公益財団法人東京都公園協会砧公園サービスセンター
「みんなのひろば」は誰もが自分らしく遊べる場所
掲載日:2021年7月7日
2021年7月号 TOPICS

あらまし

  • 世田谷区の都立砧公園内にある「みんなのひろば」は、年齢や性別、能力、経済・社会的背景などの違いに関わらず誰もが楽しめる遊具が揃うインクルーシブな広場です。設置の背景について、公益財団法人東京都公園協会砧公園サービスセンター長の川崎幹雄さんは「都立公園はこれまでも『東京都福祉のまちづくり条例』等に基づき公園のユニバーサル化をすすめてきた。さらに公園利用者の多様なニーズに応えるため、さまざまな立場の来園者が快適に利用できる公園環境をめざし、誰もが共に楽しむことができる遊具広場の検討を開始することとなった」と話します。平成30年度には障害のある子どもの関係者やユニバーサルデザインの有識者などの意見をふまえながら設計を開始し、令和元年度に整備に着手、令和2年3月に「みんなのひろば」をオープンしました。

 

誰もが安心して遊べる設計

「みんなのひろば」は、駐車場からの距離や園路、広場の広さ等を勘案し「アスレチック広場」として開放していた場所に設置されました。それに伴い「アスレチック広場」に設置していた遊具は、公園内にあるもう一つの遊具広場である「子どもの森」に移設し、ユニバーサルデザインに対応している遊具を新たに取り入れることとしました。準備では、遊具周りを中心に転倒時の刺激を軽減するため厚みのあるゴムチップ舗装を施しました。また、駐車場から広場までの動線にはがたつきの少ない密粒度アスファルトを採用し、歩行器や車椅子等でもスムーズに通行できるようにしました。そのほか、広場から一番近い多目的トイレは、手すりの配置を見直し、オストメイトへの対応やユニバーサルシート(大型ベッド)を設置しました。

 

 

広場内には1基で多様な遊び方ができる複合遊具や、多くの子どもたちが一緒に遊べる楽器遊具などが複数取り入れられています。また、周辺には、迷子や広場外への子どもの飛び出し防止のため、柵を設けています。

 

川崎さんは「公園周辺には福祉関係施設や病院などが複数ある。歩行が不安定なお子さんや、車椅子などを使用するお子さんも来園することを想定し、誰もが安心して遊べる工夫をしている」と説明します。

 

自分に合った遊び方ができる場所

複合遊具の一つの船型遊具「みらい号」は「みんなのひろば」の設置にあたって設計された遊具で、広場内のシンボルとなっています。車椅子や歩行器でも上れるよう幅広に設計されたスロープを上ると、公園内を一望できるトップデッキにつながっています。併設されている滑り台は、車椅子の座面とほぼ同じ高さの段差を設けることで、車椅子から乗り移って滑り台を楽しめるよう設計されています。また、ブランコも人気の遊具の一つです。子どもが自分に合ったものを選べるよう、通常の座面に加え、背もたれ付きの座面と皿型の座面の3種類を設置しています。

 

広場の片隅には、大きな切り株をモチーフにした遊具があります。これは、音などの刺激に敏感な子どもが中に入って心を落ち着かせるためのシェルター遊具です。利用者の多いエリアを避けた静かな場所に設置しており、内部は車椅子でも十分に回転できるスペースを確保しています。そのほか、鍵盤を上から押すことで音が鳴る楽器遊具や、幅広の座面があり、友だちや介助者と一緒に楽しめるシーソー、視覚障害のある子どもでもパネルに刻まれた足跡を辿ってゴールできる迷路など、誰もが楽しめる遊具が揃っています。

 

川崎さんは「ブランコや滑り台で楽しむのも良いし、広場や草花を眺める、鳥の声や風の音を聴く、シェルター遊具で落ち着いて過ごすのも良い。広場の遊び方、楽しみ方に正解はない」と言います。続けて「子どもたちは公園という同じ空間で遊びを共有することで、人間関係の築き方やルールを学び合い、成長していっている。そこに障害の有無は関係なく、大人よりもごく自然に互いの違いを認め合って遊んでいるように見える」と話します。

 

必要とする人が安心して利用できる広場に

「みんなのひろば」のオープンにあたり、ホームページへの掲載やリーフレットの配布等で積極的に周知しました。また、区内のNPOの協力のもと、障害児を持つ家庭にも周知しました。しかし、オープンから数日で一度目の緊急事態宣言の発令を受け、3か月間の閉鎖を余儀なくされました。川崎さんは「障害のあるお子さんを持つ家庭にも積極的に利用してもらえるよう、さまざまなイベントを企画していたが、新型コロナの影響ですべて中止になってしまった。一度目の緊急事態宣言の解除後は、障害のあるお子さんを持つ家庭を対象に広場の開放時間を試行的に早めるなどした。平日に実施したため、10人程度の利用だった。まだまだ障害のあるお子さんの利用は多いとは言えない状況」と言います。続けて「現在も、感染リスクの観点から積極的に周知できない状況だが、今後もこの広場を必要とする人が安心して利用できるよう、模索していきたい」と話します。

転んでも刺激を吸収してくれるゴムチップ舗装

 

船型遊具「みらい号」

 

シェルター遊具「きりかぶ」

 

寝転がって休憩できるスペース

 

幅広に設計されたスロープ

 

ひろばを囲む安全柵

取材先
名称
公益財団法人東京都公園協会砧公園サービスセンター
概要
公益財団法人東京都公園協会砧公園サービスセンター
http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index004.html
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