第56回関東ブロック・郡市区町村社協職員合同研究協議会
共創!~社協の真価を発揮し、 地域の進化・深化・新化をめざす~ 第56回関東ブロック・郡市区町村社協職員合同研究協議会
掲載日:2019年9月24日
2019年9月号TOPICS

基調講演の様子

 

あらまし

  • 令和元年7月29日~30日、墨田区の国際ファッションセンタービルで第56回関東ブロック・郡市区町村社協職員合同研究協議会が開催されました。今年度は東京が当番県として主催し、関東甲信越静の社協職員約380名が一堂に会し、「共創!~社協の真価を発揮し、地域の進化・深化・新化をめざす~」との全体テーマのもと、各社協が直面する諸課題について研究・討議しました。

 

今こそ!社協の底力~地域の共創のために~

1日目は、日本福祉大学社会福祉学部社会福祉学科教授の原田正樹さんより、「今こそ!社協の底力~地域の共創のために~」をテーマに、社協に求められる役割や、社協職員としての視点、住民と共に地域をつくっていくためのヒントや行政と社協の連携、協働についての基調講演がありました。

 

講演の冒頭で、「社会福祉法人やNPO法人、企業等のさまざまな団体が地域福祉という方向に動いている。社協だけが地域福祉の推進団体といえる時代ではなくなってきた」と話しました。そして、社協の歴史や住民主体の原則について振り返った上で、「住民と言っても、外国人も含めて多様化してきており、時代とともに社協も変わりながら今日に至っている。『住民主体』という社協の原則を形骸化させず、現代的に意味やあり方を問い直すことが必要」と指摘しました。

 

また、改正社会福祉法や地域包括ケアシステム等の施策動向に触れた上で、地域共生社会について「障害の有無だけではなく、年齢や性別、国籍等すべてを乗り越え、相互に尊重しあいながら共生できる社会の実現が求められている。そして、『支える、支えられる』という一方的な関係ではなく『相互に支えあう』地域づくりが重要である。そのためには、制度が変わるだけでなく、住民の意識を変えていく働きかけが必要。これは社協が積み上げてきた福祉教育とつながる」と話しました。

 

基調講演の後、6つの分科会では「生きづらさを抱える人たちに寄り添う居場所づくり」「地域住民や多様な主体との連携、協働から地域の課題解決方法を考える」「災害に負けない地域を共に創る」「地域福祉課題解決と財源確保」「生活困窮者自立支援事業を切り口に考える社協の役割とは」「社会福祉法人との連携で進める地域づくり」の各テーマで協議され、参加者同士で考えを共有し深める機会となりました。

 

1日目のプログラム終了後に、情報交換会が行われ、参加した社協職員同士の交流を深めました。

 

企業・社員と共に豊かな地域社会を創ろう!

 

パネスディスカッションの様子

 

2日目は「企業・社員と共に豊かな地域社会を創ろう!」をテーマに、パネルディスカッションが行われました。本会東京ボランティア・市民活動センターの河村暁子がコーディネーターを務め、事例を紹介しながら、企業がどのように地域社会に貢献できるか、またそのために社協がどのように動けばいいかを考えました。第56回関東ブロック・郡市区町村社協職員合同研究協議会

 

ゴールドマン・サックス証券株式会社コーポレート・エンゲージメント(社会貢献担当)の麻崎久美子さんは、同社が行っているボランティアや寄付等の社会貢献活動について説明し、「20年以上も行ってきたので、社員のボランティア活動はすでに企業文化として定着している」と強調します。また、社員がさらにボランティア活動に参加するために必要な取組みについて、「経営層の理解と参加が重要な鍵となる。ボランティア休暇の整備や、社会貢献の担当部署設置など、ボランティア活動に参加しやすい環境を整えることも大事。また、活動が強制とならないよう、社員一人ひとりの興味関心に合った活動やオフィス内でできる活動、週末に家族や仲間と参加できる活動等、さまざまな機会を提供することも大切」と話しました。そして、「一企業が知る地域の団体は限られている。社協のような中間支援組織による適切なマッチングが大切」と、社協への期待を話しました。

 

続いて、東京の下町である荒川区での子どもの居場所「南千住ほっこりアイランド」の取組み紹介がありました。登壇された、コーヒーハウス『あめみや』店主の雨宮敏夫さんと、日本そば『美加志屋』店主の田中伸幸さんは「南千住ほっこりアイランド」の立ち上げから関わり、毎週、子どもたちの食事を提供しています。田中さんは「商店街の活性化や地域貢献について何ができるかと考えていたときに、子どもの居場所づくりの話があった。同じように、機会があればボランティアをやってみたいという芽が地域にはあるはず」と話します。雨宮さんは、「今でこそ、社協にさまざまな相談をしているが、最初はどんな団体か知らなかった。店舗減少や店主の高齢化等により商店街のイベント等が思うようにできなくなっていたときに、区役所から社協を紹介された。ボランティア募集やイベント参加等に快く協力してくれ、お互いを知るいい機会になった」と話しました。

 

荒川ボランティアセンターセンター長の浅野芳明さんは「地域のために活動したいという想いを、社協がしっかり受け止められるかが大切。また、効果的に情報を伝える工夫や努力をこれまで以上にしていかなければならない」と話しました。

 

シンポジウムのまとめとして、地域と企業を”つなぐ”には、地域のネットワークや行政との連携など、社協の「強み」を活かすことができるということを確認しました。

 

参加者からは「都会と下町の東京らしさが感じられた良い会だった」「社協としての役割や機能について再確認するとともに、これからについても考えさせられた」「地元の企業・商店街とのつながりを深化させたい」といった感想が寄せられました。

 

最後に、来年の開催地である神奈川県にバトンタッチし、閉会しました。

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第56回関東ブロック・郡市区町村社協職員合同研究協議会
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