(社福)福島県社会福祉協議会 福島県老人福祉施設協議会
県内6つの支部を単位に災害時施設相互応援協定を締結
掲載日:2017年12月14日
ブックレット番号:4 事例番号:46
福島県福島市/平成27年3月現在

福島県老施協 災害時施設相互応援協定の特徴

全ての会員施設が協定に参加することをめざしたため、福島県老施協では役員会、総会で繰り返し趣旨を説明し、理解を得ることに努めました。

協定に基づく応援項目は以下のとおりです。

 

この応援を効果的に行うため、協定では、被災施設から本部への情報の流れのしくみを明確にしました。自らの施設の被災状況を最初に伝える項目は、必要最低限に絞りました。それは、①利用者の被災状況、②職員の被災状況、③建物とライフラインです。そして、「何がどれくらいほしいか」をまず、発信します。そして、必要な物資を届けに行った職員は、施設の被災状況や道路の状況を確認してきます。支部長は様式「災害状況報告書」(95頁)により本部に被災状況を報告しますが、人的被害状況、建物・設備の状況と支援希望の有無、食事の提供の状況、物品の備蓄状況を報告するとともに、その後の支援の連絡のため、災害発生後に取ることのできる連絡手段を明確にします。そして、様式「応援要請申請書」(96頁)により5つの応援項目ごとに必要となる応援内容、期間を具体的に伝えるしくみです。

 

こうした情報の流れを作る一方、高木さんは「あえて細かいルールは定めなかった」と話します。大規模災害時には想定を超えた事態はいくらでも起こりえます。ルールを細かくしてしまうと、動きがとれなくなるからです。高木さんは、「大規模な災害になると、『公助』は大きな期待ができない。『自助』の力を高めることを前提としつつ実効性の高い協定により、民間同士の『共助』で柔軟な対応ができることをめざしている」と話します。

 

平成26年1月21日、福島県社協老人福祉施設協議会と6つの支部は、この協定を締結しました。新規の会員施設は入会すると同時に支部に同意書を提出し、協定に参加するしくみです。協定の締結には県の高齢福祉課にも出席してもらいました。民間の施設相互の応援機能を行政に理解してもらう必要があります。県の高齢福祉課は新規施設に対して、協定を締結することを積極的に推薦することとなっています。

 

また、支援に必要となる物資を優先調達するため、県内の介護機器・用品等の業者との協定の締結を検討しています。そして、県域を越えた応援がさらに必要となることも想定されます。東北ブロックの老施協では、現在、それぞれの県・指定都市ごとに協定づくりをすすめています。それに基づき、ブロック内の老施協同士の相互支援を行う協定を結ぶ取組みをすすめています。

 

協定に基づく訓練の実施

平成26年11月21日に福島県老施協では、協定に基づく初の広域避難訓練を実施しました。訓練は「会津地方で大雨が続き、阿賀川が決壊する恐れがある。阿賀川近くの特別養護老人ホーム『ハーモニーハウス』から10㎞離れた『宮川荘』に利用者の受入れを要請するとともに、近隣施設に支援職員の派遣を要請する」という想定で行われました。情報伝達、利用者の避難と受入れ態勢を確認する訓練で、利用者役の職員を受入れ先に送り届ける訓練を実施しました。訓練には消防署や警察署、地元自治体にも参加してもらい、施設の状況と老施協を通じた施設間による支援内容を理解してもらうことができました。また、訓練を実施した当該施設に限らず、他の施設も一緒に参加することで「気づき」の多い訓練となりました。

 

福島県老施協では、この協定に基づく訓練を各支部で繰り返していくことによって、必要に応じて協定を見直していくこととしています。施設にとって身近な存在である支部組織にはお互いの施設の特徴をよく知る、顔の見える関係があります。訓練を通じてまずは身近な支部組織の相互支援力を高めていくことをすすめています。

 

福島県老人福祉施設協議会 災害時施設相互応援協定書(PDF)

 

「避難した特別養護老人ホームの現状」(PDF)

 

 

 

取材先
名称
(社福)福島県社会福祉協議会 福島県老人福祉施設協議会
概要
(社福)福島県社会福祉協議会
http://www.fukushimakenshakyo.or.jp
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