読書(対話)の様子
障害のある方や依存症といった生きづらさを抱える当事者やその家族が体験談を語り、参加者が聴くイベント「ヒューマンライブラリー@立川」が立川市社協の主催で平成31年1月19日、立川市社協市民活動センターたちかわにて開催されました。26年に初開催してから今回で5回目。この日は延べ100名以上の来場者がありました。
会場を公共図書館に見立て、さまざまな悩みを抱えて生きている人自身を「本」として「読み手」に貸し出し、30分間の読書(対話)をするという催しです。
「本を傷つけないこと」という内容の「同意書」を事前に提出した人だけに、本を貸し出すことになっています。当日の本として、LGBT、各種の依存症、薬物依存症、ホームレス、外見に問題を抱えた人、引きこもり、発達障害の当事者やその家族の人たちが参加しました。
貸し出しから読書をするために、(1)対話は「生きている本」1冊(名)に対して、「読み手」は1~5名程度の少人数、(2)語り手の本は、誤解や偏見を受けたことがあった生きづらさを抱えた当事者の体験談、(3)読書(対話)の時間は30分間という最小限のルールがあります。
多様な生き方を知る体験
市内、近隣の当事者や団体から集まった21名が本になりました。
本のタイトルは、「性同一性障害の当事者として生きる」「車いすでオーストラリアに留学したJK(女子高校生)」「障害現役」などです。本のタイトルに沿った自身について語りました。読み手も担った本からは、「他の本の話を聞くことで、自分だけでなく、世間にはさまざまな人がいることを知ることができた」との感想がありました。
読み手からは、「『逃げてはいかん』という話とその言葉に生きるエネルギーをもらった」「気づいていないだけで自分の周りにもいるかもしれない。自分の認識が変わった」といった声が聞かれました。
誰もが生きやすい地域づくり
立川市社協の比留間敏郎さんは「このヒューマンライブラリーは、社協本来の役割を発揮できる活動。地域に暮らす多様な人たちがこの場で出会い、当事者も「本」として自己開示をすることで自信がつき、話した後にはさまざまな変化が現れる。今回、「読み手」や、本と読み手の仲介役である「司書役」として、若い世代の方が多く参加してくれたことは、今後の人生においても大きな財産となり、参加した人が知人にもこの経験を広く伝えることで偏見や差別のない『まち』に近づくと思っている」と話します。
今後について、立川市社協の安藤徹さんは「本の人たちが、地域で生きづらさを感じることなく暮らしていけること。ヒューマンライブラリーを継続することで、それまで関心がなかった人が『読み手』として催しに参加することで、多様性を知ってもらうことをめざしたい」と言います。
http://www.tachikawa-shakyo.jp/skct/