福島県いわき市保健福祉部
民間福祉施設、社協と福祉避難所設置・運営等の協定
掲載日:2017年12月13日
ブックレット番号:4 事例番号:40
福島県いわき市/平成27年3月現在

 

震災後、保健福祉部を中心に福祉避難所のあり方を検討

この震災の経験をふまえ、いわき市では平成23年度から庁内で今後の大規模災害を想定した避難所のあり方を改めて検討しました。震災前には地域防災計画上に福祉避難所の位置づけがなく、震災では必要に迫られて、その時に緊急対応で確保できた体制で運営にこぎつけました。1か所で臨時福祉避難所を開設できたものの、全市的に見れば、ニーズに対して福祉避難所は不足していたといえます。台風等の災害で一時的に1 日だけ開く避難所とは異なり、大規模な災害では避難生活が長期化することが想定されます。福祉避難所がやはり必要でした。

 

いわき市では、災害時に一般避難所の運営を福祉部門である地区保健福祉センターが所管します。23年度は、保健福祉部統括主幹を中心に、長寿介護課、障がい福祉課、地区保健福祉センター等が協議し、避難所開設・運営にかかる問題点の洗い出しと避難所開設等マニュアルの見直し作業をすすめました。

 

24年度には、さらに危機管理課と保健福祉課、障がい福祉課、長寿介護課の担当が集まり、「地域防災計画」の中に位置付けるための福祉避難所のあり方について検討をすすめました。日頃から福祉施設等と接点のある福祉関係の部署が中心になって検討をすすめることは、施設からの理解と協力が得られやすいというメリットがありました。

 

そして、翌25年度には民間福祉施設等への協力依頼をすすめました。まずは民間福祉施設の意向を集約するため、福祉避難所における生活支援について、福島県老人保健施設協会いわき連絡協議会、いわき地区障がい者福祉連絡協議会、いわき市特別養護老人ホーム連絡協議会の3団体の会議で説明を行いました。さらに、人的支援についてはいわき市社協、物資調達支援について福島県福祉機器協会に説明を行いました。そして、平成26年2月10日にこれらの団体と『大規模災害発生時における福祉避難所設置・運営、福祉機器等の供給協力及び人材派遣に係る協定書』を締結するに至りました。これと同時に『福祉避難所設置・運営マニュアル』を策定しています。その後も平成26年8月には協定締結団体の代表者と意見交換する連絡会を開き、協定先からの訓練の実施などの要望をふまえ、同年10月にはマニュアルの改訂を行いました。マニュアルには福祉避難所の設置・運営の流れ、各機関の役割、様式等を盛り込んでいます。

 

協定は、市内の老人保健施設、特別養護老人ホーム、障害者施設の各団体の他、施設を運営する法人と市が直接協定を締結する形をとっており、協定書の第5 条(17頁)にそれぞれの団体及び運営法人に属する「指定施設」を別表で掲げています。協定施設は、特別養護老人ホームが20施設、老人保健施設が12施設、障がい者施設が25施設、その他の施設が1 施設となっています。(平成26年10 月現在)

 

     

 

 

公的福祉避難所と協定福祉避難所

いわき市では地域防災計画において、「福祉避難所」を3 つに整理しています。

 

 

上記の民間福祉施設による「協定福祉避難所」は災害発生後、市からの設置要請を受けて、避難所等から移送された対象者を受入れます。そして、災害発生から7日をめどに、福祉施設への入所やショートステイの契約による利用に移行できる方は移行し、それが難しい方を「公的福祉避難所」へ移送します。

 

「公的福祉避難所」として指定しているのは、県立養護学校や公民館等の公共施設です。これらは宿泊できる機能はありますが、介護スタッフ等がいない施設です。そのため、災害発生後、公的福祉避難所で受入れ体制を整えるまでの間、設備や専門性の整った民間福祉施設の「協定福祉避難所」でまずは受入れることを想定したしくみとなっています。

 

 

 

取材先
名称
福島県いわき市保健福祉部
概要
福島県いわき市
http://www.city.iwaki.lg.jp/www/
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