(社福)足立区社会福祉協議会
社会福祉法人が分野の垣根を越えて連携し、地域の課題に即した取組みを推進
掲載日:2018年10月9日
2018年10月号 連載

 

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あらまし

  • 平成28年9月に設立した東京都地域公益活動推進協議会は、(1)各法人、(2)地域(区市町村域)の連携、(3)広域(東京都全域)の連携の三層の取組みにより、社会福祉法人の「地域における公益的な取組み(以下、地域公益活動)」を推進しています。東京都地域公益活動推進協議会では、地域ネットワークの立ち上げのための事務費や、複数法人の連携事業開始時期の事業費の助成を行うとともに、地域ネットワーク関係者連絡会等を開催し、他の地域と情報交換できる機会をつくっています。

 

 

足立区では、平成29年8月31日に足立区社会福祉法人連絡会(以下、連絡会)が設立されました。居場所づくりの取組みとして、複数の法人が連携して子ども広場「おれんちハウス」を開催しています。地域のニーズに合わせた取組みを検討し、社会福祉法人が分野の垣根を越えて連携してすすめています。

 

 

連絡会設立の経緯

平成27年8月に、足立区内に法人本部を置く35の社会福祉法人に対し、地域公益活動の取組みやその連携に向けたしくみづくりについてアンケートを実施。一部では、地域公益活動について十分に理解されていない法人もあり、地域公益活動に関する情報や認識を共有する試みとして同年12月に合同勉強会ならびに意見交換会を開催しました。その後、改めて実施したアンケートの回答の結果、7法人から連絡会設立に向けた準備会への協力回答が得られ、28年7月に足立区社協を含む8法人で準備会を発足しました。準備会は、意見交換や情報交換からスタート。連絡会設立に向けて会則や事業計画、収支予算、取組みの検討、入会促進用リーフレットの作成などをすすめました。8回の準備会を重ね、29年8月31日、足立区に法人本部を置く法人ならびに足立区で活動する事業所で構成する足立区社会福祉法人連絡会(会長 社会福祉法人聖風会 近藤常博理事長)を設立しました。(設立当初会員数102人、30年8月現在115人)

 

設立総会にて、地域における「制度の狭間の課題」や「複合的課題」に対し、高齢、障害、児童などの分野の垣根を越え、率先して取組んでいくことが確認されました。そして今後連絡会では(1)地域公益活動、(2)人材発掘・育成、(3)情報発信・共有の取組みをすすめていくこととしました。

 

社会福祉法人の連携による取組み

(1)地域公益活動
社会福祉法人が連携して行う「子どもの居場所づくり」を地域公益活動の具体的な取組みとしてすすめています。

 

準備会で「子どもの居場所づくり」の必要性があがり、社会福祉法人親隣館が所有している一軒家を活用して29年8月に5日間試行しました。その後さらに検討を重ね、29年10月から子ども広場「おれんちハウス」を毎月一回土曜日に開催しています。対象を貧困などの抱える課題で限定せず、小学生であれば無料で誰でも参加することができます。会場の関係もあり、チラシは作成せず児童分野の法人の声かけや、口コミで伝わるなどして、毎回平均して10人ほどの子どもが参加しています。29年度は6回開催し、のべ38人の参加しました。運営スタッフは、現在4法人が参加し、子どもたちの見守り、学習支援、昼食の提供をします。開催時間は10時から14時30分、途中参加や退室も自由です。子どもたちが来ると、まず宿題や勉強を行います。その後昼食をはさみ、遊んだり、本を読んだり、将棋をしたりと自由に過ごします。子どもたちからは「いろんなメニューがあって、ごはんがおいしい」「楽しい、また次も来たい」といった声が聞かれました。

 

29年12月には、「クリスマス子ども食堂」を開催。他団体が行うチャリティイベント「あだちサンタウォーク」の参加費の全額を「クリスマス子ども食堂」の経費として寄付がありました。企画から運営まで5法人15人が関わり、遺児など17人の子どもが参加しました。

 

この「子どもの居場所づくり」の取組みは連絡会が経費を負担するとともに、運営スタッフの募集、各法人や関係機関との連携や調整などを行います。また、単体では地域における公益的な取組みを実施することが困難な小規模の法人でも、連絡会に参加し、活動することでその責務を果たすことができるような位置づけとしています。

 

社会福祉法人親隣館理事長で連絡会副会長の渡邉義也さんは「連絡会での居場所づくりの取組みは現在1か所の開催だが、それだけでは全く足りない。地域には子どもに限らず福祉的な課題があり困っている人がまだまだたくさんいる。区内の各地域で取組みを広げていきたい」と話します。

 

来たらまず宿題や勉強

 

 

近くの公園でスイカ割り

 

 

この日のメニューは素麺

 

(2)人材発掘・育成
福祉人材不足の状況が続き、今後ますます厳しくなることが予想されています。連絡会会員アンケート結果においても「福祉人材確保が課題である」という回答が見られました。定年退職者や主婦、外国人、障がい者、学生などの地域に潜在する福祉人材の調査・発掘および育成・養成のしくみ(あだち人財カレッジ)づくりをすすめています。福祉の仕事を希望する方を対象にした介護職員初任者研修や職業体験、外国人向けの日本語講座などの機会を関係機関と協働して提供するしくみを検討しています。また、大学生のボランティア活動の活性化に向けた取組みとしてボランティア活動に対する表彰制度を設けようと、区と大学と連携して準備をしています。

 

(3)情報発信・共有
連絡会では、さまざまなツールを用いて情報発信、共有を行っています。連絡会会員のメーリングリストを作成し、取組みや活動状況を発信しています。活動の運営スタッフ募集や、法人のイベント情報を連絡会で共有するときも、このメーリングリストを活用しています。また、各法人が単体で実施している取組みを足立区社協職員が取材し、地域活動リポートとしてメーリングリストや足立区社協のホームページなどへ掲載しています。30年7月には連絡会のポスターを作成し、各法人や関係機関へ配布し活動PRをしました。今後は、会員同士による情報交換会や勉強会、交流会なども企画しています。

 

連絡会ポスター
連絡会会員の法人が一目でわかるデザイン

 

 

地域の課題に即した取組みを

連絡会の活動にも少しずつ芽が出始め、法人が今後一層連携して取組んでいくという気運が高まっています。事務局を務める足立区社協福祉事業部企画経営課課長の高橋祐治さんは「連絡会が形骸化しないようにする必要がある。連絡会に参加しているという帰属意識が保てるような取組みをすすめていくことも大切」と指摘します。

 

今後の活動の展開については、「足立区の地域には5つのブロックがある。繁華街のある地域、再開発がすすむ地域もあれば、以前からの住宅街の地域もあるなど、同じ区内とはいっても地域ごとに特徴がある。また住んでいる方も多様で、抱えている課題もさまざまである。11月の勉強会では、地域連携をテーマにそれぞれの地域のニーズに合った活動について検討する予定。さらなる活動、展開に繋がれば」と期待を話します。

 

 

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取材先
名称
(社福)足立区社会福祉協議会
概要
(社福)足立区社会福祉協議会
http://adachi.syakyo.com/
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