介護技術を外国人に伝えるという働き方もできます。

 

事務職に求められることの中で、私は福祉の魅力を外部へ伝えることが大切だと考えています。最近は社会福祉を専攻していない学生へ福祉の魅力を伝えることに苦戦しています。福祉は成果がすぐ目に見えず、長いスパンで考えるもので、仕事の楽しさを感じるのはケアの本質を知ってからだと思います。聖風会では今年からインターンシップを受入れる予定ですが、短時間で福祉の魅力を伝える方法を模索中です。

 

福祉にはゴールがないので、興味があることはどんどん挑戦できます。これは、福祉業界の強みだと思っています。福祉は暗いイメージを持たれがちですが、とても楽しい仕事だということを、私の経験を交えながらこれからも伝えていきたいです。

 

プロフィール

  • 吉田 浩一 Kouichi Yoshida
  • 社会福祉法人聖風会  法人本部事務局 課長
    平成5年に調理員として入職し、13年から事務職に異動。28年度から現職。
取材先
名称
(社福)聖風会 吉田 浩一さん
概要
(社福)聖風会 
http://www.seifuukai.or.jp/
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