大島町地域包括支援センター
関係機関と連携した安否確認、避難への支援
掲載日:2017年12月18日
ブックレット番号:3 事例番号:36
東京都大島町/平成26年3月現在

 

大島町では島内唯一の地域包括支援センターを社会福祉法人「椿の里」が運営しています。大島町地域包括支援センターでは、土石流災害当日の安否確認にはじまり、その後の避難勧告等に伴う避難への支援、要援護者名簿の整備などの取組みを行ってきました。

 

大島町地域包括支援センターによる高齢者の安否確認

土石流災害が発生した10 月16日、大島町地域包括支援センター管理者の齊藤由紀子さんは「まずは情報収集と安否確認をしよう」と地域包括支援センター内で話し合いました。地域包括支援センターが担当している要支援1、2の利用者のうち、被災地域(元町2〜3丁目)の方と独居高齢者40 名に電話し、全員の安否が確認できました。ケアマネジャーがついている高齢者についてはケアマネジャーと情報交換しました。そして、10 月16 日から18 日までの間に、被災地域(元町2〜3丁目)の65歳以上の55 名の高齢者の安否確認を行いました。当初は要援護者名簿の整備をしていなかったため、町から提供を受けていた65歳以上の高齢者名簿を使って連絡をしました。電話で連絡がつかなかった方には訪問し、避難している方も避難所を訪問して状況を把握しました。町、社協、介護サービス事業所で情報を共有し、結果的に地域包括支援センターが支援中の方で被災により亡くなられた方がいたこともわかりました。

 

10 月18 日には避難勧告に備え、要援護者名簿の作成にとりかかりました。町と地域包括支援センターで協議し、要援護者名簿の対象を「要介護認定を受けている人」と暫定的に決めました。大島では、障害者、難病患者で避難を要する者の多くが高齢者であったためこのような対応としました。障害者・難病者等については、町がリスト化し名簿に含めました。ケアマネジャーと情報交換しながら名簿を作成し、2度の避難勧告発令に伴いこの名簿をもとに福祉避難所に受入れを行いました。

また、個人情報の流出を防ぐため、要援護者名簿を町とメールでやり取りする際にはパスワード制限をかけ、会議等で配布する際には回収しました。

 

大島町地域包括支援センター

管理者 齋藤由紀子さん

 

 

島外避難の意向調査

10 月22 日、台風27 号・28号の発生を受け、町より島外避難者の意向調査を行うとの連絡が入りました。全島を対象に要介護認定を受けている高齢者等が中心です。地域の消防団と分担して意向調査を行いました。担当ケアマネジャーを通して、避難希望の有無、付添者の有無、希望避難場所等の内容を確認し、とりまとめて町へ提出しました。

23 日から24 日にかけて、高齢者・障害者、妊産婦等の要援護者、計127 名(付添者含む)が都内の国立オリンピック記念青少年総合センター、島嶼会館、社会福祉施設に分散して避難し、28 日〜29 日に帰島しました。齋藤センター長は島外避難の意向調査をふり返り、「島外避難の意向調査を行った時点では、送迎や出発時間、避難先等の詳細な情報がなく、要援護者に説明する際に苦慮した。避難先等の情報があればもっとスムーズに行えたのではないか」と指摘します。

 

島外避難の様子

 

落ち着いてきた後のかかわり

土石流災害が落ち着いた後は、要援護者の避難支援体制の整備に力を入れています。地域ケア会議で話し合い、要援護者名簿の作成と福祉避難所の整備をすすめています。被災を受けた元町地域に住む要介護認定を受けていない独居高齢者を訪問し、支援が必要かどうか確認したり、民生児童委員が要援護者候補として挙げた要介護認定を受けていない高齢者については、保健師が訪問して本人の状況や希望を確認した上で、必要と認めた場合は要援護者名簿に追加しています。保健所、町の保健師が被災者を訪問する中で継続的なかかわりが必要な高齢者については、地域包括支援センターが引き継いで関わっています。

 

 

 

取材先
名称
大島町地域包括支援センター
概要
大島町地域包括支援センター
http://care-net.biz/13/tubakinosato
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