都立家庭・福祉高等学校(仮称)
都立家庭・福祉高等学校(仮称)「中学生向けキャリアガイダンス ~ウインタースクール~」~専門学科高校卒業生によるパネルディスカッション 前編~
掲載日:2020年1月23日

令和元年12月21日(土)、北区西が丘の現東京都立赤羽商業高校に開校予定である都立家庭・福祉高等学校(仮称 富川 麗子 校長)(※1)にて「中学生向けキャリアガイダンス ~ウインタースクール~」が開催されました。

 

専門学科高校(※2)を卒業し、作業療法士、調理師、保育士、栄養教諭と、それぞれ専門職に就き現在活躍する4名をパネリストに招いての、「専門学科高校で学んだ先にあるもの」をテーマとしたパネルディスカッションです。「都立家庭・福祉高等学校(仮称)」に関心のある中学1、2年生と保護者約110組が参加しました。パネリストの皆さんが、専門学科高校在学中をどのように過ごしたか、学んだことを活かしてどのように進路を切り拓いていったかの話に、目を輝かせながら熱心にメモを取る中学生の姿がありました。

 

作業療法士と保育士のパネリストお二方のお話を前後編にわたってご紹介します。

 

※1 都立家庭・福祉高等学校(仮称)・・・令和3年4月に開校予定の家庭・福祉の専門学科を置く全日制高校。「福祉広報2019年10月号」でも、8月に実施されたサマースクールでの都内に勤務する介護職員による介護等体験の様子を紹介。http://fukushi-portal.tokyo/archives/440/

 

※2 専門学科高校・・・高等学校のうち、農業、工業、商業、水産、家庭、看護、情報、福祉の職業に関する専門学科を置く高等学校を指す。

 

当日のパネルディスカッションの様子

 

パネリスト 作業療法士/小林さん

  • 関東近県にある高等学校介護科を卒業後、大学の保健医療学部 作業療法学科で学ぶ。
  • 高校卒業時に介護福祉士国家資格試験、大学卒業時に作業療法士国家資格試験に合格。
  • 現在は、作業療法士として病院に勤務し、主に認知症患者のリハビリに携わる。

 

Q.作業療法士というお仕事について教えてください。

A.患者さんの体を動かすリハビリを行ったり、病気になっても生活しやすいよう環境を整えます。病気やケガをした時はどうしても気分が沈みがちになりますので、そのような方に寄り添い、一緒に楽しめる活動を考え、行うこともしています。

 

Q.専門学科高校を選択した理由を教えてください。

A.進路選択に際し、最初はどんな高校に進学しようかと悩んでいましたが、福祉科のある専門学科高校に進学しようと決めました。両親が特別支援学校と特別支援学級の教員をしていた影響で福祉に関心があったことが、大きかったと思います。

 

Q.進路を決めてから、どんな準備をしましたか。

A.福祉科のある高校に志望校を絞り、複数の学校の説明会・オープンキャンパスに行って、説明を聞き、その中から選びました。

 

Q.高校の授業の中で印象深かった授業を教えてください。

A.ベッドメイキング・食事介助などの実演をともなう実習です。食事介助をするだけでなく、他人にしてもらうという経験を通じて、不快感・不安感を感じることで、利用者の立場になって考えるということの大切さに気づきました。

 

また、介護福祉士受験資格を得るために施設実習を行いました。慣れない現場を体験して、当時は大変だと感じましたが、苦労した分達成感もありました。

 

Q.専門学科高校を卒業してよかったと感じたことは何ですか。

A.卒業と同時に介護福祉士国家資格に合格すれば、介護福祉士という資格をもったスペシャリストとして就職することができます。私は進学したいという気持ちがありましたので、早いうちから先生に相談し、準備をしましたが、先輩や同級生などには介護職や福祉関連職種に就いた知人が多いので、卒業後も連絡を取り合い、相談に乗ってもらったり、つながりを生かして情報交換できるのはとても良かったです。

 

