宮城県仙台市/平成27年3月現在
宗片恵美子さんが代表理事を務める特定非営利活動法人イコールネット仙台は、「生活すべて」をテーマに、さまざまな分野で男女共同参画社会の実現に取組む個人や団体が集まってできた組織です。政治、メディア、文化、健康など、それぞれに関心事は違っても、男女平等という同じ目標に向けて、つながりを作って協働しようと設立されました。平成15 年の設立以来、幅広い分野で活動をすすめていましたが、その取組みのひとつには防災も含まれていました。周期的に発生する宮城県沖地震の恐れや、平成7年に起きた阪神淡路大震災での経験から、災害時に女性が大きな困難を抱えるだろうと予想されたからです。
宗片さんたちは、東日本大震災前の平成20年に「災害時における女性のニーズ調査」を実施しています。仙台市在住の1,100人の女性にアンケートを配布し、69.6%の女性から回答を得ました。この回答率の高さからも、震災以前から女性が災害時への危機感を持っていたことがわかります。イコールネット仙台では、同時期に行ったインタビューとあわせて、この調査の結果をもとに以下のような提言をまとめました。
イコールネット仙台代表理事
宗片恵美子さん
このように、防災にも男女共同参画の視点を取り入れることを提案し、関係機関での周知活動等も行っていました。そのような折に、東日本大震災が発生します。
東日本大震災で顕在化した性別役割分業の意識
イコールネット仙台は、東日本大震災直後から、せんだい男女共同参画財団が立ち上げた避難所での洗濯代行ボランティアに参加しました。このボランティアでは、単に洗濯の代行だけを行うのではなく、代行を請け負う過程で、避難所における女性のニーズを掘り起こして支援につなげようという目的を持っていました。また、各地の避難所の訪問や、仮設住宅での被災女性のための語り合いサロンの開設など、被災者と直接顔をあわせ、その本音と向き合う活動を地道に続けました。
このように、避難所となっている体育館や市民センターを訪問するなかで、宗片さんは避難所の運営を担うのは男性、炊き出しをするのは女性というように、文字通り性別によって役割が固定されている様子を多く目にしました。活動をはじめた頃と何も変わらない、性別役割分業の意識に改めて直面し、「災害復興について、女性が主体的に関わることの難しさを肌で感じた。私たちの今までの男女共同参画の取組みはなんだったのだろう、と衝撃を受けた」と宗片さんは話しました。
しかし、女性の視点を無視した防災の取組みや避難所の運営が立ち行かなくなることは、今回の震災を見ても明らかです。現在、家庭や施設で子育てや高齢者・障害者の介護を主に担っているのは女性なのです。「困難を抱えた者の視点」を持つ彼女たちが主体的に防災や震災復興に取り組むことは、支援を必要とする多くの人々の助けになります。
https://equal-net.jimdo.com/