【きたざわ苑】特設面会室の様子
あらまし
- 社会福祉法人正吉福祉会が運営する世田谷区立きたざわ苑(以下、きたざわ苑)では、入所、訪問、通所の各管理者間で意見を交わし、感染予防を徹底した上で、緊急事態宣言中も事業の継続を決定しました。
まずは感染症マニュアルの改訂と徹底
きたざわ苑では、従前から研修会や勉強会を重ね、一般的な感染症対策に力を入れてきました。2月末頃に、新型コロナウイルスをふまえた感染症マニュアル改訂の必要性から、部門の責任者より従来のマニュアルで不足している内容について聞き取りを行いました。そしてその裏付けとなる情報を整理し改訂案とし、最終的には管理者で読み合わせをした上で完成としました。改訂後のマニュアルは、全職員へ確実に周知するために、部門の責任者より職員に伝達し、また施設内のポータルサイトでも、職員がいつでも閲覧できる状態をつくりました。加えて、対策の基本である手洗いやうがいなどの方法も改めて確認をし、新任の職員でも正しく行えるよう再徹底しました。
施設長の岩上広一さんは「今後も感染予防対策に関する情報はいち早く収集し、それをもとにマニュアルの見直しや更新は欠かさず行っていきたい」と強調します。
面会制限と再開に向けての取組み
次に入所施設として影響が大きかったのは面会でした。感染防止のため2月末頃から、外部者には施設への立ち入りを制限し、ご家族の面会もやむを得ず中止しました。「この間、ご家族と過ごす時間がなくなることでご利用者が精神的に不安定になったり、そのことが体調の変化として現れるのではないかということが何より心配だった」と振り返ります。そのため5月の連休前に、感染予防対策徹底の上で面会の一部緩和を計画しました。しかし、引き続く感染拡大により、面会の開始は5月24日から1日6組限定としました。場所は特設の面会室にて、時間は濃厚接触とならない10分以内などの条件を設けました。それでも、面会の予約は順次埋まっていきました。直接顔を合わせることにより、はっきりと互いの表情が伝わります。さらに久々の面会だったこともあり、ご家族、ご利用者の喜びはひとしおでした。また、面会者には施設到着後に感染予防の取組みを実際に行ってもらいました。それには、ご家族が自宅での感染予防対策を実践する機会になればという思いもありました。
地域の中の施設として
「地域の中で支え合い、またきたざわ苑も支えられているということを、今回の経験を通して改めて認識した」と岩上さんは話します。
まず施設間のネットワークです。日頃から、世田谷区内の施設長会では情報交換等のコミュニケーションをとっていましたが「このような関係の重要性を再認識した」と岩上さんは言います。例として、きたざわ苑ではマスク・消毒液等の物品が常に確保できるような棚卸・発注の流れを確立していましたが、先の見えない状況で物品不足への懸念は捨てきれませんでした。そのような中、他法人の施設長より物品購入先の情報提供を受けることもありました。その一方できたざわ苑からも、改訂した感染症マニュアルを施設長会に情報提供することもありました。
施設間での支援の他にも、ボランティアの方々、近隣住民の方々から手作りマスクの提供を受けたり、またご家族より励ましの言葉をいただくことも多くありました。
「これからも自らの施設単独で感染症に向き合うのではなく、地域の中で協力し合い乗り越えていけたら」と岩上さんは語ります。
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