(社福)武蔵野緑会 西久保保育園 保育士 寺澤美加さん
子どもにとって「どんな自分でも受けとめてくれる人」でありたい
掲載日:2020年12月28日
2020年12月号 福祉のおしごと通信

社会福祉法人武蔵野緑会 西久保保育園
保育士 寺澤美加さん

 

あらまし

  • 社会福祉法人武蔵野緑会 西久保保育園で保育士として活躍する寺澤美加さんに、保育で大事にしていること、子どもに関わる姿勢についてお話しいただきました。

 

高校時代の希望を思い出して

高校時代、進路指導の先生に幼稚園教諭になりたいと話したところ、「少子化だから仕事がなくなるのでは」と言われ別の道にすすみました。

 

大学卒業後は、団体職員として勤務しました。その間結婚、出産し、子どもを保育園に預けながら働きました。疲れて子どもを迎えに行く私に保育士さんは笑顔で「おかえりなさい」と言葉をかけてくれました。親の私にとっても安らぐ、居心地のよい温かさが感じられました。その経験により「子どもに関わる仕事がしたい」という気持ちが思い出され、保育の仕事がしたくてたまらなくなりました。子どもが1歳の時に保育士の資格を取得することを決め、勉強を始めました。家族は応援してくれたものの、友人や会社の同僚は、保育士は大変なイメージがあるからか「なぜ?」という反応でした。それでも私の気持ちは揺らぎませんでした。1年目は仕事をしながら学校に行き、2年目は実習もあるので、退職し子どもは保育園に預け学業に専念しました。2年かけ保育士資格を取得し、保育園に就職しました。

 

「おかえりなさい」を大事に

保育士となって大事にしていることがあります。それは、かつて私がかけてもらった「おかえりなさい」という言葉です。お迎えにくる保護者の姿が過去の自分と重なり、保護者の気持ちに寄り添い、少しでもホッとしてもらえたらという思いで「おかえりなさい」と声をかけています。

 

また、お互いに意見を出し、認め合っていくプロセスが大切であると考えています。例えば、子どもの姿や発達の捉え方、保育方針などについて職員間や保護者との間で意見が異なることがありますが、意見を出し合う過程があるからこそ見えてくるものがあると思っています。

 

子どもの姿からの学び

担当しているクラスに、おとなしい子がいました。保育中は主張の強い子に目がいってしまいがちでしたが、その子にも折りを見て声をかけるなどして信頼関係を築けていると思っていました。ある日、同僚保育士からその子について「○〇ちゃんは、私に心を開いてくれない」という話がありました。その言葉をきっかけに、同僚たちと保育の振り返りをし、その子への関わり方について意見を出し合いました。そして、今まで以上にその子の気持ちに寄り添い、思いを引き出すことにしました。そうしたことでその子の表情は豊かになり、保育士との関係は深まりました。「家でも保育園に行くのを楽しみにしている」と保護者からも話がでるようになりました。このことから、子どもへの関わり方を振り返ることの大切さを実感しました。

 

保育士として子どもと過ごす時間は楽しく、子どもについて語ることで職員同士がつながります。そして、子どものかわいい姿や成長を共感できることが何よりも嬉しいです。だから、もっと子どものことを知りたいし、いろいろな姿を引き出し、「どんな自分でも受けとめてくれる、大切にしてもらっている人」でありたいと思います。

 

「保育は(子どもと一緒につくる)ライブ」と先輩保育士が話してくれました。まさにその言葉どおりだと思います。子どもたちは日々成長し、どのように保育をすすめるかは試行錯誤の毎日です。これからも子どもの姿から気持ちを知って受け止めることができるように、保育の現場で奮闘していきたいと考えています。

 

どんな経験も活かせる

最初の職場では社会人としての基本的な部分を学びました。たくさん失敗もしましたが、そこから学ぶ姿勢も身につきました。今仕事をする上で「あせらない・気張らない・めげない」という心構えにつながっています。前職での経験は現職でも活かされています。

 

そして保育の職場は、過程、気持ちを大事にし、寄り添い、フォローしてくれる温かい職場だと感じています。新卒で入職する人、転職して入ってくる人それぞれの強みを互いに活かしあっていくことで、より強い組織になると思います。一人でも多くの方が、勇気を持ってこの世界に飛び込んできて仲間になることを望んでいます。

 

取材先
名称
(社福)武蔵野緑会 西久保保育園 保育士 寺澤美加さん
概要
(社福)武蔵野緑会 西久保保育園
http://nishikubo-ho.com/
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