葛飾区青戸保育園、(社福)厚生福祉会 青戸福祉保育園・青戸もも保育園・中青戸保育園
保育園から小学校生活に スムーズにつなげる~葛飾区青戸地区にある保育園の4園交流~
掲載日:2019年12月24日
2019年12月号 TOPICS

 

令和元年10月31日(木)、葛飾区の青戸平和公園で、葛飾区青戸保育園、社会福祉法人厚生福祉会 青戸福祉保育園・青戸もも保育園・中青戸保育園の4園交流が行われました。この交流は、4園の年長児を対象としています。春からの小学校生活にスムーズにつなげるために「地域の中で、同じ学年の友達がたくさんいることを知る」をねらいとして実施しています。

 

小学校への入学は、子どもにとっても保護者にとっても大きなイベントです。入学を前にして、嬉しさや期待を抱く一方で、「小1の壁」や「小1プロブレム」といった言葉があるように、環境の変化や勉強、お友だちとの関係など、さまざまな心配事を抱える保護者や子どもも少なくありません。葛飾区青戸保育園 園長の牧輝美さんは「実際に保護者からは『お友だちができなかったらどうしよう』と心配される声が聞かれた。保育園は1クラスしかない園も多く、お友だち同士の繋がりも深いが、みんなが同じ小学校に行くわけではない。さらには、その小学校へ入学する園児が自分一人だけというケースも珍しくない。この4園交流を通して他の保育園の園児と交流することにより、小学校に上がったときに顔を知っている子がいるという安心につなげたい」と話します。

 

自然と仲良く、笑顔になれる

4園交流の当日は天候にも恵まれ、合計で88人の園児が参加しました。司会進行は持ち回りで、今回は青戸もも保育園が担当しました。始めのあいさつでは「周りを見てごらん。青戸地区には同じ学年の子がたくさんいるね。1人でもお友だちの名前を覚えて帰ろう!」と子どもたちに声がかけられました。

 

みんなで体操をした後、それぞれの園の子どもがまんべんなく入るように4つのグループに分かれます。グループごとに輪にはなったものの、子どもたちはどこかよそよそしく、同じ園の知っている子同士でくっついています。少し緊張した空気の中、まずグループ内で自己紹介をしました。そして、それぞれのグループ担当の保育者が「〇〇小学校に行く人はいる?」と問いかけると、複数の子どもの手が挙がります。違う園の子が自分と同じ小学校に行くことが分かると、その子を興味深くジッと見ている子や、自然と笑顔になる子も見受けられました。なかには緊張してしまう子もいましたが、周りにいる保育者が個別にフォローします。

 

その後、「だるまさん」や「なべなべそこぬけ」「ゴロゴロドカン」などのゲームを行っていると、最初は同じ園の子同士でくっついていた子どもたちが、他の園の子とも手をつないだり笑い合ったりするまでになっていきました。子どもたちが一緒に遊び、仲良くなるには時間はそれほどかからなかったようです。最後はみんなで握手をして今回の交流が終わりました。

 

保護者や他の学年にも伝えていく

4園交流は、平日の通常保育の時間に行われるため保護者は参加していません。葛飾区青戸保育園では、この交流について、日々の子どもの様子を記している園のホワイトボードに書いたり、壁新聞を園の中に張り出したりして、保護者へ伝えています。ただ実施したということだけではなく「お友だちの名前を覚えました」などと子どもの様子を具体的に記載することで、4園交流の意義をよりわかりやすく実感してもらえるように工夫しています。このようにすることにより、年長児の保護者だけではなく、他の学年の保護者にも4園交流について知ってもらうことができます。特に年中児は、次年度に4園交流を控えているため、保護者も関心を持ってホワイトボードや壁新聞を見てくれていると言います。

 

そして、4園交流を実施することにより、保護者の声も少しずつ変わっていきました。近所を歩いていたら「あの子この前会ったよ!」や、入学式で「あの子知ってる!」と子どもがうれしそうに言ったという保護者の声も聞かれるようになったといいます。牧さんは「子どもの何気ない一言から、4園交流を通して地域の中に新しいお友だちができたことが分かり、入学に際して保護者の不安も軽減されてきているのではないだろうか」と言います。

 

保育者も新しい発見がある

4園交流の実施にあたっては、年度初めに打ち合わせをし、世話役やいつ何をするかを決めます。子どもたちが理解しやすく、当日現地ですぐにできる体操やゲームなどのプログラムにしているため、事前の準備の負担がさほど大きくならず実施できています。以前は、運動会後の時期に実施したため、各園でやったお遊戯を見せ合ったこともありました。他園での取組みを見ることができ、子どもたちのみならず、保育者にとっても新しい発見があり、お互いによい刺激を受けることができます。

 

また、年に数回の交流の他にも、それぞれの園同士でも個別にイベントに招待したり、園庭に遊びに行ったりするなどの交流を持っています。

 

地域で子どもを育てる

この4園交流は10年以上にわたり行われ、公立と私立の垣根を越えて実施していることが特徴です。牧さんは「公立だからとか私立だからとかではない。保育に対しての想いは公立も私立も一緒である。保育園同士がつながることにより、面として地域の保育を支えることができる。特に、葛飾区では『かつしかっ子宣言※』を掲げていて、地域で子どもを育てるという土壌がある。また、小規模の人数の少ない保育園だけではできないような大人数での遊びや活動も、4園であればできるというメリットもある」と話します。

 

また、葛飾区では平成26年度より幼保小連携教育推進として地域ごとに連携グループが設定され、協議会での情報交換や小学校訪問等が行われています。保育園同士のつながりだけでなく小学校や幼稚園とも連携がすすんできています。

 

今後について、牧さんは「青戸地区は交通の便がよく通勤に便利であり、子育て世代にも人気がある。そのため、これから小規模の保育園も増えてくると思われる。この4園交流も、地域の実情に合わせて、活動に枝葉ができていくかもしれないが、今後も続けていきたい」と話しました。

 

※「かつしかっ子宣言」とは、葛飾区において、子どもたちが心豊かに生活を送るための指針となる5項目を示したもの。
http://www.city.katsushika.lg.jp/kurashi/1000057/1002474/1018950.html

取材先
名称
葛飾区青戸保育園、(社福)厚生福祉会 青戸福祉保育園・青戸もも保育園・中青戸保育園
概要
葛飾区青戸保育園
http://www.city.katsushika.lg.jp/institution/1000100/1007108/1007149.html

(社福)厚生福祉会
http://www.kouseifukushikai.com/
タグ
関連特設ページ