東京都居住支援協議会・豊島区居住支援協議会
安心して地域に住み続けるために ~居住支援協議会の取組み~
掲載日:2019年7月9日
2019年7月号 NOW

あらまし

  • 地域で暮らしていくなかで、基盤となるものの一つに住まいがあります。しかし、高齢や障害、ひとり親、外国籍等であることなどを理由に、住まいの確保が困難であったり、居住を継続するうえで課題を抱えることがあります。公営住宅の数には限界があるなかで、その支援策の一つとして、居住支援協議会という住宅施策分野からの取組みがあります。これは、地域のネットワークにより、民間賃貸住宅の大家、借主両方の不安を解消していこうというしくみです。
    今号では、現状と居住支援協議会の取組みから、福祉分野でできることを考えます。

 

高齢者等にかかる住宅の問題

「アパートの老朽化で退去を求められているが、転居先が見つからない」「家賃の低いアパートに引っ越したいが、高齢を理由に断られる」「離婚をして子どもと住めるアパートを探しているが、見つからない」

 

このような相談を、福祉関係の相談窓口では、少なからず受けているのではないでしょうか。国土交通省の資料によると、「国土交通省住宅局(平成30年度)家賃債務保証業者の登録制度等に関する実態調査報告書」の入居制限状況の設問において、入居について一定の拒否感を持つ大家の割合が、高齢者世帯約8割、障害者世帯約7割、外国人の世帯約7割、子育て世帯約1割という結果がありました。また、実際に入居制限をしている大家にその入居制限理由を尋ねたところ、「家賃の支払いに対する不安」24・0%、「他の入居者・近隣住民との協調性に対する不安」19・3%、「居室内での死亡事故等に対する不安」18・9%、「習慣・言葉が異なることへの不安」10・5%、「住宅の使用方法に対する不安」10・5%等が挙げられていました。

 

一方、少子高齢化のなか、住宅市場では空き家が問題となりつつあります。「平成30年住宅・土地統計調査の結果の概要」(総務省統計局)では、東京の総住宅数に対する空き家率は、10・6%でした。これは全国的には低い方ではあるものの、都道府県別の住戸数は東京がトップの約767万戸となっており、その1割が空き家という計算になります。また、そのうちの賃貸住宅の割合は、全国の統計では、50・9%と約半数となっています。

 

「居住支援協議会」と東京での取組み

このような状況の解決策の一つとして、住宅分野の施策に居住支援協議会があります。住宅セーフティネット法に基づき、住宅確保要配慮者(低所得者や高齢者、障害者、子どもを養育しているなど住宅の確保に特に配慮を要する者)の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進を目的に、地方公共団体、不動産関係団体、居住支援団体等が連携していこうというものです。

東京都居住支援協議会のホームページから
http://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/ha_council/index.html

 

東京都居住支援協議会は、平成26年度に設立され、区市町村による居住支援協議会の設立促進や、大家や住宅確保要配慮者が利用できる関連施策の情報提供等をしています。また、国の住宅セーフティネット施策としての、住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の登録制度(以下、登録住宅)(※1)や、居住支援法人(住宅確保要配慮者の居住中の見守りや支援等を行う法人・都道府県が指定)の活用促進も行っています。この居住支援法人は現在都内で21の社会福祉法人や株式会社、NPO等が指定を受けており、それぞれの法人で特徴を生かしたさまざまな取組みが行われています。

 

東京の特徴は、人口の多さと多様な人が集まっていることにあります。それゆえ、住宅確保要配慮者の範囲を、法や政令の範囲を超えて、LGBTの方や海外からの引揚者、児童養護施設退所者、UIJターンによる転入者他、広く設定しているのも東京の特徴です。東京都居住支援協議会の事務局である東京都住宅政策本部住宅企画部企画経理課調査担当統括課長代理の佐藤公昭さんは、「登録住宅を増やしていくには、不動産業者や大家さんの住宅確保要配慮者の入居に対する理解が欠かせない。また、福祉関係はもちろん、東京ならではの多様な団体と協働していく必要がある」と話します。

 

また、区市町村の居住支援協議会に対し、「地域により実情は異なる。地域の実情に応じて支援策を作っていけるのは区市町村しかない。他の地域の事例も参考に地道な支援活動を行っている居住支援団体等と連携をしながら、住宅セーフティネット制度の普及につなげてほしい」と語ります。

 

(※1)セーフティネット住宅情報提供システム https://www.safetynet-jutaku.jp/guest/index.php 全国の登録住宅の検索ができます。

 

生活支援まで考えた上でのマッチングを~豊島区居住支援協議会の例~

令和元年6月現在で、都内には17区市の居住支援協議会が組織化されており、その組織構成や取組みは、区市によってさまざま(※2)です。

 

一例として、豊島区の例を紹介します。「住宅・土地統計調査(平成25年年度)」によると、豊島区は23区で最も空き家率が高く、また、空き家のうち8割が民間賃貸住宅です。居住支援協議会の設立は都内で2番目に早く、豊島区住宅マスタープランの重点プロジェクトとして、空き家を活用した居住支援を目的に設立されました。国の施策よりも先に「としま居住バンク」という空き家の登録制度、また、居住支援団体登録制度を実施。現在6つのNPO団体が豊島区独自の居住支援団体として登録し、住まい探しから入居、生活上の支援までを行っています。豊島区居住支援協議会の事務局は、区の都市整備部住宅課と、NPO法人としまNPO推進協議会という中間支援組織が共同で行ってきました。これが居住支援団体の登録がスムーズだった一因であり、また国の居住支援法人の先駆けとなったところ、と同課長の星野良さんは話します。

 

これまで印象に残っている好事例として、2世帯住宅の1階が空いた家に、居住支援団体を通じて母子世帯が入った事例があります。大家との関係も良好で、その後も居住支援団体の支援を受け、賃貸契約の更新も行いました。豊島区居住支援協議会では、『生活支援までの関わりを考えた上でのマッチング』を大切にしています。

 

一方、登録住宅はなかなか増えず、独自のバンクと国の登録住宅とで住み分けをしながら、個別に不動産業者等を一件一件訪ね歩き、制度の周知と理解のための努力をしています。

 

星野さんは、「住宅確保要配慮者の住宅市場での住まい探しのネックは、生活支援と死後のことも含めた懸念。オーナーの不安を払拭するためには、住まい探しの時点から、その先も見据えた福祉領域との連携が必要」と語ります。この4月から、豊島区居住支援協議会の事務局には、区の福祉関係部局も加わっています。

 

(※2)東京都居住支援協議会パンフレットに各区市の居住支援協議会の概要が掲載されています。東京都居住支援協議会のホームページからダウンロードできます。

 

入居後のサポートを~福祉関係者に求められること~

住まいは生活の基盤であり、住宅確保要配慮者が、住宅市場で安定して住まいを得ていくには、入居後のサポートを福祉分野で充実させていくことが必要です。また、入居前に住まい続けられる見通しを立てることが、入居時のマッチングも容易にしていくと考えられます。多様な人が住まう東京では、その住民に合わせたさまざまな団体との協働も視野に入れる必要があります。

 

住宅分野と福祉分野での相互理解と協働が求められています。

取材先
名称
東京都居住支援協議会・豊島区居住支援協議会
概要
東京都居住支援協議会
http://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/ha_council/index.html

豊島区居住支援協議会
http://kyoju-shien-toshima.com/
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