(社福)大島社会福祉協議会、大島町子ども家庭支援センター、ホテル椿園 清水 勝子さん、大島マリンズFC
大島土石流災害から5年の福祉〜日々を取り戻してもなお…。そして、新たなつながり〜
掲載日:2018年10月9日
2018年10月号 NOW

チームで被災者を見守り続ける ―大島町被災者生活支援連絡会

28年3月から大島社協が事務局となり、運営している「大島町被災者生活支援連絡会」は、(1)大島社協、(2)大島町民生児童委員協議会、(3)東京都大島支庁、(4)東京都島しょ保健所、(5)大島町役場(福祉けんこう課、子ども家庭支援センター、土砂災害復興推進室)がメンバーとなっています。約400人分の被災者のデータベースを作成し、定期的に集まってそれぞれが把握する情報を共有しています。冒頭の八木さんは、この連絡会の会長を務めています。

 

今年9月18日に開かれた第46回連絡会では、被災で家族を亡くしたり、生活状況が大きく変化した高齢者、障害者、子どものケースを重点的に情報交換しました。事務局を担う大島社協事務局長の藤田好造さんは「安心して地域に任せられるようになったケースは重点リストから外していく。いつの日か0人になってほしいが、今は7人が重点リストに残っている」と話します。

 

連絡会では、被災者の近況を報告しあうとき「お元気そうでしたが…」という前置きが目立つようになりました。一見は日々の暮らしを取り戻したように見えても、ずっと関わり続けているからわかる「気になる様子」。そして、その課題の根っこをよく知るからこそ、なかなか解決できなくても継続して見守り続けます。大島社協ボランティアセンター副所長の鈴木祐介さんは、「人間関係やお付き合いが大切と改めて気づかされた」と話します。一人ひとりの現状を聞きながら、八木さんは「頑張りすぎなきゃ良いけどね…」と言葉をもらしました。

 

大島町北の山地区の元民生児童委員 八木 靖雄さん

 

 

大島町被災者生活支援連絡会

 

 

右:大島社協事務局長 藤田 好造さん
左:大島社協ボランティアセンター 副所長 鈴木 祐介さん

 

前向きに思える活動が日々あること ―精神障害者が通う黒潮作業所

大島社協が運営する「黒潮作業所」には、島内で生まれ育った精神障害者11人が通っています。素材にこだわって作っているパンは住民が並んで買いに来るほど。また、北の山地区の高齢者世帯の配食サービスの弁当は作業所で作っています。それを利用者が届け、高齢者から「ありがとう」とお礼を言われます。

 

黒潮作業所でも5年前の災害では利用者1人が被災し、本人は救出されて病院に搬送されたものの、親が行方不明となりました。また、発災当日の朝、作業所に出勤した職員のところへ泥まみれになった利用者がやってきました。彼は家の近くが被災し、無事ではあったものの、落ち着いた場所にたどり着きたいという想いで、作業所まで懸命に歩いてきました。

 

作業所のサービス管理責任者を務める下司恵子さんは「災害後、利用者たちには『落ち込み』があった。だからこそ前向きな気持ちになれるように心がけてきた。例えば、搬送された仲間が元気になることをみんなで待とうとか。発災当日は休止せざるを得なかったが、翌日には再開できた。直接、被災していなくても不安な気持ちが大きい彼らには、災害時に日中活動がなくなることはつらい」と指摘します。今は、パンを作り、食事を作る日々が彼らにあります。

 

黒潮作業所

 

取材先
名称
(社福)大島社会福祉協議会、大島町子ども家庭支援センター、ホテル椿園 清水 勝子さん、大島マリンズFC
概要
(社福)大島社会福祉協議会、大島町子ども家庭支援センター、ホテル椿園 清水 勝子さん、大島マリンズFC
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