(社福)大島社会福祉協議会 大島町民生児童委員協議会
島民同士のつながりを活かした支援 〜悲しみの分かち合いと今後の生活再建に向けて〜
掲載日:2017年12月14日
ブックレット番号:3 事例番号:37
東京都大島町/平成26年3月現在

今後の支援活動の展開

現在、大島町民児協では、災害発生直後に実施した見舞訪問・調査から数か月が経過したことから、2回目の訪問・調査を計画しています。発災当初のニーズからは状況が変化してきていること、縁故避難を続ける方や一部損壊等で自宅に住み続けている方へのフォローが懸念されるためです。

 

また、被災地域や仮設住宅での見守り・声かけを一層充実させるため、民生委員の活動を補助する民生・児童委員協力員(東京都独自事業、以下、協力員)制度を活用し、仮設住宅が建設された地域と土石流被害のあった地域を担当していた元民生委員等を3名委嘱しました。

 

さらに今回の災害では、親が被災し遺児・孤児となったお子さんがいたり、子ども家庭支援センターや一部保育所が閉鎖となったり、学校が休校となるなど、直接的な被害のなかった子どもとその家庭にも大きな影響が出ました。そのため主任児童委員は、発災直後から関係者からの情報収集や地域の子ども・親御さんの見守りに努めてきました。今後も、主任児童委員が中心となり学校・児童相談所・子ども家庭支援センターとの地区連絡協議会を開催し、民児協全体で災害後の子どもたちの状況を確認し合い、情報共有を図っていくことになっています。

 

この度の災害では、災害ボランティアの宿泊先探しや炊き出し等、大島民児協に対して関係機関から協力依頼があった事項は限定的でした。そのため、発災依頼、調査・訪問活動を軸として独自の取組みをすすめてきました。

 

しかし今後は、役場や関係機関・団体と情報共有をすすめ、包括的な要援護者支援体制を築く必要があります。役場を中心とした要援護者支援の横断的な施策の検討と関係機関・団体とのネットワークの構築を推進していきたいと考えています。

 

 

活動をふり返って

全国各地の民生委員および民児協は、平成19年度から全国民生委員児童委員連合会の呼びかけに呼応し、災害時要援護者支援のための活動を展開してきました。これは日頃の民生委員活動を災害という視点から検証し、①委員自身が災害に備え、②災害時に適切な行動がとれるよう準備・訓練を行い、③活動で知り得た要援護者の情報を整理し、④地域での支援体制づくりに協力するとともに、⑤それらの情報を災害時の支援に活かすことを目的とするものです。

 

東日本大震災以降、度重なる自然災害への対応の教訓として、自らの安全と健康を守ることを第一とし、民生委員も被災者となることをふまえ無理のない活動を考え、委員同士が支え合い、地域ぐるみですすめることが重要とされています。

今回の発災以前から大島町民児協では、昭和61 年の三原山噴火の際の教訓を生かし、災害時要援護者名簿の整備や各種避難訓練への参加、災害対応に関する研修や救急救命講習の受講を通じて、災害に備える活動を行ってきました。そのため災害発生時も大きな混乱なく委員活動をすすめることができました。

 

加えて、発災当初は民児協組織として委員に一律の行動は求めず、個々人が自身の判断のもと、ボランティアとしてできる範囲での活動を行うこととしました。見守り、訪問・支援活動を重点的に行った委員、消防団として避難支援を行った委員、婦人会として炊き出しに協力する委員、災害ボランティアとして毎日のように社協に通った委員等、さまざまな形で各委員が支援活動を行いました。

 

一方、委員の中には自身の健康に不安がある者、家族の介護や仕事をしている者もいます。こうした委員各人の事情に配慮し、委員自身の安全が確保された上で、組織的な活動に着手しました。いままでの対応が民生委員として、あるいは民児協として最善であったかどうかは分かりません。しかし同じ島民として各委員ができることを、できる限り取組んだことは間違いないと思います。

 

その中で、いくつかの課題も見えてきました。

委員自身が島内にいないときの対応をどうするか、委員各人の状況によって活動に差がでる、避難や支援に関する情報が入りにくい(防災無線が聞き取れない、情報が遅い等)、避難に応じない要援護者が多数いる、自分たちが作成していた要援護者名簿が避難所におかれていない、消防等の関係機関に共有されていない、自主防災組織との連携をどうするか、島内の要援護者支援のネットワークをいかに築くか等々です。

 

こうした課題解決に向け、今後も継続的に民児協組織としての検討をすすめていく予定です。

 

 

最後に、今回の災害ではいち早く東京都民生児童委員連合会より見舞金(30万円)、全国民生委員児童委員連合会より災害救援支援の一時金(10万円)を頂戴しました。前述の訪問時に持参した見舞品の費用等に充てさせてもらっております。

 

発災直後に被災地民児協の裁量で利用できる支援金をいただいたことは、この地で支援活動を進める上で大きな力となりました。その他、都内・全国各地の民児協からも温かいお気持ちを頂戴しています。心から感謝申し上げるとともに、今後、長期にわたる支援活動を展開していく上で、大切な原資として活用させていただきたいと思っています。ありがとうございました。

取材先
名称
(社福)大島社会福祉協議会 大島町民生児童委員協議会
概要
(社福)大島社会福祉協議会
http://oshima.tokyoislands-shakyo.com/
タグ
関連特設ページ