社福連役員と事務局のみなさん
あらまし
- 平成28年9月に設立した東京都地域公益活動推進協議会は、(1)各法人、(2)地域(区市町村域)の連携、(3)広域(東京都全域)の連携の三層の取組みにより、社会福祉法人の「地域における公益的な取組み(以下、地域公益活動)」を推進しています。
(2)の推進にあたっては、地域ネットワークの立ち上げのための事務費や、複数法人の連携事業開始時期の事業費の助成を行うとともに、地域ネットワーク関係者連絡会等を開催し、他の地域と情報交換できる機会をつくっています。
連絡会設立の経緯
板橋区では、平成27年2月に高齢・児童・障害各分野の社会福祉法人施設長9名からなる世話人会「板橋区社会貢献事業等情報交換会」を立上げ、社会福祉法人が社会から求められていることや果たすべき役割について、情報交換を重ねてきました。28年2月には、これからの社会福祉法人のあり方や地域における公益的な取組み等の先進事例を学ぶ講演会を開催し、区内社会福祉法人施設連絡会立上げへの機運を高めていきました。そして28年6月29日、区内の社会福祉法人が連携を図り、地域公益活動の取組みを検討・実施していくことを目的に、区内79施設の参加を得て「板橋区社会福祉法人施設等連絡会」(以下、社福連)を設立しました(30年7月現在の会員数は91施設)。
社福連への加入は、スピード感をもって区全域に発信していきたいという思いから施設単位としました。役員は代表幹事1名、副代表幹事2名、常任幹事1名、幹事7名、会計監事2名で、事務局は板橋区社協が担っています。世話人会から関わり、現在は社福連の代表幹事を務めるケアタウン成増施設長の坂本寛さんは「数名の幹事が東社協の関連委員会や部会等で活動しており、発足当初から地域公益活動についてとても前向きだった」と当時の様子を話します。
28年度は、施設長による情報交換会や講演会のほか、板橋区社協主催の「いたばし社会福祉大会」における永年勤続者表彰を実施して、これまで少なかった多分野の施設間交流を行いながら、役員会を中心に今後の活動の検討をすすめていきました。
オール板橋による取組み
役員会での検討を経て、29年度から社福連のネットワークを活かした〝オール板橋〟による地域における公益的な取組みを開始しました。
(1)フードドライブ
一般家庭にある食品をさまざまな機関・団体が拠点となって集め、フードバンク団体等に寄付する運動がフードドライブです。社福連では、加入施設が実施する子どもの貧困対策や居場所づくり、子育て支援活動等の「子どもサポート活動」に多くの施設が参加しやすい形で関わることができるよう、このしくみを活用しています。
まず、社福連加入施設ごとにフードドライブを実施し、職員や利用者、地域住民から食品を集め、期日までに社福連に提供します。社福連は事前に配分登録申請をした施設等に対し、役員会での審査を経て食品を提供します。29年12月に実施した第1回は42施設が参加し、集まった2千559品を福祉施設やフードバンク等の8施設に届けました。また、30年7月に実施した第2回ではさらに1施設増えるなど、少しずつ取組みが広がっています。
社福連では、将来的には各施設において特色ある子どもサポート活動が実施されるよう「食品をみんなで集めてみんなで活用する循環型オール板橋の取組み」をめざしています。
第2回フードドライブの仕分け作業
(2)シェアいたばし〜社会福祉資源ガイド〜
「シェアいたばし」は、社福連加入施設が地域住民や団体等に貸し出せる物品や会議室等のスペース、専門相談・講座等の情報を地域別・項目別にまとめたガイドブックです。町会や自治会、学校関係行事等で資源を活用してもらうことで、施設と地域がつながりを深め、地域活動を活性化することを目的に作成されました。29年度に発行した冊子2千部は区内の町会・自治会、老人クラブ、小・中学校PTA等に配布されており、30年度には専用ホームページの公開を予定しています。
坂本さんは「地域の方々に社会福祉法人の存在や活動が理解されていなかったが、『シェアいたばし』を通じて少しずつ浸透してきた」と手応えを感じています。板橋区社協経営企画推進課係長の富澤千恵さんは「資機材の貸出しは施設と地域の方が顔つなぎをするきっかけになる。情報は常に変わるので、ホームページで更新していきたい」と話します。板橋区社協では「シェアいたばし」を活用した地域での取組みをより充実させるため、施設の行事機材購入支援事業の準備をすすめています。
地域と専門職をつなげ、新たな活動を生み出す
フードドライブで集めた食品の一時保管場所を提供した幹事でマイライフ徳丸施設長の高麗正道さんは「社福連ができて区内施設が集まるプラットフォームができた。スケールメリットを活かしてできることを考えていきたい」と話します。
事務局として社福連の活動を支えてきた富澤さんは「立上げ当初から代表幹事を中心に社会福祉法人が主体性をもって運営してきた。課題は分野や施設規模、体制がさまざまな会員が、今後もより主体的に参加していくためにはどうしたらいいか。参加してくれれば、経験を持ち帰り、自分の法人なら何ができるかを考えてもらうきっかけになる」と言います。さらに「地域と専門職をつなぐのは社協本来の役割」だとし、「つなぐ場や機会をつくると新しいしくみや取組みが生まれる。社福連もそういう場になっていくと確信している」と展望を抱いています。
坂本さんは、「個々の社会福祉法人としての使命感とともに、役員や社協の熱意によってこの会が運営されている。加入施設が種別を超えて仲良くなれたことがうれしい」とこれまでの活動を振り返ります。そして、「行政も生活困窮者支援や子どもの居場所づくりなどの施策を本気ですすめようとしている中、社会福祉法人や施設の持つ力に期待している。常に新しい活動を提案し、施設が地域にとってより身近な存在となり、地域共生社会の実現に向けて貢献していきたい」と今後の目標について語ります。
https://www.tcsw.tvac.or.jp/koueki/kushichoson/itabashi/
(社福)板橋区社会福祉協議会
http://www.itabashishakyo.jp/