桐ヶ丘式朝活プロジェクト
“朝”のつながりでまちも自分も元気に ~「桐ヶ丘式朝活(あさかつ)プロジェクト」始動! 北区内3つの社会福祉法人による取組み
掲載日:2019年5月21日
2019年5月号 TOPICS

地域住民・学生と一緒に「朝活」についてのアイディアだし

 

140棟の都営住宅が立ち並ぶ北区桐ヶ丘地区。入居から50年を超え、このエリアの高齢化率は57・7%です。団地の建替えも進む中、「高齢者の孤立」という地域課題に直面しています。

 

平成31年3月、このエリアに事業所を持つ東京聖労院とドリームヴイ、このエリアにコミュニティソーシャルワーカーを配置する北区社会福祉協議会の3つの社会福祉法人が「桐ヶ丘式朝活プロジェクト(以下「朝活」)」の説明会を開催しました。

 

この3つの法人は28年6月から協働事業として、団地内の商店街で、障害のある人の就労の場、そして、みんなが気軽に立ち寄れる常設の場として「桐ヶ丘サロンあかしや(以下「あかしや」)」を運営しています。町会・自治会会長、地区民協や商店会会長、地域の活動団体や児童館など、「運営委員」を中心に、広く住民が地域課題や意見を出し合う「あかしやを考える会」を開催しながら、男性も参加しやすい「ビアガーデン」や、子どもの孤食の問題をきっかけとした地域食堂「みんなの夕はん処」(2か月に1回開催)など、様々なイベントを実施してきました。

 

“朝”に高齢者のニーズがあった

活動を続けてもうすぐ丸3年。「まだまだあかしやのことを知らない人がいる」「あかしやに来ない人の声も聴きたいね」「もっと地域に必要とされる場所にしていきたい」という地域の声が寄せられていました。そこで、昨年8月~9月にかけ、東洋大学や東京家政大学の学生の協力も得て、高齢者世帯を戸別訪問し、「食事」や「居場所」等についてヒアリング調査を実施。調査にあたっては、あらかじめ運営委員やあかしやを利用する住民から声をかけてもらい、訪問を受け入れてもらえるよう工夫しました。

 

調査では、男性の7割以上が地域イベントに参加していないなど、地域とのつながりのない高齢者の存在が見えてきました。また、食事については「困っていない」との回答が多い一方で、具体的な話を聞く中では同じものばかり食べている状況や、本人は栄養の偏りを自覚していないものの、周囲はとても心配していることなどがわかりました。「夕飯のニーズが高いだろう」との予測を持って調査を実施しましたが、「一人の食事はさみしいけど夜の外出は怖い」「夕飯なら行かない」という意見が多く、逆に「高齢者は朝が早いからみんなで朝食を食べたい」など、“朝”にニーズがあることや、同年代との交流や体操をしたいという意見が男女ともに多いことがわかりました。

 

回答してくれた人の想いを受け、“朝”に着目した取組みをすすめようと、2月には調査の中間報告会を開催し、どんな“朝”の食事や活動がいいのか、語り合う機会を設けました。調査に協力した学生からも「私たち学生にできること」の提案がありました。高齢化した団地の中の力だけで課題解決の取組みをすすめるには限界もあります。「若い人に誘われたら参加しようかな」という声もあり、学生といった外のパワーもつないでいくことで、あかしやという場の持つ機能をさらに拡げていくことが期待されます。

 

朝活から「地域づくり」を

みんなで一緒に考えてきた朝活。協力ボランティアの練習会を経ながら、6月から朝食・体操・土いじりの3つのプログラムをスタートさせる予定です。無理せず楽しい活動を続けていくために、3人以上のチームを複数つくり、みんなで役割や仕事を分け合って、まずは毎週の活動にしていこうと考えています。

 

朝活には、健康長寿の3つの要素「栄養」「運動」、そして重要な鍵となる「人とのつながり(社会参加)」のすべてが揃っています。朝活のめざすところは「地域づくり」です。「自分のための活動」から、誘い合うしくみをつくって、来ない時には呼びに行く「集まって仲間でやる活動」に。そして、朝活を通じて地域にでかける場所ができて「まちも自分も元気になれる活動」にしていくことをめざしています。

取材先
名称
桐ヶ丘式朝活プロジェクト
概要
東京聖労院
http://www.seirouin.or.jp/

ドリームヴイ
http://www.dream-v.or.jp/

(社福)北区社会福祉協議会
https://kitashakyo.or.jp/
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