(社福)立川市社会福祉協議会
コロナ禍での地域活動や市民活動を資金面から応援する取組み~立川市での寄付募集、活動資金助成の取組みから
掲載日:2020年12月22日
2020年12月号 トピックス

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立川市社協「新型コロナウイルス対策に係る地域支援寄付金」チラシ

 

新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染防止と両立した地域活動の模索が続いています。また、生活困窮等の生活課題が深刻化、顕在化しており、地域の課題に対応する新たな活動も求められています。

 

こうした中、コロナ禍で地域課題に取り組む活動団体を応援するため、資金を集め、助成する取組みが行われています。今回は、立川市の事例を紹介します。

 

立川市社協「新型コロナウイルス対策地域支援寄付金」

立川市社協では、令和2年5月1日より、「新型コロナウイルス対策地域支援寄付金」を募集しています。

 

立川市社協では今年度、地域活動推進課地域づくり係において、職員をテーマ別のプロジェクトに分け、来年度の実施に向け、地域支援のしくみづくり等を検討する予定でした。

 

しかし、3~4月、新型コロナの影響で多くの地域活動が休止せざるを得なくなった状況を受け、複数予定していたプロジェクトのうち「資金調達プロジェクト」のメンバーを中心に、コロナ禍での団体支援のための資金調達のしくみを検討し、実施することにしました。

 

同時に、地域福祉コーディネーター等が担当エリア内の活動団体等に連絡を取りヒアリングする中でも、さまざまな話が寄せられました。生活に困窮する方が増えているにもかかわらず支援できない状況が発生していることや、解散を考える団体等も出てきた状況等を把握しました。この危機的な事態に対応できるよう、1か月弱で早急にしくみづくりをすすめ、緊急事態宣言期間中の5月から寄付募集を開始しました。

 

この寄付金の目的の一つは、活動が困難になった団体の活動再開や新たな展開等を支援することです。加えて、新型コロナの影響で困難を抱えた方を支える活動を推進することも大きな目的としています。

 

集めた寄付金は、「新型コロナウイルス対策地域支援寄付金活動助成」として、立川市内で活動する3人以上で構成される団体を対象に申請を受け付け、審査の上で上限10万円を助成しています。コロナ禍での地域課題に応じて新たに立ち上げるグループの活用も想定し、申請条件は可能な限り緩やかに設計しています。

 

助成については、ホームページでの周知やポスターの掲示、民生児童委員等への説明、社協に登録されている団体等へのお知らせなどで広報しました。

 

寄付金は今年度末まで募集しており、11月9日現在、約60件320万円の寄付が集まっています。企業からも個人からも多くの寄付がありました。家族4人分の特別定額給付金40万円を寄付した方もいました。

 

地域づくり係係長の柳澤実さんは「しくみづくりも団体への助成についても、スピード感を重視し対応してきた。当初の想定以上の寄付をいただき、大変感謝している。同じ市内で困っている方を支える活動への寄付、という目的や意義に共感していただいていると思う。寄付者の思いにも応える活動に助成し、丁寧な報告を行っていきたい」と言います。

 

団体からの助成申請は5月末から受けつけています。助成金の審査会は、団体の活動に資金が必要なタイミングを逃さないよう、随時開催しています。これまでに9回開催し、24団体に約160万円の助成を行いました。

 

助成開始当初は、外出自粛や学校一斉休校等の影響も大きく、食支援活動を行うための食材費や、活動を行う際の感染防止のための衛生用品等の消耗品費、オンライン環境整備に係る備品費等にかかる申請が多くありました。

 

助成先には、これまで地域で地道に活動してきた団体のほか、コロナ禍で新たに立ち上がったグループ等もあります。一例として、専門職3人が集まり立ち上げた、妊婦や乳幼児の母親の孤立を防ぎ支援することを目的とするグループには、配布するためのおむつやお米を購入するための費用を助成しました。

 

同係主事で市民活動センター担当の高橋美季さんは「ほかにも、ダウン症児者のダンス教室の例では、メンバー以外も参加できるオンライン教室の開催のための費用を助成した。このように、コロナ禍以前にはなかった発想で活動を広げる団体も出てきている。こうした状況下だからこそ、各団体が持つ力を感じている」と言います。どのような活動に助成し使われているか、社協のホームページ等を通じて、積極的に報告、広報しています。

 

同係主任で地域福祉コーディネーターの小林理哉さんは「今後は雇止めにあった外国人、学生、ひとり親の方など、いま特に困っている方に支援が行き届くような活動を行う団体への助成にも力を入れていきたい。そのためには意欲のある方同士をつないで活動を起こしたり、団体の運営支援も必要。この助成金も一つのきっかけとして、更に地域支援をすすめたい」と言います。

 

寄付金の募集、活動助成は今年度いっぱい行う予定です。柳澤さんは「自社協で初めて、目的を明確化した寄付金募集を行い、社協を初めて知ったという市民からも反応があるなど、取組みの手ごたえを感じている。この経験を生かし、思いを持つ方がさまざまな形で地域や社協につながり、実現できるしくみを考えたい」と語ります。

 

※令和2年11月9日取材時点での実績。

取材先
名称
(社福)立川市社会福祉協議会
概要
(社福)立川市社会福祉協議会
https://www.tachikawa-shakyo.or.jp/
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