Q.高校で介護を学んだあと、作業療法士を取得するまでの経緯を教えてください。

A.高校卒業時に介護福祉士を取得しましたが、その学習の過程で作業療法士の仕事を知り、大学では作業療法士になるための勉強をしようと決めました。介護福祉士は福祉の、作業療法士は医療の資格です。両方を学ぶことができたのでより広い視野・知識をもって患者さんに接することができます。また、福祉施設や医療施設にはいろいろな専門職の人が働いており、自分とは違う職種の方と連携をとりながら働くことがとても重要です。そういった点からも、二つの資格を持っていることが、他職種を理解したり、こちらから助言をする際にもとても役に立っています。

 

Q.作業療法士のお仕事をされるうえで、どんなことにやりがいを感じますか。

A.患者さんができなかったことができるようになったり、例えば、休みながらゆっくりとでも階段が上がれるまでに回復したりとリハビリによる進歩を実感できるのはとても嬉しいです。

 

就職して1~2年目は、患者さんの希望・要望に応えられないもどかしさを感じていましたが、今年で10年目になり、自分を必要としてくれる人に応えられるようになってきたかな、と思っています。後輩へ指導する立場にもなり、対象となる患者さんに何が必要か、どのくらい期間にどんな支援をしていけばよいか一緒に考えて計画を立てたり、フォローしたりという時には、高校で学んだ介護・福祉の知識を生かし視野を広く持てることがとても役に立っていると感じます。

 

Q.専門学科高校を志望する中学生の皆さんへ一言

A.「中学生の時から将来の目標を固める」ということは難しいことです。一人で考えるのではなく、情報を集めたり、先生や保護者など身近な大人に相談したりと、まず行動を起こすことが大切だと思います。

 

専門的な知識というのは、身につけることで、自分の学びだけでなく、他の人のために生かすことができます。そして、学びの中で新しい発見もあります。迷っている人は一歩踏み出してみてほしいと思います。介護は今後、期待されている分野です。熱意のある皆さんと将来、一緒に働けることをお待ちしています。

 

 

「都立家庭・福祉高等学校(仮称)」では、「福祉学科 介護福祉科」が開設予定です

  • ■学科概要
  • 都立家庭・福祉高等学校(仮称)に開設予定の福祉学科介護福祉科は、卒業時に介護福祉士国家試験受験資格を得ることができる養成施設(申請予定)となります。都立高校では、町田市にある野津田高校の福祉科に次ぐ2校目となります。
  • 介護福祉士国家試験は例年1月に行われ、多くの専門学校生、大学生、福祉施設で働く職員等が受験します。「都立家庭・福祉高等学校(仮称)」では、高校3年生の1月の国家試験に合格すれば、卒業と同時に資格を得る(「介護福祉士」の呼称を用いるには、国家資格の合格後に登録申請が必要です。)ことも可能であり、それに向けて特別な教育課程が編成される予定です。
  •  
  • また、福祉・介護分野のプロフェッショナルとして活躍できる人材の育成を目指し、開設準備室は現在、校外学習・実習先として都内40か所の福祉関連施設との連携をすすめています。連携予定の施設からも福祉・介護現場の未来のリーダーを心待ちにする声が寄せられています。
  •  
  • ■「ウインタースクール」に続き、令和2年2月22日(土)に
  • 「アーリースプリングスクール」が開催されました。
  • その様子については、都立家庭・福祉高等学校(仮称)開設準備室HPで紹介されています。
  • http://www.katei-fukushi-j.metro.tokyo.jp/site/zen/page_0000000_00031.html

 

■ 後編では、専門学科高校の保育科を経て保育士としてご活躍中のパネリストのお話をご紹介します。http://fukushi-portal.tokyo/archives/461/

■ 東京都教育委員会のホームページでも、ウインタースクールの様子が紹介されています。
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/administration/photonews/2019/photonews191221.html
 

 

取材先
名称
都立家庭・福祉高等学校(仮称)
概要
都立家庭・福祉高等学校(仮称)
http://www.katei-fukushi-j.metro.tokyo.jp/site/zen/index.html
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