茨城県常総市/平成29年3月現在
災害を経験して気づいたこと
(1)帰宅支援の大切さ
避難所が統合・小規模化していく中で、避難者は①自宅等へ帰れる方、②条件が整えば自宅等へ帰れる方、③自宅が住める状態でなく、帰れない方の3つに分かれました。住居が大きな被害を受け、公営住宅に移った方は、73世帯・186人(平成28年9月現在)います。一方、家に帰れるのに避難所に居続ける方もいました。避難所運営を行った職員は、避難所の解消に向け、家に帰るには何が必要か、何で困っているか等を避難者に聴取し、それをバックアップする流れをつくり、「帰る」ことをサポートする支援が大切であることを強く実感しました。
(2)事前に検討しておくべきこと
今回の水害を経験し、市担当者は「市役所が被災した場合について検討しておくべきであった。また、ペットとの避難生活の方法をめぐるトラブル、空き巣対策など、実際に経験したことで事前に考えておかなければならないことがたくさん見えた」と話します。
避難所については、まず一般避難所に地域住民を受け入れ、その後配置された専門職が一般避難所では生活が難しい方を早期に発見または相談に乗り、福祉施設等が運営する福祉避難所へつなげていく流れをつくっていこうとしています。なるべく要配慮者が慣れ親しんだ施設で避難生活を送れるように調整しますが、災害の種類によっては一部地域の施設がすべて被災する可能性も十分にあるため、市では幅広く協力関係をつくるとともに、広域避難先として市外の施設とも協定をむすんでいく予定です。
今回、避難所運営のマニュアルがなかったことで避難所ごとに担当者が判断する必要がありました。避難所運営を行った職員は、「支援物資の仕分けを誰がどこで行うのか、何人体制で、どのように配布するのか、避難所を閉めるタイミングなどに迷った」と話します。マニュアルが整備され、日頃から職員全体が防災への意識を高めていくことが必要だとわかりました。
(3)災害の経験は人の心に深くきざまれる
この水害をきっかけに、地域包括支援センターに入る相談の内、もの忘れ等の相談の割合が2倍以上に増えました。ヘリコプターの音が妄想性障害を引き起こしたり、雨が降るだけで不安な気持ちになる方もでてきています。また、実際に被災していない地区でも不安定な気持ちになってしまう、水害の後から落ち着きのなくなった子どもを学校がフォローしているという報告を受け、市担当者は「災害が残した心の傷は深いと感じている」と話します。
押し寄せた水で車が水没する市役所駐車場
膝の高さまで浸水し椅子などが散乱する庁舎内1階(常総市・忘れない9.10より)
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