特定非営利活動法人支え合う会みのり
コロナ禍でも食を通じ人と人とのつながりを支える
掲載日:2021年5月14日
2021年5月号 連載

NPO法人支え合う会みのり

(右から)田中春江さん、石田惇子さん、

中村陽子さん、藤森良子さん

 

「支え合う会みのり(以下、みのり)」は、在宅生活の支援や居場所づくり等を通し、高齢者等が住み慣れた地域で生き生きと暮らし続けられるための活動を行う、昭和58年設立のNPO法人です。会食会や配食サービスの他、ミニデイサービス「たまりば」や市の委託事業、居場所づくり「カフェいしださんち」等の活動を実施しています。支える人と支えられる人とが共に会員になり、その中で食支援を伴った支え合いのボランティア活動等を行っています。

 

配食サービスは衛生管理と感染症対策を徹底して継続

配食サービスでは、月~金曜日の平日5日間、季節の野菜や旬の食材を使い、栄養バランスの取れた夕食を調理ボランティアがつくり、配達ボランティアが利用者宅に届けています。一人ひとりの希望に応じて必要な日に利用できるようになっています。登録者は約150人で、一日平均110人が利用し、コロナ禍でも中断せずサービスを継続しています。

 

日頃から食中毒や感染症の予防対策には注力していますが、理事長の中村陽子さんは「コロナ禍では手洗い、マスク着用、密を避けるという3原則の徹底と従来以上に念入りな清掃、消毒を行っている」と言います。約2年前に活動拠点を移転し、新たな厨房を備え衛生管理を強化していたことも強みとなりました。

 

衛生管理を徹底した活動拠点内の厨房の様子

 

普段、配達では利用者宅を訪問し、健康状態や安否を確認しながら、一人ひとりの身体状況等に応じ、玄関の内側や室内まで入り、直接、食事を手渡しています。この時間が唯一、人と話す時間だという利用者も少なくないため、交流の時間としても会話を大切にしています。

 

しかし令和2年4月頃からは、特に配達時に万が一の感染を持ち込まないため、利用者との接触を避け、試行錯誤で対策を重ねてきました。配達前に使い捨て手袋を着用して小型の発泡スチロールボックスにお弁当を入れ、受け渡しの際には利用者に直接ボックス内から受け取ってもらうようにしました。加えて、室内でなく玄関先や、玄関外に置いたボックスを介した受け渡しに変更することにした方もいます。一時は会話を極力短くするなど気をつけ、配達ボランティア同士も車内で会話を控えました。また毎回の食事代金も直接触らず封筒に入れて事務所に持ち帰り、確認するなど工夫しました。

 

活動継続の判断については、2年5月頃、ボランティアにアンケートを取りました。「配食サービスは利用者の食生活を守るものだ」といった回答があり、副理事長の石田惇子さんは「活動を前向きに、使命感を持って捉えてくれたことで継続できている」と言います。そうした中で利用者からは「外出自粛で買い物にも外出しづらい中で、食事を届けてくれて感謝している」という手紙も届きました。

 

コロナ禍での利用者について、配達・会食会ボランティアの田中春江さんは「閉じこもりに近い生活が続き、玄関先に出ることなど動作に時間がかかるようになった方が増えた」と気遣います。石田さんも「フレイルがすすみ、入院・施設入所され配食サービスを利用停止された方が普段より多かった」と言います。一方、買い物に行けないことでケアマネから紹介された新規利用者が増えました。また、感染を恐れてデイサービスを休む方も一定数おり、日頃デイサービスで食事をとっていた方からの配食の注文が増えるなどの変化がありました。

 

会食会は一時休止し、徐々に再開

会食会は、市内の公共施設等の計9会場で、月に述べ11回開催しています。ボランティアも参加者も近くに住む地域の方々です。提供する食事のメニューや活動内容は各会場のボランティアが決めています。調理した昼食を参加者と共に食べ、体操をしたり、地域の趣味グループの活動の披露の場としてイベント等を実施するなどして、交流しています。

