(社福)国分寺市社会福祉協議会 権利擁護センターこくぶんじ 生活支援員 山本俊治さん
楽しみが感じられる環境づくりを
掲載日:2019年12月3日
2019年11月号 くらし今ひと

国分寺市社協キャラクター「ふくすけ」と

 

あらまし

  • 認知症や障害等により、自分一人では福祉サービスの利用や日常的な金銭管理等をすることが難しい方を支援する「地域福祉権利擁護事業」(以下、地権事業)の生活支援員として活動されている山本俊治さんにお話しいただきました。

 

高齢者、地域へ貢献したい

現役の時は、40年銀行に勤めました。毎朝都心に通い、夜に帰宅するという、地域とは関わりのない生活を送っていました。福祉関係に興味を持つようになったのは、企業年金の仕事で、高齢者と関わったことがきっかけです。本来受けられるはずのサービスや税制上の優遇措置が、年金等に関する書類の書き間違いや記入漏れにより、受けられなくなる人が多く、高齢者だけでは対応するのが難しいのではないかと思うようになり、お手伝いできる誰かがいると良いと感じました。

 

定年退職して生活の場が地域に移り、今度は地域に貢献したいと考えました。銀行時代に取得した社会保険労務士の資格を活かしたい、元々知っていた成年後見人をやってみたいと思い、情報を集めていたところ、市民後見人の存在を知りました。自分が住んでいる国分寺市社協に相談したところ、市民後見人の養成はその当時行っていませんでしたが、地権事業の生活支援員を提案されました。説明を聞き、自分が考えていた高齢者のお手伝いができる事業だと思い、活動を始めました。

 

「幸福寿命」という考え方

地権事業は、社協職員である専門員と社協に雇用された地域住民である生活支援員がペアとなってご本人を支えます。

 

生活支援員は、専門員が作成した支援計画に基づき、定期的にご本人宅に訪問します。活動内容は、生活費のやりくりや、給付金の申請書等の書類の確認や作成等をご本人が行えるようお手伝いします。ご本人の生活状況や部屋の様子の変化に目を配ることも大切な仕事で、気づいたことは毎回専門員に報告するようにしています。ご本人に代わってではなく、ご本人が主体となって手続き等がスムーズにできるようにお手伝いすることが仕事です。生活支援員になって約1年半経ち、現在3人の方を担当しています。

 

活動していると、ご本人が不要と思って捨てた書類の中に大切な書類が混ざっていた、ということがよくあります。そのような時は、受けられる権利を捨てることなく守ることができ、良かったなと思います。

 

活動の際は、ご本人の意思を尊重するのはもちろんのこと、ご本人と同じ立ち位置で話をすすめながら、ご本人の幸福感、楽しみを培っていくこと、そして、自分自身が楽しむことを意識しています。健康寿命という言葉がありますが、生きていて幸せ、楽しいと思える「幸福寿命」という考え方もあると私は思います。「あの人が来たのは1時間だったけど楽しかった」「福祉サービスを受けるための書類の整理を手伝ってくれてほっとした、安心した」と感じてもらえる生活環境づくりができると良いですね。

 

また、ご本人から質問されたことに対して、曖昧な答えをしないように気をつけています。説明する一つひとつの事項がご本人の生活に直接関わっているので、分からないことは必ず持ち帰り、調べてから答えるようにしています。

 

一方で難しいと感じることは、ご本人との距離感です。中には「全部やってくれる?」と言われる方もいますが、できるだけご本人が行えるよう、それぞれの人に合わせて対応しています。時には、事業としてできないことをお断りすることもありますが、一貫した対応をすることでご本人の信頼につながると考えます。

 

今後に向けて

今後は生活支援員の経験を積んで市民後見人も受任したいです。市民後見人になった際は、生活に困っている人達を支えていきたいと思います。

取材先
名称
(社福)国分寺市社会福祉協議会 権利擁護センターこくぶんじ 生活支援員 山本俊治さん
概要
(社福)国分寺市社会福祉協議会
http://www.ko-shakyo.or.jp/
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