(社福)福島県社会福祉協議会 福島県老人福祉施設協議会
県内6つの支部を単位に災害時施設相互応援協定を締結
掲載日:2017年12月14日
ブックレット番号:4 事例番号:46
福島県福島市/平成27年3月現在

 

福島県社会福祉協議会の老人福祉施設協議会(以下、「福島県老施協」)には県内334の特別養護老人ホーム等が加入しています。東日本大震災では東京電力福島第一原発の事故により原発から20㎞圏内にあった6つの特別養護老人ホームは、全て元の所在地を離れ、壮絶な避難を経験しました。震災から4年の月日を経て、これら6つの特別養護老人ホームで再開を果たせた施設はまだ一つもありません。

 

福島県老施協では、東日本大震災の当時、被災した住民の対応に各自治体が追われる中、県老施協として会員施設の被災状況をとりまとめて個別の施設からの支援の要請に応じました。そして、所在地を離れた施設の避難先には救援物資を搬入するとともに、過酷な避難先の環境に利用者も職員も耐えられない危機的な状況の中、会津支部をはじめとする施設が避難した利用者を受入れる調整に取組みました(老施協による支援の経過は、本会発行の『続・東日本大震災 高齢者、障害者、子どもを支えた人たち』〔平成25年3月〕、『災害時要援護者支援活動事例集』〔平成26年4月〕に紹介)。これらは全てを手探りで取組んだ懸命な支援でした。

 

こうした経験をふまえ、福島県老施協は平成26年1月21日に県内の会員施設による『災害時施設相互応援協定』を締結しました。局所的な災害には6地区の支部内の協定で対応し、大規模な災害には総合本部となる県老施協と6地区の支部の協定により物資ならびに人的派遣の相互応援を行うというものです。

 

福島県老人福祉施設協議会 6つの支部

 

 

 

 

東日本大震災後により被災した高齢者施設の現状

冒頭で紹介したとおり、東日本大震災により避難を余儀なくされた会員施設は、再開が極めて厳しい状況にあります。避難後、元の所在地に再び戻ることのできた施設(本書に紹介している特別養護老人ホーム「福寿園」ほか)の一部は再開していますが、特に元の所在地を離れたままの施設は以下の2つを除き再開できていません。

 

避難先で再開を果たした会員施設はデイサービスと養護老人ホームの2施設。その一つは、富岡町にあった有限会社による「デイサービスセンターシニアガーデン」で、避難先の福島市内で再開しています。もう一つは、富岡町から郡山市に避難して再開した養護老人ホーム「東風荘」です。

 

再開が厳しい状況の背景には、人材確保と財源の問題もあります。再開を果たしていない6つの特別養護老人ホームの現状は以下のようになっています。

 

 

避難した特別養護老人ホームの現状(平成27年1月現在)

 

 

 

 

多くの特養が再開できない中、平成26年6月現在、相双地域で特養を継続できている広野町、南相馬市、相馬市、新地町、相馬市、飯舘村の9つの特養では、その待機者が2,208人に上っています。

 

取材先
名称
(社福)福島県社会福祉協議会 福島県老人福祉施設協議会
概要
(社福)福島県社会福祉協議会
http://www.fukushimakenshakyo.or.jp
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