長野 弘さん
エンジョイできる毎日を
掲載日:2018年10月9日
2018年10月号 くらし・今・ひと

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長野 弘さん

 

あらまし

  • 町田市介護人材センターのアクティブシニア介護人材バンクに登録し、町田市にある(社福)福音会  軽費老人ホームA型「町田愛信園」で働く長野弘さんにお話を伺いました。

 

私は新潟県出身で、昭和39年に起きた新潟地震は中学生のときに被災しました。そのときは仮設住宅もきちんと整備されていませんでしたが、被災直後の現場を目の当たりにした経験などから建築業に就職しました。その後、阪神淡路大震災や東日本大震災をテレビで見ました。東日本大震災のときはちょうど定年退職する年で、原発事故により避難所を転々とすることで高齢被災者の容態が悪くなっていくという情報を耳にしました。そこから何か高齢者のためにできることはないかと、定年後は福祉業界で働きたいと思うようになりました。

 

就職活動のためにハローワークに出向いて求人情報を探したり、介護職員初任者研修を受講したりもしましたが、勤務時間や仕事の責任の重さを考えるとなかなか希望の仕事と出会えませんでした。そんなときに、町田市介護人材センターで実施しているアクティブシニア介護人材バンク登録見学会のパンフレットが目に留まり、夫婦で参加した後、登録しようと決めました。

 

無理のない範囲で働く

アクティブシニア介護人材バンクに登録したのはこの事業が始まったばかりの頃でした。最初はデイサービスで週3日、1日8時間送迎などの仕事をしました。そして今年の8月からは町田愛信園で週5日、1日5時間勤務しています。仕事内容は、周辺整備(介護職員のサポートをする仕事)を担っています。例えば、ラジオ体操の準備や、食事の配膳・下膳、買い物のお手伝いや清掃業務です。夜間勤務があると身体が厳しいですが、勤務時間は日中だけなので無理なく続けられます。これまで長く町田市に住んでいたので地理は詳しいですし、以前も送迎の仕事をしていたので、今後は町田愛信園でも送迎の仕事も担いたいです。どんな仕事であっても、無理のない範囲で働くことが大切だと改めて思います。

 

「痒い所に手が届く」。そんな存在に

勤務中は「利用者がどこまで他人の手を借りずに生活できるか」ということを意識しています。私は利用者ができない部分をお手伝いするという役割なので、何でもやってあげるのではなく、利用者がそれぞれの役割意識をもてるよう、相手を尊重し、お互いの理解を得ながらお手伝いを続けていきたいです。その距離感を把握するのが難しいですが、利用者にとって、「痒い所に手が届く」。そんな存在になりたいと思っています。

 

最近、町田愛信園で働いているときに地震などの自然災害が発生したら……と考えることがあります。男性ならではの力仕事も発生するでしょうし、ここで働くからには、私も施設職員と一緒に利用者の第一支援ができたらと考えています。

 

毎日がエンジョイ

最近ベランダ掃除をしていたら、利用者から「素敵ですね」「掃除してくれてありがとう」と声をかけられました。これまでそのような言葉をかけていただく機会が少なかったので、とても嬉しかったです。また、町田愛信園ではクラブ活動があります。クラブ活動に参加することで毎日エンジョイできます。これからは麻雀やカラオケ、囲碁将棋など自分が持っている多くの趣味を、高度経済成長期に一生懸命働いてきた世代である利用者へ伝えて、楽しい世界を伝えていきたいと考えています。

 

家にいるだけではあっという間に時間が過ぎてしまいますが、ここで働いているだけでも刺激はたくさんあります。日々利用者の感覚が衰えないよう、衣食住を通して楽しんで生活していただけたらと思っています。そのために、まずは自分が楽しんで働くことを大切にしています。

 

食事の配膳準備中

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