あらまし
- 令和2年2月27日、政府は新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染リスクに備える観点から全国全ての小中学校、高等学校、特別支援学校について、3月2日から春休みまで臨時休業を行うよう要請しました。そのような状況の中で、小学校の卒業を迎え、中学校に入学したYさんに一斉休校中のお話を伺いました。
「休校」と聞いてびっくりした
2月28日の帰りの会で、担任の先生から「明日から学校はお休みです」と話がありました。私はびっくりして「卒業式はどうなるんだろう」と不安になりました。友達も「えー!」「うそ!」と驚いていました。登校日があると言われましたが、クラスの中で半分ずつに分かれて登校するので、次に会うのが卒業式という友達もいました。別の中学校に行く友達もいたので、さみしくなりました。帰りの会のあと、先生が白い大きな紙を配ってくれたので、みんなで寄せ書きをして下校しました。
習い事やクラブもお休みになりました。私は学校の金管バンドクラブに入っていて、卒業コンサートのために放課後たくさん練習していましたが、中止になると聞いて休校のこと以上に残念な気持ちになりました。
これまでとは違う卒業式
両親は仕事をしているので、休校中は学童をお休みすることにした妹と一緒に、近くに住んでいる祖母の家で過ごしました。新型コロナが怖いので友達とは遊ばないで、外出も控えました。宿題が終わってしまうとやることがなく、家の前で縄跳びをしたり、ゲームをやったり、友達とLINEしたりしていました。
卒業式はできるかずっと心配でしたが、マスクをして私たち卒業生と先生だけでやることができました。毎年とは違い、卒業証書授与と校長先生のお話だけで、短い時間で終わりました。保護者は校庭で待っていたので、卒業式が終わったら私たちも校庭に出て、休校前に練習していた歌をきいてもらいました。でも、卒業式は小学校最後の大切な行事だったので本当は両親にも見てほしかったです。
入学式が延期になった
春休み中も、なるべく外出しないようにしていました。3月の終わりにあるはずだった中学校の一日入学も中止になりましたが、入学式は4月にできると連絡が来たので楽しみにしていました。でも、緊急事態宣言が出たので延期になりました。入学式があるはずだった日は登校して、クラスが発表され、教科書と課題をもらっただけで帰りました。
入学式は5月にはできると聞いていましたが、さらに延びました。授業ができないかわりに、登校日に1週間の時間割分の課題がたくさん出たので、計画を立ててやりました。分からないことは、授業があれば先生に聞けるけれど、休校中は自分でやらなければいけなかったので大変でした。何回か電話で先生に質問をしましたが、会ったことがない先生もいたので気軽に質問できませんでした。
6月になって、やっと入学式ができました。学年を半分に分けて、人数を少なくして行われたので、保護者も体育館に入ることができました。卒業式を見てもらえなかった分、とてもうれしかったです。
クラスを半分に分けて分散登校が始まりました。校内ではマスクを着けないといけないので、友達同士でも気をつけていました。友達とは「今日の感染者は何人だろう」とか新型コロナのことを話すことが多かったので、「自分が感染したら、周りにうつしてしまう」と心配になることもありました。
普通の毎日がうれしい
6月中旬からは、通常登校と給食が始まりました。給食は向かい合わずに前を向いて話さずに食べるので、ちょっとつまらないです。初めての中間テストは中止になったけれど、その分、期末テストに向けてがんばって勉強しようと思いました。
一番楽しみだった部活が7月から始まりました。吹奏楽部に入部し、パートはファゴットになりました。個人練習はパートごとに教室に分かれてやり、合奏する場合は半分に分かれて全員が集まらないようにしています。練習は大変ですが、とても楽しいです。
期末テストも終わって、8月に短い夏休みがあったあと、2学期が始まりました。マスクを着け、毎朝体温をはかって、手洗いも続けています。運動会や部活のコンクールも中止になってしまいましたが、授業や部活があるという普通のことがうれしいです。早く新型コロナのことを心配しなくてもいい日が来てほしいです。でも今は気をつけながら、勉強や部活をがんばっていこうと思います。