 

令和2年2月頃より、「集まること」「一緒に食事をとること」での感染リスクを避けるため、また市の方針で公共施設での会食を伴う活動が休止となったこともふまえ、やむなく会食会は休止としました。休止期間中はボランティアが手分けしてお知らせの手紙を参加者宅に届けました。

 

6月からは、制限つきで会場利用が再開できることになったため、まず会場ごとにボランティアが集まり、どのような形で再開するかを話し合うことから始めました。参加者を希望に応じて半数ずつ分け、月2回の実施のところ一人月1回の参加としたり、同日の2部制にしたり、参加者が多く来られるようボランテイアを交代制にするなどして、再開の体制が整った会場では6月半ばから食事を伴わない形で順次活動を再開しました。提供する内容は会場ごとに工夫し、お茶を飲んでの交流や体操の実施のほか、健康に関する講習会や地域の趣味グループの活動の鑑賞等を行う会場もありました。

 

早い会場では調理方法や提供方法を工夫して7月から会食を再開し、10月までにすべての会場で活動が再開できました。そうした情報も、参加者が忘れがちな電話ではなく、極力、手紙等を通じてお知らせするようにしました。しかし「開催曜日ごとに参加するボランティアが変わる会場もあり、そこで開催方法や内容が通常とは変わったことでの混乱も見られた」と副理事長の藤森良子さんは話します。再開後は、食事中は会話しないなど、これまでになかった不自由さもありますが、ほとんどの方から参加意向があり、数少ない「外出と交流の目的を持って出かける場」として久しぶりの会食会への参加を楽しんでいます。

 

3年1月からの2回目の緊急事態宣言下で再度会食が休止となりました。しかし、桜餅やうぐいす餅、おはぎなどの手作りのお土産をお渡しする形にするなど工夫して実施しました。石田さんは「この時期、参加者では休む方はほとんどいなかった反面、ボランティアの危機感は強かった。特に家族に福祉施設・事業所の職員や医療関係者がいる場合、活動を通じて家族へ感染を持ち込むことを恐れ、全体で約2割のボランティアの方が活動を休んだ」と言います。

 

また会食会は、食事提供を含めて300円という会費を設定していますが、食事が提供できない中でどうしていくかにも頭を悩ませたそうです。

 

今後に向けて

ミニデイサービス「たまりば」や「いしださんち」等の活動も、一部は休止しつつ、密を避けて活動方法を工夫し、感染予防対策をして継続しています。しかし、2年度は、例年12月に行う「みのりパーティ」が実施できませんでした。会食会会場ごとに調理したさまざまな料理を持ち寄って開催する全会員の交流の場です。今年はワクチン接種もすすみ、開催できることを願っています。

 

みのりの活動は、ボランティアで成り立っています。藤森さんは「地域に貢献したい思いを持ち、口コミや友人の紹介で長く続けてくださっている方が多い」と言います。コロナ禍で活動自体が思うようにできない中で、気軽に体験できず新たなボランティアが確保しづらいことが課題です。田中さんは「PRにも一層工夫の余地がある」と言います。

 

中村さんは「食事は命の源。人と一緒に食べると食欲が増し食事量も増える。交流も生まれる」と言います。石田さんも「私たちは『食事でつながる』団体。対面し、おいしい食事を通じて会話が広がることに意味がある」と活動の価値を語ります。

 

他の都内の食事サービス団体とは、オンラインを通じた情報交換を行いました。今後も、工夫を重ねながら、命と人とのつながりを支える食を通じた活動に取り組んでいく予定です。

 

拠点の一角にある「みのりギャラリー」で

「たまり場」の活動を紹介。

取材先
名称
特定非営利活動法人支え合う会みのり
概要
特定非営利活動法人支え合う会みのり
https://blog.canpan.info/sasaeaukai/
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