(社福)聖友ホーム 聖友学園 永禮伸作さん
子どもたちが思い描く将来を築いてほしい
掲載日:2020年7月27日
2020年6・7月合併号 福祉のおしごと通信

永禮伸作さん

 

あらまし

  • 不動産会社を退職後、通信制大学に入学し、恩師との出会いをきっかけに児童養護施設で児童指導員として働く永禮伸作さんに、お仕事の魅力について、お話しいただきました。

 

家族の応援と、恩師の一言で福祉の道へ

大阪生まれ大阪育ちで、大学卒業まで過ごしました。野球とお笑いが大好きで福祉を学んでいたわけではありませんでした。以前から「東京で一旗あげたい」と思っており、就職は都内と決めていました。大学卒業後は都内の不動産会社で販売営業を担当していました。苦労はありましたが、すべてのことが新鮮で、充実していたことを覚えています。

 

その後、結婚、長男次男の誕生を経て、26歳の時に不動産会社を退職し、もう一度大学に入学しました。それから2年間は、通信教育で経済学を学び、中学・高校の社会科教員免許を取得しました。

 

児童福祉の仕事をめざしたきっかけはいくつかありますが、教育実習中に中学時代3年間担任だった先生と再会し「お前にできるのは泣いてる子どもを笑わせるぐらいやわ、そやけどそれは誰にでもできることちゃうからな」と言われたことがとても大きかったです。それから児童養護施設の仕事内容に興味を持つようになりました。実際に見学へ行くと、子ども一人ひとりと深く関わることができる児童養護施設に魅力を感じ、就職することに決めました。

 

改めて振り返ると、子どもが2人もいる状況のなか大学で学ばせてくれた妻の寛大な姿勢と理解がなければ今の私はなかったと思います。妻には心から感謝しています。

 

 

胸の内を素直に話せる環境を作りたい

私の主な仕事は、施設での生活を余儀なくされた子どもたちが家庭への復帰や施設から自立した際に社会で主体的に生きていくことができるように一人ひとりの子どもにあった生活支援や学習支援を行うことです。子どもたちの多くは、これまでの生活背景から、大人の表情や行動に敏感に反応します。日々の子どもたちとの関わりに責任を感じる一方で、私が子どもの立場だったら、身構えられるよりも、一人の子どもとして接してもらいたいと思います。だからこそ私は、まずは関わりを楽しみ、その中で直におもったことを話すようにしています。そして”もう大丈夫。よく話してくれたね”という思いで、子どもたちが胸の内を素直に話せる環境づくりに努めています。

 

 

子どもたちと将棋を楽しむ

 

 

思い描く将来を築いてほしい

児童養護施設は、子どもたちにとって、一つの家庭です。職員は、時には親のように生活の術を伝える必要があります。そのようなとき”常識”とは何かを振り返ることがあります。食事の際のマナーやルールなど普段は意識していない、細かなものも常識となることがあります。担当しているユニットの職員間で、日々常識のすり合わせを行いながら一定程度のラインは統一するようにしています。常識は一つではないということは今の職場に就職して改めて気づいたことです。そのうえで、個々の職員が得意としていることなどを子どもたちに伝えています。

 

私は、二度大学に入学し、二度就職活動をしている経験から、就職や受験の相談に乗ることが多いです。また、子どもたちから投げかけられた疑問にはできるだけ詳しく答えるようにしています。これは、営業職の経験が活かされているように思います。また、自分の家庭のことや子どもの話もよくしています。子どもたちには、できるだけたくさんの大人から色んな話を聞いてほしいと思っています。そのうえで、自分が思い描く将来を築いてほしいと思っています。

 

 

事業所の垣根を越えて連携していきたい

子どもたちの成功体験は、子どもたちの自信や成長につながり、未来の社会環境を底上げしてくれると思っています。そんな子どもたちの心に働きかけ、心を動かし、ともに未来を見つめるこの仕事は本当に素晴らしいと思っています。

 

そして、これからの児童福祉はもっと柔軟に事業所の垣根を越えて連携していかなければならないと考えています。現在は、感染症の影響で支援できることが限られ困難な状況ですが、前向きに自分ができることから行動していきたいと思っています。

 

同じユニットの仲間と
(前列右から)永禮さん、沼野井さん
(後列右から)大嶋さん、関さん

 

(感染症対策を行った上で取材を行いました)

取材先
名称
(社福)聖友ホーム 聖友学園 永禮伸作さん
概要
(社福)聖友ホーム 聖友学園
https://www.seiyuhomu.or.jp/
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