NPO法人 ぷるすあるは
絵本を通じ、さまざまな事情の中にいる子どもたちを応援
掲載日:2021年4月28日
2021年4月号 くらし今ひと

「NPO法人 ぷるすあるは」

看護師 細尾ちあきさん

 

あらまし

  • 「NPO法人 ぷるすあるは」は、親の精神障害をはじめ、さまざまな事情の中で頑張っている子どもたちを、絵本や情報コンテンツなどを通して応援する活動をしています。精神科医と看護師の二人の活動から始まりました。そのうちのお一人、主に絵本制作を担当する看護師の細尾ちあきさんにお話を伺いました。

 

「ぷるすあるは」のはじまり

さいたま市の精神保健福祉センターで同僚の北野陽子医師らとアディクション(依存症)の親を持つ家庭の子どもの心理教育プログラムで紙芝居をつくりました。そこでの”伝わった手応え”が活動のきっかけです。また、こうした媒体が国内で見つからず「だったらつくってみよう」と”精神障害の親を持つ子どもの応援”をテーマに活動をはじめました。

 

待合室で親を待つ子どもたち

精神科病棟での勤務経験を経て、地域に密着した精神科クリニックに勤めた経験が今につながっています。待合室には小さい子を連れた患者さんや、親を心配して付き添う子どもたちがいました。『患者さんの向こうには家族がいて生活がある』当たり前のことに気づきました。

 

私自身も落ち着かない家で育ちました。子どもたちには「いつでも来ていいよ」と駄菓子や漫画を置き、待合室はこうした子どもたちがほっとできる居場所になっていきました。「ちあき、家に来てよ」と言われることも多く、時には、家に行って一緒に行方不明の紅白帽を探したり、ご飯の炊き方を教えるなどもしながら、親子のサポートもしていきました。夏休みの宿題をしながら、「書く思い出の材料がない」などの言葉には、「じゃあ、出かけたことにしちゃおう!私もそうだったよ」などの声かけをしたこともあります。

 

子どもたちに伝えてきたのは、『あなたのせいじゃないよ、話していいよ、一人じゃないよ』というメッセージです。今も絵本や制作を通して伝えています。また、”対等な目線で届ける”ことを大切にしています。

 

見えにくいヤングケアラー

今、『ヤングケアラー』が注目され、国も調査を開始するなどの動きがあります。一方で、一人ひとり、体験も家族の歴史も違います。特に精神疾患は見えにくく、子どもが親の感情面のケアをしているというのは外からは想像がつきにくいところです。家のことを知られたくない子どもたちもいます。そうした子どもたちが取り残されないよう発信をしていく必要を感じています。

 

子どもたちの頑張りを認めつつ、負担になりすぎているところを引き受けていくのが大人の役割だと思います。

 

子どもが安心できる大人、例えば、先生や近所のおばちゃんなどが、子どものSOSを聞いて、交通整理をしてその支援先までつなげてくれるようになるといいなと思います。専門職にはぜひ対象者の向こうの家族のことも視野にいれてほしいです。また、親が他の大人を頼る姿を子どもに見せることもプラスになります。その大人には、家のことを秘密にする必要がなくなります。さらに、誰かに頼って良いことを子どもたちが学ぶ機会にもなるからです。

 

夢や未来をあきらめさせない

家族のケアのために子どもたちに将来の夢や未来をあきらめてほしくありません。私は、早く自立しましたが、結果として自分にも家族にも良かったと感じています。

 

今、学校と家しか知らず、しんどい子どもたちには届きにくいかもしれません。でも、まず、大人側が子どもたちには未来が広がっていることを絶えずイメージして接していくことが、子どもの未来や自立への後押しにつながっていくのではないかと思います。

 

絵本「生きる冒険地図」より
学苑社 刊
(著:プルスアルハ、文と絵:細尾ちあき)

 

取材先
名称
NPO法人 ぷるすあるは
概要
NPO法人 ぷるすあるは
https://pulusualuha.or.jp/
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